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マカロニえんぴつ、10周年を記念したハマスタ公演で示したロックバンドとしての姿勢

text by 阿刀"DA"大志

【LIVE REPORT】
〈マカロニえんぴつ 10th Anniversary Live『still al dente in YOKOHAMA STADIUM』〉
2025.06.15 at 横浜スタジアム



「我々はロックが好きで、ロックに憧れていて、まだ遠くて……」ライブ中盤のMCではっとりが語ったこの言葉が、今回の横浜スタジアム公演2デイズを、マカロニえんぴつの10年を如実に表していた。


今回は、バンド結成10周年を祝う記念すべき公演。会場にちなんで、ウグイス嬢によるアナウンスがあったり、メンバーがリリーフカーに乗って登場したり、幕間では横浜ベイスターズの公式チアリーディングチームdianaが会場を盛り上げたりするなど、野球関連のド派手な演出は多々あったが、あとは驚くほど実直に、マカロニえんぴつというロックバンドのヒストリーを3万人の大観衆に伝えていった。ロック文化が成熟した現在の日本において、様々な演出や煽り文句がライヴでは定番化しているが、彼らはそれらに一切手を付けなかった。それは、ロックが持つ長い歴史に対する敬意だと感じた。マカロニえんぴつは、〈ロックバンドっぽく〉なろうとはしていない。どうやったら自分たちは〈ロックになれる〉のか――常にその一点だけを見つめている。

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それが最も顕著に表れていたのは、ライヴ中盤にセンターステージで披露したうちの1曲「僕らは夢の中」だった。「音楽を信じた自分を讃えながら唄います」とひと言添えてから演奏したこの曲は、4人のメンバーが順々にヴォーカルをとる、マカロニえんぴつとしては珍しいタイプのもの。〈ロックバンドは最高だ/そんなの当然だ〉〈ロックバンドは人生だ/なんとかなるはずだ〉〈ロックバンドは旅の途中/明日はどこへゆこう〉〈ロックバンドは単純だ/やめなきゃ続くんだ〉筆致こそ軽妙だが、そこにはロックとロックバンドに対する愛情が満ち溢れていた。演奏終盤、メインステージから強烈な照明を当てられたことで浮かび上がる4人のシルエットが、本当にカッコよかった。まるでクイーンのライヴ盤『LIVE KILLERS』のジャケットのようで鳥肌が立った。この曲はきっと、キャリアを重ねる毎に深みが増し、熟成していくはず。いいロックバンドだ。

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言うまでもなく、バンドアンサンブルは安定感抜群。各メンバーのシュアなプレイが随所で光り、「恋人ごっこ」「mother」「ハッピーエンドへの期待は」といった楽曲で登場するリズムチェンジ時に生まれるグルーヴがとんでもなく気持ちいい。同じように感じていたであろう観客の身体がぐわんぐわんに揺れていた。


ステージ運びも丁寧。勢いに任せて曲を畳み掛けるということはしない。最後から3曲目となる「ミスター・ブルースカイ」は、大きな花火で大いに盛り上がったあとにプレイされたのだが、ここではステージ上がいったん無音に。そして、場内の照明が全灯された状態でじっくりと演奏に入った。決して雑には扱わない。自分たちが生み出してきた音楽を愛し、その力を信頼しているんだ。

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そんなバンド4人と向き合う観客のアティチュードも終始よかった。そもそも、開演前からコンコースはお祭りのようで笑顔だらけ。ポジティヴな空気しか流れていなかった。ライヴが始まれば、はっとりの「大いに盛り上がってください。遠慮なく唄ってください」という言葉に従い、各曲のイントロが鳴るたびに驚きの声や歓声をあげ、バンドとともに唄う。印象的だったのは、「なんでもないよ、」だ。イントロでは黙って真剣に耳を傾けていた大観衆は、キーボードとヴォーカルだけが鳴るパートでは、すかさずリズム隊としてハンドクラップで参加し、はっとりがスッとマイクから外れると、何も言われなくても咄嗟に彼の意図を察知し、合唱をする。はっとりが「素晴らしい! 上手!」と言った気持ちがよくわかる。こういった具合に、この日は随所でバンドと観客の信頼関係の厚さが窺えた。大会場でありながら、どの観客も前のめりでライヴにコミットしていて、スタンドの一番上の人まで熱心に拳を掲げている。もちろん、一見の観客もいただろうが、ハマスタ全体が熱く、温かかった。それは、マカロニえんぴつというバンドの演奏だけではなく、マカロニえんぴつと彼らの音楽を愛する人たちの情熱に囲まれているような感覚だった。あんまりこういうライヴを体験したことはない。バンドがファンを育てたのか、ファンがバンドを育てたのか、きっとその両方だ。ロックの美しき共犯関係ではないか。

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さまざまな音に溢れ、様々なジャンルがクロスオーバーする令和の音楽シーンにおいて、何にも惑わされず、ただひたすらロックと自分たちの音を信じて突き進む姿には、胸を打たれるものがあった。無理矢理ドラマチックにしなくていい、やたらと大仰にしなくてもいい。ロックってこういうことだったはずじゃん。余計なノイズが全身からポロポロと剥がれ落ちていくのを感じた。


文=阿刀 ”DA” 大志
写真=後藤壮太郎(●、TOP)、酒井ダイスケ(▲)

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【SET LIST】

  1. トリコになれ
  2. 鳴らせ
  3. レモンパイ
  4. 洗濯機と君とラヂオ
  5. MUSIC
  6. たましいの居場所
  7. 恋人ごっこ
  8. ブルーベリー・ナイツ
  9. なんでもないよ、
  10. ハッピーエンドへの期待は
  11. ルート16
  12. はしりがき
  13. mother
  14. 僕らは夢の中
  15. 前世よ、しっかり
  16. ハートロッカー
  17. ワンドリンク別
  18. 愛の波
  19. STAY with ME
  20. 星が泳ぐ
  21. ミスター・ブルースカイ
  22. ヤングアダルト
  23. 静かな海


マカロニえんぴつ オフィシャルサイト

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