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KinKi Kids、CDデビュー25周年。山下達郎との共作曲「Amazing Love」から紐解く2人の魅力

text by 宇佐美裕世

7月21日にCDデビュー25年目を迎えたKinKi Kids。そして本日、25周年を祝して45枚目のシングル「Amazing Love」がリリースされた。デビュー曲「硝子の少年」や「ジェットコースター・ロマンス」を手がけた山下達郎が楽曲を制作し、KinKi Kidsの2人による共同作業で作詩が行われた同曲は、冒頭から華やかでポジティヴな空気を纏っており、初めて聴いた時は正直に言うと〈いい意味でKinKi Kidsらしくない楽曲〉という印象を受けた。


というのも、「硝子の少年」は2人の声質をもとに作られた楽曲であることを知っていたからだ。明るい曲を唄ってもどこか悲しく聴こえる、繊細で濡れているような声。そんな特性を活かして山下氏がたどり着いたのは、堂本光一と堂本剛が歳を重ねても違和感なく唄い続けることのできる、歌謡曲テイストのあの名曲だった。アイドルのデビュー曲としては、言ってしまえば異色であった楽曲との出逢い。そしてデビュー以前から、レギュラー音楽番組『LOVE LOVE あいしてる』を通じて吉田拓郎や坂崎幸之助(THE ALFEE)といった錚々たるミュージシャンたちと出逢い、直接ギターを教わったりと、音楽の奥深さを体感してきたことで、2人の音楽に対する探究心は日に日に増していったのだろう。気がつけばKinKi Kidsは自分たちで作詩作曲を手がけたり、リリース毎にさまざまな楽曲に挑戦したり、ライヴでは生演奏が恒例になったりと、〈アイドル〉と一括りにするのも憚れるほどいちアーティストとして頼もしい存在になっていた。


しかし、彼らが明るい感じの楽曲に挑戦しようとやはりどこか影を感じざるを得なかったし、彼らが唄うからこそ、歌詩に込められたメッセージ一つ一つに重みが増しているようにも聴こえていた。それは単に声質だけの問題ではなく、2人が纏う空気によるところも大きいのだろう。社交的だったり明るいわけではなく、どちらかと言えば心は閉ざしがち。音楽をはじめ、表現することに対して納得のいくまで向き合うストイックで職人気質な性格。互いに敬意を持ち尊重しながらも、どこか相入れない部分もある2人の絶妙な関係性。そういったさまざまな要因が絡み合うことで、彼らにしか伝えられない想いがあり、KinKi Kidsの音楽の独自性をより強めていった気がしてならなかった。それに、決して明るくない2人が生み出す音楽だからこそ支えられてきたことが何度もある、という人も少なくないのではないだろうか。端的に言えば、数学の基礎として習う〈マイナス×マイナスはプラスになる〉という法則に近いと思っているのだが、とことん気分が落ちた時に自分の感情と距離がある溌剌とした歌声はなかなか聴く気になれなくとも、KinKi Kidsの歌声には不思議とどんな感情にも寄り添ってくれるような温かさと哀愁が宿っている気がするのだ。


先ほど触れた、彼らにしか伝えられない想い。今回の「Amazing Love」で言えば、それは〈ずっと忘れないでいて/君が架け橋だったこと/あの日 虹を描けたのは/君がいたから〉の一節ではないだろうか。この歌詩を綴った背景やそこに込められた想いを2人に聞いたわけでもなく、あくまで希望的観測に過ぎないが、〈君〉という言葉には、光一にとっての剛、剛にとっての光一を重ね合わせてしまう。この25年間で、もっと言えばその少し前の初めて出逢った頃から2人で、やがてはソロでさまざまな景色を見てきたことも、かけがえのない人たちとの出逢いも、すべての始まりは〈君がいたから〉という事実に集約されるのだろう。お互いのパートナーは、他の人ではあり得ない。これまで世に放たれてきたすべての楽曲も、KinKi Kidsというグループそのものも、お互いが居なければ確実に誕生していないはずだ。


そんなふうに、2人の神秘的な関係性や、今日までの歩みをいっそう尊いものに感じられる歌詩であると個人的には思っているが、そんな歌詩を2人に綴らせる山下氏のソングライティングや感性、そして2人に対する理解の深さには改めて脱帽した。そういった意味でも、「Amazing Love」はまさに今このタイミングで必要な楽曲だったのだろう。歌詩をじっくりと見つめながら繰り返し聴くことでその想いはますます強くなっていくし、シャイな2人にはこのくらいの明るさがちょうどいいのかな、とも思う。周年を祝してさまざまな番組や媒体に出ても、自分たちの功績を鼻にかけるわけでもなく、これまでに出逢った人々や支えてくれるスタッフへの感謝を真っ直ぐに語る2人に対して、この曲は〈もっと自分たちを称えなさい〉と、そっと背中を押しているようにも聴こえてくる。記念すべきタイミングでそんな楽曲と出会ったことは、まさしく〈Amazing〉という言葉通り素晴らしく、何年経っても折に触れて思い返したくなるくらい感動的なことなのだ。


文=宇佐美裕世


NEW SINGLE「Amazing Love」
2022.07.27 RELEASE

通常盤ジャケット写真


■初回盤A(CD+Blu-ray or DVD)
〈CD〉
01 Amazing Love
02 Midnight Rain
03 Amazing Love -Backing Track-
〈Blu-ray or DVD〉
・Amazing Love Music Video & Making


■初回盤B(CD+Blu-ray or DVD)
〈CD〉
01 Amazing Love
02 Midnight Rain
03 Midnight Rain -Backing Track-
〈Blu-ray or DVD〉
・Tatsuro Yamashita Songs Special Session(Amazing Love・Kissからはじまるミステリー)

■通常盤(CD)
〈CD〉
01 Amazing Love
02 Midnight Rain
03 HEART
04 HEART -Backing Track-

HMVで購入
TOWER RECORDSで購入
Amazonで購入


KinKi Kids オフィシャルサイト

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