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小山田壮平のライヴDVD発売。彼が抱く音楽への愛情について

text by 清水浩司

(これは『音楽と人』2020年7月号に掲載された記事です)


「やっぱ自分はこうやって歌を唄っている時がイッチバン幸せで、それは……また、いつもこうやってライヴをやるたびに思うんで、それは聴いてくれる人がいて、みんなもこうやって聴いてくれて……一番この時が幸せなんだなと思いますね。いつも感謝してます」


小山田壮平のライヴDVD『OYAMADA SOHEI LIVE 2018 2019』の冒頭には、そんなつぶやきが収められている。〈イッチバン〉と書いたのは、この部分、小山田は特に力を込めて語っているように聞こえるからで、後者がサラリと〈一番〉と言っているのに比べ断然力強い。ちょっとした推しメンの名前を口にするくらい声が上ずっている。これをして「小山田は誰かに歌を聴いてもらうことより、歌を唄う行為そのもののほうに重きを置いている」と書くのはうがちすぎかもしれないが、それでもその言葉は彼らしさを正確に表している気がする。「歌が好き」でもなく「音楽がないと生きていけない」でも「バンドは楽しい」でもなく、「歌を唄っている時がイッチバン幸せ」――。


歌を唄っている時がイッチバン幸せ。


小山田壮平という人の音楽に心を惹かれている。andymoriにしろ長澤知之とのALにしろ、バンドが変わっても彼の音楽の特質は変わらない。なにかやけにみずみずしいのである。音が、歌が、キラキラ輝いているのである。やっている音楽がオーソドックスなロックンロールなだけに、この現象はものすごく奇異に映る。手垢にまみれた古典的とも呼べるスタイルの音楽をどうしてこんなに鮮烈に鳴らすことができるのか? ワクワクする、ウズウズする、心が晴れる、駆け出したくなる……まるで魔法でも見るように、僕は彼の音楽に奇跡的に封じ込められた高純度の〈初期衝動〉に触れてきた。


そんな小山田がソロ作をメジャーレーベルから初リリースした。別に初といっても以前から単独ライヴはやってるし、会場でもソロ音源は売ってるし、今回の発売に至る経緯もたまたま的な要素が強そうなので、すわ「小山田、独り立ち」という雰囲気でもないようだ。バンドマンがソロをやる際のあるあるとして、一発目に〈俺が音楽をやる意味〉がめいっぱい詰まった名刺代わりの1曲を出しがちだが、今回はそうでもないか……と思っていたが、なんのなんの、やっぱりこれは小山田なりの必殺のマニフェストに仕上がっているじゃないか。


「OH MY GOD」。シンプルな4ピース。ガシャガシャ鳴るギターに乗るてらいのないメロ、それが途中から疾走する。その疾走がこちらの鼓動と同期する。〈砂埃の街に 新世界が響く〉。いやホントそうだなぁ。ごちゃごちゃした日常の砂塵がフッと消えて、一瞬だけ眺望が開けた感覚になる。キラーンとした光。ハッとした閃き。小山田は唄う。〈OH MY GOD あの頃の僕らは心から歌っていた/闇と虹の向こう側には きっと 何かが待っていると〉〈言葉にできるなら 伝えたいのだけど 陽炎のように揺らめいて消える〉。言葉にできそうでできなくて、陽炎のように揺れていて、光と影の先に見つけられそうで、結局のところ「オーマイガッ」とうめくしかないサムシング――それは歌じゃないか。これは小山田からの歌に対するラヴレターでしかないじゃないか。


ライヴDVDを観る目的はひとつだった。小山田はどんな顔で歌を唄っているのか? イッチバン幸せな小山田はどんな様子なのか?


2枚組40曲の中には弾き語りとバンド、両方のステージが収録されている。まず弾き語り、普段なかなかアップで見ることのできない唄う小山田は見たことのない目をしていた。客席という〈外〉を見ているわけではないことはすぐわかる。かといって自分の〈内側〉に潜っているわけでもない。なのにまぶたはぽかんと開かれたまま、確かに何かを見つめている。それはバンド版のほうがより顕著で、〈鳴らした音に反応する観客を見て満足そうに笑う〉とか〈メンバー同士、視線を合わせてうなずく〉みたいな行為は一切なかった。舞台の上の小山田の目に人の姿は一切映っていないようだった。


弾き語り、歌が切れた一瞬、小山田の視線が宙を泳ぐシーンに釘付けになった。それはまるで自分が発した歌の行方を追いかけているように見えた。花火がゆっくり散るように、愛する歌と一体化した自分の声が放物線を描いて外に向かって放たれる、誰にも見えない歌のモーションが彼だけには視えているようだった。


突然、古い友達のことを思い出した。彼は仲間内の呑み会にいつも最愛の彼女を連れてくる人で、ニコニコ微笑み、僕らと軽口を叩いたりしながらも、ずっと彼女と密着し、その手を握ったり背中をなでたりしていた。居酒屋に一緒にいるのに、彼は遠い〈2人きりの世界〉に住んでいた。2人は今も仲良しだろうか。


小山田の音楽は愛にあふれすぎていて、孤独と恍惚が入り混じっていて、そこがいい。歌はもう祈りや救済という水域に達していて、その身を捧げるほど輝きは増す。世界に歌と自分の〈2人ぼっち〉――彼の純粋が微笑んでいる。


歌を唄っている時がイッチバン幸せ。



文=清水浩司


DIGITAL SINGLE「OH MY GOD」
2020.05.15 RELEASE

01 OH MY GOD

Download/Streaming https://jvcmusic.lnk.to/ohmygod



DIGITAL SINGLE「サイン -Acoustic Ver.-」
2020.06.17 RELEASE

01 サイン -Acoustic Ver.-

Download/Streaming https://jvcmusic.lnk.to/sign



LIVE DVD『OYAMADA SOHEI LIVE 2018 2019』
2020.06.24 RELEASE

DISC1
弾き語りツアー2018(中野サンプラザ)
01 宇宙の果てはこの目の前に
02 この窓の向こう側 
03 ゆうちゃん
04 彼女のジャズマスター
05 投げKISSをあげるよ 
06 Peace
07 ネバーランド 
08 706号室
09 青い空 
10 輝く飛行船
11 Do You Love Shiva? 
12 夕暮れのハイ
13 あの日の約束通りに 
14 無までの30分
15 君はダイヤモンドの輝き
16 コーラとあの子の思い出は 
17 空は藍色
18 サイン 
19 グロリアス軽トラ
20 Sunrise & Sunset

DISC2
バンドツアー2019(なんばHatch / 新木場 STUDIO COAST)
01 グロリアス軽トラ
02 everything is my guitar
03 雨の散歩道 
04 スランプは底なし
05 空は藍色 
06 革命 
07 ゆうちゃん
08 ベロべロックンローラー 
09 夕暮れのハイ
10 ベンガルトラとウィスキー
11 Kapachino 
12 16 
13 サイン
14 Sunrise & Sunset

DISC3
弾き語りツアー2019(恵比寿LIQUIDROOM)
01 Life Is Party 
02 汽笛
03 너에게 키스를 날려줄게
(投げKISSをあげるよKorean version)
04 兄弟 
05 彼女がタバコをやめない理由
06 ローヌの岸辺

アマゾンで購入
HMVで購入
タワーレコードで購入



NEW ALBUM『THE TRAVELING LIFE』
2020.8.26 RELEASE

初回限定盤(CD+DVD)
‪通常盤(CD)
‪アナログ盤(2LP)9/4 発売‬

‪01 HIGH WAY‬
‪02 旅に出るならどこまでも‬
‪03 OH MY GOD(映画「#ハンド全力」主題歌)
04 雨の散歩道‬
‪05 ゆうちゃん‬
‪06 あの日の約束通りに‬
‪07 ベロベロックンローラー‬
‪08 スランプは底なし‬
‪09 Kapachino‬
‪10 君の愛する歌‬
‪11 ローヌの岸辺‬
‪12 夕暮れのハイ

予約はこちらから→ https://jvcmusic.lnk.to/THETRAVELINGLIFE_CD



小山田壮平 オフィシャルサイト http://sparkling-records.com/

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