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THE YELLOW MONKEYとファンが築いてきた強い絆。FC発足10周年を記念したツアーをレポート

text by 青木優
2026年7月21日


【LIVE REPORT】
THE YELLOW MONKEY〈TOUR 2026 THE COUNTDOWN 〜Are you a BELIEVER.?〜〉
2026.07.07 at 有明アリーナ



思えば、今日は七夕の日だった。そのことが、吉井和哉の胸に何かを呼び覚ましていた。
「2004年の七夕の日に一回目の解散を発表して、それまでのイエローモンキーのファンの人たちをすごく悲しませてしまって。2013年の7月7日は、僕、ロンドンにいて、ローリング・ストーンズが結成50周年のライヴをハイドパークで観て、〈ほんとにバンドって最高だな〉と、〈もしこの3人がOKならまた一緒にバンドやってくれないかな〉と思って、メールしました」


ライヴ終盤のこのMCの内容は、再集結に至るエピソードとして幾度も話されてきたことではある。運命とかめぐり合わせ、あるいは縁。そうしたものを意識することが多い吉井らしい話だ。おかげで、この空間自体が何かに誘われているような感覚を抱いた。
「それを受け入れてくれたから、今こうしてここで……2026年の七夕の日に、このみなさんと一緒にライヴをやっております」


その彼らの今回のパフォーマンスは、いつもとは異なる意味で、非常に濃密だった。そもそも本ツアーはファンクラブの会員向けで、バンドの再集結から10周年の節目ということで立案されたもの。都合12公演行われた会場は基本的にホール規模だが、追加公演の今日だけがアリーナ会場となった。そのセットリストの構成は、バンドが長らく、あるいは、ほとんど演奏していない楽曲のみという極端さだった。


おなじみのヒットソングも、キラーチューンもなし。そのため通常のライヴで味わえる開放感やダイナミズムはほとんどゼロで、時に心が沈殿したり、曲によってはセンシティヴな世界に深く浸ったり、といった感覚に支配され続けた。時代ごとのTHE YELLOW MONKEYの濃密さや強い個性を映し出した楽曲ばかりだ。中でも印象深かったのは、コンセプトアルバム『jaguar hard pain』(1994年)からの「RED LIGHT」と「セルリアの丘」が続いた中盤の流れ。ここでの吉井には同作の主人公・ジャガーが憑依していたかのようで、その生臭い緊迫感にこちらの心は引きずり込まれるばかりだった。


ファンクラブ向けのライヴは多くのアーティストが行っているが、その特徴としては、バンドとオーディエンスとの親密感や、どこかゆるい空気があることが挙げられる。THE YELLOW MONKEYは2017年秋にもファンクラブ限定ツアーを行っており、本誌はその時にも取材をしていて、それと近い雰囲気も、あることはある。ただ、決定的に異なるのは、今回は先ほどのようなテーマ性があるために、バンドの表現のよりコアな部分に導かれる点だ。そこはこの10年をかけてバンドとファンが築いてきた関係性が、いっそう強い絆となっている事実の表れだと感じる。そう、本当にいろいろなことがあった。この10年の間だけに限っても。


「インディーズ時代の、動員が減っちゃった曲とか(〈HANG ONTO YOURSELF〉)、全然売れなかったファーストアルバムの最後の曲とか(〈Walkin' In Sunshine〉)。『jaguar hard pain』の曲、初のアリーナになった〈FIX THE SICKS〉(ツアー名)でやってた曲とか(〈淡い心だって言ってたよ〉)。曲をやっていくごとにいろんな景色が見えてきたんですけど……わりと手を触れずにいた〈PUNCH DRUNKARD TOUR〉でずっとやっていた曲も今回のメニューに入れさせてもらいました」


そうして本編の最後に演奏されたのは、「エヴリデイ」だった。傑作ロックアルバム『PUNCH DRUNKARD』(1998年)に入っているのに、ウェットで叙情的で、まるで初期の作風のような歌である。


「今回(のツアーでのこの曲)は、日々の、もっとリアルな毎日のことを思いながら(自分たちが)演奏をしているなと思いました。昔の若かった自分が、ずっとそのあとの、歳をとった自分に向けて言っているメッセージもあると思います」


今夜聴けたのは、こんなふうに各アルバムの本筋からやや外れていて、それゆえに心のはじっこに引っかかってしまうような曲たちだった。それに加えて、グラム・ロックの名バンド、モット・ザ・フープルのトリビュートアルバム『MOTH POET HOTEL』(1996年)から「Honaloochie Boogie」が今ツアーで初披露されたのもうれしかった。「審美眼ブギ」もそうだが、初期のグラムの真髄のひとつはブギなのである。THE YELLOW MONKEYの世界の重箱の隅をつついて、つついて。結果、出てきたのは強烈で濃厚なアクの数々。これを今の彼らが大きなスケールと包容力を持つバンドサウンドで鳴らしているのが感動的だった。


アンコールでは、今ではファンとの関係を唄っているようにも聴こえる「バラ色の日々」に続いて、最後の最後に「Romantist Taste」が演奏された。こうしたキャリアを通したセットリストになると、インディ時代から初期の楽曲は描写がアングラ的だったり、歌の構成がシアトリカルだったりで、若さゆえのトガった姿が浮き彫りになる。そのラストに、最初期からのレパートリーである「Romantist Taste」が置かれたのは座りがよかった。この歌の異様な一体感は、自分たちはこんな場所から始まって、そして今も立ち続けている、とでも言っているかのようだ。


再集結からちょうど10年。この間に不測の事態にも襲われたTHE YELLOW MONKEYは、しかし今も生きて、活動を続けている。命の歌を唄い続けている。


次の七夕に何か起こるとしたら、できれば、さらにハッピーなことであってほしいと思う。日々は続くのだから。そしてその日常が、少しでも素晴らしいものに……そう、バラ色の日々であってくれますように。
このバンドの次なる章への突入をまた、心待ちにしている。


文=青木優
写真=横山マサト


※記事初出時、本文中に誤りがありました。お詫びして訂正します。


【SETLIST】

  1. サイキック No.9
  2. LOVE IS ZOOPHILIA
  3. セックスレスデス
  4. HANG ONTO YOURSELF
  5. エデンの夜に
  6. Walkin' In Sunshine
  7. 淡い心だって言ってたよ
  8. RED LIGHT
  9. セルリアの丘
  10. Honaloochie Boogie
  11. カナリヤ
  12. ネバーギブアップ
  13. 審美眼ブギ
  14. エヴリデイ

ENCORE

  1. LOVE LOVE SHOW
  2. バラ色の日々
  3. Romantist Taste



NEW COMPLETE BOX
『THE YELLOW MONKEY TOUR2024/25 Sparkleの惑星X -Complete Box-』
2026.08.26 RELEASE

Disc1:「Sparkleの惑星X -BLOCK.1-」(2024/12/28 日本武道館)
SE.考える煙
01.SHINE ON
02.罠
03.ホテルニュートリノ
04.薔薇娼婦麗奈
05.FINE FINE FINE
06.Exhaust
07.A HENな飴玉
08.ROCK STAR
09.遥かな世界
10.赤裸々GO!GO!GO!
11.スピード(cover)
12.街の灯
13.ソナタの暗闇
14.ラプソディ
15.Make Over
16.復活の日
17.Kozu
18.バラ色の日々
19.悲しきASIAN BOY
20.MERRY X’MAS

Disc2:「Sparkleの惑星X -BLOCK.2-」(2025/2/7 東京ガーデンシアター)
SE.考える煙
01.復活の日
02.SHINE ON
03.See-Saw Girl
04.嘆くなり我が夜のFantasy
05.イエ・イエ・コスメティック・ラヴ
06.ヴィーナスの花
07.サイケデリック・ブルー
08.ドライフルーツ
09.争いの街
10.ソナタの暗闇
11.罠
12.熱帯夜
13.ラプソディ
14.Love Communication
15.Make Over
16.Kozu
17.BURN
18.未来はみないで

Disc3:「Sparkleの惑星X -BLOCK.3-」(2025/4/30 NHKホール)
SE.考える煙
01.Sweet&Sweet
02.罠
03.SHINE ON
04.Exhaust
05.ドライフルーツ
06.I Love You Baby
07.ピリオドの雨
08.Love Sauce
09.ラプソディ
10.Make Over
11.月の歌
12.ソナタの暗闇
13.太陽が燃えている
14.Father
15.空の青と本当の気持ち
16.パンチドランカー
17.追憶のマーメイド
18.Beaver

Disc4:「Sparkleの惑星X -FINAL BLOCK-」(2025/6/13 Kアリーナ横浜)
SE.考える煙
01.アヴェ・マリア
02.SPARK
03.Chelsea Girl
04.罠
05.Tactics
06.VERMILION HANDS
07.This Is For You
08.Beaver
09.Make Over
10.天国旅行
11.Four Seasons
12.ソナタの暗闇
13.MOONLIGHT DRIVE
14.ラプソディ
15.ホテルニュートリノ
16.CAT CITY
17.SUCK OF LIFE
18.JAM

Disc5:「Sparkleの惑星X -ネ申-」(2025/9/3 LaLa arena TOKYO-BAY)
SE.考える煙
01.マリーにくちづけ
02.CAT CITY
03.Sweet&Sweet
04.FINE FINE FINE
05.イエ・イエ・コスメティック・ラヴ
06.嘆くなり我が夜のFantasy
07.RED LIGHT
08.ROCK STAR
09.赤裸々GO!GO!GO!
10.”I”
11.Make Over
12.ソナタの暗闇
13.ラプソディ
14.太陽が燃えている
15.空の青と本当の気持ち
16.透明Passenger
17.SUCK OF LIFE
18.悲しきASIAN BOY
19.バラ色の日々

Disc6:「Sparkleの惑星X -ネ申-」(2025/8/25 名古屋ボトムライン)※BOXのみに収録
SE.考える煙
01.パンチドランカー
02.Chelsea Girl
03.I Love You Baby
04.VERMILION HANDS
05.See-Saw Girl
06.街の灯
07.ソナタの暗闇
08.ラプソディ
09.Love Communication
10.CAT CITY
11.罠
12.WELCOME TO MY DOGHOUSE

https://lnk.to/TYM_SparkleX_ec


〈THE YELLOW MONKEY TOUR 2026 THE COUNTDOWN 〜60分1本勝負〜〉
9月6日(日)福岡・Zepp Fukuoka
9月20日(日)神奈川・KT Zepp Yokohama
9月26日(土)北海道・Zepp Sapporo
10月4日(日)東京・Zepp Haneda
10月11日(日)宮城・仙台GIGS
10月22日(木)東京・日本武道館
10月24日(土)大阪・Zepp Osaka Bayside
10月30日(金)愛知・Zepp Nagoya


THE YELLOW MONKEY オフィシャルサイト

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