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Galileo Galileiのスタジオを訪ねて。そして約束を果たした札幌の夜

text by 樋口靖幸
2026年6月6日


すでに配信中の新曲「木漏れ日坂」にカップリング曲を追加したCDシングル「木漏れ日坂」が6月24日にリリースされる。この作品についてのインタビューは次号でお届けする予定だが、今月号では彼らをデビュー当初から担当してきた編集者が、プライベートスタジオ〈わんわんスタジオ〉訪問と称して札幌へ足を運んだ模様をお届けする。新しい場所に移転したばかりのスタジオの様子と、ずっと前に尾崎雄貴(ヴォーカル&ギター)と交わした約束をついに果たした夜、その一部始終。

(これは音楽と人2026年6月号に掲載された記事です)



空港から札幌に向かうバスの車内は4月中旬でもしっかり暖房が効いていて、窓から見える寒々しい雨模様も春の到来を拒んでいるようだった。札幌で電車に乗り継いで降りた駅から目的地まで徒歩15分。だだっ広い道路の向こうには小高い山が見え、その山頂には雪がしっかり残っている。家を出る時からガリレオの曲は耳に突っ込んだままだが、言うまでもなく北海道の雄大な眺めを肴に聴く彼らの音楽は格別で、しかも今夜はその音楽の創造主と酒を呑むことになっている。


尾崎雄貴(ヴォーカル&ギター)としていた約束をようやく果たす機会が訪れた。「いつか呑みに行きたいです」――彼が面と向かってそう言ってきたのは、今から13年近く前、『ALARMS』のインタビューの時だった。5人だったガリレオから2人のメンバーが脱退したことで負った心のダメージ。そこから1年以上かけて制作されたアルバム『ALARMS』には、想像以上に達観している彼がいた。なにはともあれ、ちゃんと駒を前に進めていることが確認できたのと、そんな彼から「呑みたい」と言われたことが嬉しかった。「じゃあそのうち札幌に行くから呑もうぜ」――そんなふうに彼と約束を交わしてからずいぶん時間が経ったけど、いろんな巡り合わせがあってようやくその機会にこぎつけたのだ。まずは移転したばかりだという彼らのプライベートスタジオ〈わんわんスタジオ〉に向かった。


住所とスマホを頼りに着いた場所にあったのは、3階建ての建物だった。かつて訪れたことのある一軒家のような〈わんスタ〉とは違う、オフィスビルのような外観。本当にここで合ってるのか?と恐る恐るインターホンを押すと、雄貴がドアを開けて迎えてくれた。やっぱり東京で会う時の彼とは違う、穏やかな表情だ。前のスタジオにまだ機材が残っていて、引っ越しが完了するにはもう少し時間がかかるという。さっそく彼らの秘密基地を案内してもらうことになった。


建物内にはスタジオだけでなくオフィスもあり、バンド活動にまつわるレーベルおよびマネージメント業務のすべてがここで行われているようだ。まだ移転したばかりゆえ殺風景だが、しばらくするとアットホームな空間になることは容易に想像できた。建物の外観とは対照的に、室内はどこも普通の住居といった感じ。そういえば前に訪れた〈わんスタ〉もそうだった。住居兼スタジオとしてメンバーと暮らしていた当時。あれは雄貴にとって青春の日々だった。もちろん移転したばかりの今の〈わんスタ〉には、あの頃の甘酸っぱさはない。それだけ彼も歳をとり、バンドも歴史を重ねてきたってことだ。


2階の吹き抜けから階下を見おろしていると、「下の玄関にピアノを置こうと思ってて。ここにマイク立てたらリバーブのいい音が録れそうなんで」。そう言って雄貴がパンと手を鳴らして音を響かせてみせる。確かにここにピアノを置いたらいい音がするに違いない。そうこうしてるうちに岩井(郁人/ギター)と和樹(尾崎和樹/ドラム)が3階から降りてきて、みんなで1階のリハスタを案内してくれることになった。ちなみにこの日DAIKI(ギター)は東京で、岡崎(真輝/ベース)は所用があり不在とのこと。


もともとガレージだった空間にDIYで防音処理を施したリハスタは、引っ越したばかりでとりあえず機材を突っ込んだだけという印象。とはいえ無造作に置かれた雄貴の自画像やアルバム『Bee and The Whales』のジャケとしてメンバー4人で描いた油絵が、すでにここが彼らの根城であることを主張している。「ここではまだガリレオもBBHFの曲も演奏してなくて。やっと昨日〈北風小僧の寒太郎〉のカヴァーをやったのが初(笑)」とのこと。とりあえず誌面用にジャムセッションっぽい写真を押さえてから、3階にある楽曲制作を行う部屋を案内してもらうことになった。


小さなキッチンのついたリビングルームが、彼らの制作ルームだ。音響や録音に関しては門外漢ゆえ、モニターに広がるインターフェイスが何をしてくれるソフトなのか知る由もないが、そいつを手慣れた様子で操作する和樹。それは何?と聞いてみると、一週間後にエスコンフィールドで開催されるスペシャルライヴに向けて、シーケンスの準備をしているのだという。そのライヴは日ハムとライオンズのデーゲームのあとに行われるもので、雄貴はその試合でファーストピッチという始球式みたいな形でマウンドに上がることにもなっている。「ちゃんとピッチングの練習もしてますよ。よく始球式で芸能人がふわ〜んとしたボールを投げるじゃないですか。ああいう球は投げたくないんで(笑)」。彼が熱心な野球ファン(というか日ハムファン)になったのは、息子が野球を始めたことがきっかけだと聞いたことがあって、もし今日の天気が雨じゃなければキャッチボールができたのに、と思った。まぁそれは次の機会にとっておこう。


作業部屋の窓からも道中に見た山が見える。山肌にはまだ雪が残っていて、こんな景色を毎日見ながら作る音楽と同じものは東京じゃ作れないだろうと思った。「ここ、キツネが出るんですよ。引っ越してきてから毎朝見てる」と、雄貴がキツネの棲み家を窓から示してくれる。そこへ岩井が「あと、このへんは熊もよく降りてくるエリアで」と続ける。そういえば去年は北海道で熊の被害がたくさんニュースになったのを思い出す。「ニュースのまんまですよ。でもこのへんは日常茶飯事すぎてニュースにもならない」。マジかよ、それは怖いな……とビビってたら、雄貴に「あ、でもリスもいますよ」とフォローされた。

取材を終え、いよいよ約束を果たす時が来た。3人で話すテーマは〈友だち〉。理由はガリレオの歴史を知る人なら説明不要だろう

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