一緒に音楽やってるんだから、僕は岩井くんの孤独を解き明かしたい。今まで……自分の孤独感と向き合ってばっかりだったけど(雄貴)
メンバーであり友だちでもあるけど、昔とは明らかに違う関係だから一緒にやれるんじゃないかと。
雄貴「それで言うと、普段ステージの上でメンバーのことを友だちだとは思ってないです。マジで思ってない。むしろ『ちゃんとやれよ!』みたいな(笑)」
体育会系だ(笑)。
雄貴「ステージもそうだし曲作りもそう。友情が音楽の邪魔をしたことはない」
ていうか「ちゃんとやれよ!」って言えるのは、相手のことを友だちだと思ってるからじゃない?
雄貴「……そうか。そういえば僕、大久保さん(大久保淳也/サポートメンバー)には言えないもん。で、大久保さんに言われたんですよ、『みんなには言うのに、なんで僕には言ってくれないんですか? 忖度しないでほしい』って」
そういうことだよね。
雄貴「それはスタッフに対してもそう。どうしてもバランサーになろうとしちゃう。『嫌なことありませんか?』って自分から聞いちゃったりして。むしろメンバー以外の人たちと接する時のほうが難しい」

だから雄貴くんにとって岩井くんは「ちゃんとやれ!」って言える相手であり。
雄貴「僕、基本はメンバーに対してノーガードなんですよ。だからもし岩井くんから〈え? なんでそんなこと言うの?〉みたいなパンチを喰らったらどうなるんだろう……みたいなヒリヒリした感覚はずっと持ち続けていて。でもそれはDAIKIくんに対してもそうだし、岡崎くんに対してもそう」
岩井「ノーガードで殴り合うってこと?」
雄貴「いやいや。殴ってほしくないんだよ。けど、ノーガードでいられるのは、相手を友だちだと思ってるからできることで。だから自分の思いをぶつけていいと思うの。けど、どんなパンチが来るかわからないから、ヒリヒリはする」
自分が出すパンチはどうなの?
雄貴「岩井くんにはめっちゃ考えながらパンチしてるよ」
岩井「俺もめちゃくちゃ考えてパンチしてる」
雄貴「自分の爆発した感情を、そのままぶつけられるような相手であっても、〈この人に自分の気持ちをぶつけちゃダメだ。なぜなら大事な人だから〉って思えるかどうか。それが僕にとっては愛情とか友情だと思っていて。岩井くんに限らず、ノーガードでいられる相手にはそう思ってる。でも昔、岩井くんが僕とケンカして出て行ったのは、当時の僕はそれがわかんなかったからで」
気持ちをそのままぶつけちゃダメだと。
雄貴「だってあの時は2日ぐらい経ったら『ゴメン』って岩井くんが戻ってくると思ってたから。でも戻ってこなかった。あの時の衝撃たるや。〈こんなことあるんだ〉って」
今の話を聞いてどう?
岩井「逆に俺は雄貴から『かかってこいよ』って言われたのに、殴り返さないで出てったわけじゃないですか。で、ガリレオを辞めてからバンドを作ったり会社を作ったり、いろんな人と〈かかってこいよ〉みたいな関係を作ろうとしたけど、自分が心を開かないから上手くいかなくて。そういう人生が続いてるなって」
だから今、ここにいるんでしょ?
岩井「そう。だって雄貴は、ずっと心を開いてくれてるから」
雄貴「でもここ最近、眉間のシワが増えたんですよ、岩井くんの。今日も家に来た時のインターホンの映像を見たら、そういう顔になってて。だから悩んでるんだなって」
だそうですが?
岩井「……なんか今日の話、めちゃくちゃ自分の中でタイムリー過ぎるんだけど」
雄貴「俺はもっと知りたいんですよ、岩井くんが抱えてる孤独感を。俺が持ってるのとは違う、岩井くんの孤独感を解き明かしたい。そこに興味があるっていうか、面白いなって思ってる。本人は辛いかもしれないけど」
岩井「雄貴は今でも自分が孤独だなって思う時がある?」
雄貴「あるよ」
岩井「それはどうしてるの? 俺は解決方法がわからない」
雄貴「……例えば今こうやって樋口さんとお話をしてるけど、このあと『じゃあね』って家に帰るじゃん。すると、ガン落ちするの。〈さっきまであんなに話せてたのに〉みたいな。樋口さんは取材で来てるだけであって、明日になったらもう話せない。その事実に落ち込んじゃうし、すごい寂しくなっちゃう。で、その心を守るためにどうするかっていうと、〈樋口さんなんてたいしたことなかった〉っていう壁を作ることしかできない。つまり、寂しがり屋なんだよ」
岩井「雄貴は……うん、そうだよね」
雄貴「自分の場合、その寂しさを研究したり曲に書いたりしてきたの。だから岩井くんも孤独感をガリレオにドーン!ってぶつけてみたらどう?って」

それが解決策だと。
雄貴「わかんないけど。ただ、せっかく一緒に音楽やってるんだから、できることなら僕は岩井くんの孤独を解き明かしたいんですよ。ずっと今まで……自分の孤独感と向き合ってばっかりだったけど、ようやく誰かの孤独感を研究したり、解き明かすような人間になれるんじゃないかな……って思ってる」
ここまで言われてどう?
岩井「俺自身が自分の孤独感を解明できてないっていうか。自分でも知りたいけど……や、今日はちょっと寝れそうにないな(笑)」
雄貴「今話したこと、ずっと岩井くんに言いたかったことなんだよね」
言えてよかったね。
雄貴「3人で呑んだおかげ(笑)。でも、俺の孤独感と岩井くんの孤独感、どっちがオシャレかって言うと、たぶん岩井くんのほうがオシャレだと思う……」
岩井「オシャレ……?」
あの、いきなり話のレベルが下がったんだけど(笑)。
全員「あははははは!」
⚫︎
これ以降の3人の会話は文字に起こせないほどグダグダになりそうだったんで、レコーダーを止めてピッチャーで頼んだビールをたくさん呑んで、くだらない話をたくさんした。雄貴は思っていた以上にお喋りが大好きで、人と一緒にいることに過剰なまでに安心感を得る人だと思った。だからこそ、ひとりになった時の寂しさに耐えられないのだろう。けど、今の彼は誰かの孤独感に寄り添うことで、自分の寂しさを埋めることができると気づいている。だから岩井の孤独感を解き明かしたいと思っているのだろう。まったくもって羨ましい関係だな、とあの夜の2人を振り返ってみて思う。誰がなんと言おうと、自分の中でGalileo Galileiは友情で繋がってるバンドであると、改めて確信している。
文=樋口靖幸

NEW SINGLE「木漏れ日坂」
2026.06.24 RELEASE

1. 木漏れ日坂
2. 人は渡り鳥
3. 木漏れ日坂 -Instrumental-
4. 人は渡り鳥 -Instrumental-
