心を揺さぶられたり、座右の銘となっている漫画、映画、小説などの1フレーズが誰しもあるはず。自身の中で名言となっている言葉をもとに、その作品について熱く語ってもらう連載コラム『言の葉クローバー』。今回は、10月7日にニューアルバム『Iustiti a sine misericordia』をリリースするkeinのリーダー、玲央が登場。伝説のカルト映画として語り継がれる作品に出てくる哲学的な言葉を紹介します。
(これは音楽と人2026年11月号に掲載された記事です)
もぐらは穴を掘って太陽を探している。
時に地上へたどり着くが、太陽を見たとたん目は光を失う
映画『エル・トポ』
作品紹介
『エル・トポ』 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
黒衣のガンマン、エル・トポが辿る数奇な運命を描いたメキシコ映画。独自の世界観と映像美は、ジョン・レノンをも魅了し、伝説のカルト映画として語り継がれている。1970年公開。
この言葉は映画の冒頭、ナレーションとして出てくる一節で。光を求めた結果、自身の光を失ってしまう――すごく哲学的な言葉で、最初に映画を観た20代の頃から強く印象に残っていたんですよね。
『エル・トポ』は、シュールというか、かなり独特な世界観のいわゆるカルト映画と呼ばれる作品で。身体的特徴が異なる人々が数多く登場したり、かなりグロテスクな描写のセンセーショナルな映像が満載で、公開当時、各方面で物議を醸したようです。でも自分としては、構図や色彩美によってグロテスクなシーンも美しく見せてしまう、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の映像作りに感嘆させられた感じでした。
初めてこの言葉に触れた20代の頃は、求めるものを手にしたことで、必ずしもその人が幸せになるわけでもないんだなと思って、物語の内容と合わせて〈虚無〉というものを感じたんです。けど、50代になった今の自分が思うのは、それでも光を求めたいなっていうことで。光を求めるがゆえに光を失うとしても、不幸せになるかもしれなくても、それでも求めてしまうのが人間の性であり、だからこそ成長も、前に進むこともできるんじゃないかって。もう何度も観てるんですけど、今話したみたいに、歳を重ねるごとに作品やここに出てくる言葉たちの解釈が変わるし、観るたびにいろいろ考えさせられる、そんな作品です。
最初にこの作品を観ようと思ったきっかけは、X JAPANのhideさん。当時はまだXでしたけど、大好きで。ふと目にした雑誌のアンケートか何かでhideさんが好きな映画として『エル・トポ』を挙げていたんですよね。それで〈どんな作品なんだろう?〉と思ってレンタル店に借りに行ったんです。
いざ観てみたら、ストーリー展開はかなりカオスなんですけど、人間社会の不条理さや真理を浮き彫りにしてるような哲学的なメッセージが込められていて、すごくハマってしまって。それからアレハンドロ・ホドロフスキー監督の作品を探して観るようになり、今では全作品の映像を揃えています。なかでも『エル・トポ』は、何度も見返していて。音楽への向き合い方だとか、バンドを通しての夢だとか、今の自分に通じるものが形成されていったのが、まさにこの映画に出会った20代前半なので、その頃の自分を見失わないように、時間がある時には観るようにしています。だから『エル・トポ』は、自分の人生に欠かせない作品だと言えますね。
NEW ALBUM
『Iustitia sine misericordia』
2026.10.07 RELEASE

■初回限定盤(CD+Blu-ray)
■通常盤(CD Only)
〈CD〉 ※初回限定盤、通常盤共通
- Superbia
- 自壊の肖像
- Cradle Lull
- Enforcer
- ネオン
- The Messy-Haired Grimalkin
- 雨音の記憶
- Jack-o'-lantern
- ヒル
- PROTOCOL: IMMUNITY
- Trues
〈Blu-ray〉 ※初回限定盤のみ
- 「The Messy-Haired Grimalkin」Music Video
- 「The Messy-Haired Grimalkin」Music Video Making
