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INTERVIEW
  • #9mm Parabellum Bullet
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9mm・滝 善充の20年の歩みにおいて重要な場所、実家スタジオが生まれた理由と揺ぎなき信念

text by 尾藤雅哉

9mm Parabellum Bullet(以下9mm)は、2004年の結成から数えて20周年を迎えた。10月には通算10枚目となるオリジナル・アルバム『YOU NEED FREEDOM TO BE YOU』を完成させ、11月からは全国を廻るアルバム・ツアーを行っている。

彼らの歩みを振り返ってみた時、その道のりは決して平坦なものではなかった。その中でも避けて通れないのがメイン・コンポーザーであり、卓越した演奏技術を持つギタリストでもある滝 善充のライヴ活動の一時休止だろう。彼のライヴ活動休止期間は約1年にも及んだ。しかし、そのような困難を前にしても滝とバンドは前進することを諦めなかった。そんな状況においてライヴ活動再開に向け重要な拠点となったのが、滝が自身の手で作り上げたプライベート・スタジオである。今回、改めてこの場所を作り上げた意図や重要性を語ってもらうべく、滝の実家に隣接するスタジオに赴いたのだった。

(これは『音楽と人』2025年1月号に掲載された記事です)



滝 善充は、単なるギタリストという枠組だけで説明することができない音楽家だ。バンドの楽曲を数多く手がけるコンポーザーであり、ギターやピアノ、ドラム、バイオリンといったさまざまな楽器を演奏することができるマルチ・プレイヤーであり、果てはエフェクターからアンプのスピーカー・キャビネット、マイク・プリアンプ、作業机までを自作するクラフツマンでもある。現在、滝が制作の拠点に据えているのが、実家の納屋を改造して作り上げたというプライベート・スタジオだ。


今回、我々は取材のために茨城県にあるスタジオへと向かった。東京から高速道路に乗って北へ向かうと、のどかな田園風景と太平洋が見渡せる場所に建つスタジオへと辿り着いた。到着後、出迎えてくれた滝の案内でスタジオ内部に入ると、そこには約15畳ほどのスペースが広がっており、愛用しているギターやアンプ、ドラムセットなどが整然と配置されていた。華美な装飾のないシンプルな内装レイアウトからも、滝 善充という音楽家のミュージシャンシップを垣間見ることができるだろう。現在、楽曲制作は主にこの実家スタジオで行なっているそうだ。その理由を尋ねると「一番集中して音楽と向き合えるから」との答えが返ってきた。


「音楽だけに没頭できる環境が欲しくて、このスタジオを作りました。ここの特徴は、スタジオ以上の機能がないところです。私が一番やりたいことは音楽なので、それ以外の要素はあまり必要ないんですよ。なので、インターネット回線も引いてないんですよ。私の場合、普段から余計な情報が自分のところに流れ込んでこないように意識しながら生活をしていて……同じような理由でSNSやLINEもやっていないんです。そうやって自分の好きなことに向き合う時、とくに必要のないものを極力なくしていくことは、私にとってすごく大切なことだと考えています」


その言葉が示すように、現代の生活に必要不可欠なWi‐Fiはなく、誰かがゆったりとくつろげるようなソファーや椅子なども見当たらない。まさに音楽制作に関する機能のみが備えられており、それ以外の要素はすべて削ぎ落とすという、滝ならではのこだわりが至る所に反映された空間である。


「仮にパラレルワールドがあったとして、もしも私がスタジオを持っていない人生を歩んでいたとしたら、〈いつか自分のスタジオが欲しいな〉と悶々とした気持ちを抱えながら毎日を過ごしていたに違いありません。なので、自分のスタジオを持っているこの世界の私は大成功者だと思います(笑)。そういう意味でも、このスタジオは私が音楽活動を続けていく上で理想のスタジオであり、今や必要不可欠な場所になっていますね」


滝は音楽だけでなくエフェクターやスピーカーといった機材も自分で〈作る〉。そしてプロのレコーディング現場でちゃんと〈使う〉。そのDIY精神は、バンド活動を始めた時から現在に至るまで、滝が大切にしてきたスピリッツだと言えるだろう。「バンドを始めたばかりの頃は、スタジオに入るのも、弦を買うのにも困っていました(苦笑)」と振り返ったように、9mmを結成した当時の滝は極貧生活を送っていたという。しかし、そんな窮地をさまざまなアイディアで乗り越えてきた。「僕らにできることは、身体を張るか、頭を使うことでしたから」――好きな音楽をやり続けるために、必要な感覚を研ぎ澄ませていった先にたどり着いたのは、〈プライベート・スタジオの自作〉という前例のない境地だった。


「もともと機材を製作することに興味があったんです。既存の商品を買えば事足りることかもしれませんが、モノを作る喜びもあるし、その機材を使って録った音が形になって多くの人に届くということも素敵だなって思っていました。これまでにエフェクターだけでなく、シールドやアンプ・キャビネットも作ったし、このスタジオのマイク・プリアンプも自作したものなんですけど、やっぱり自分で作った機材を使っていい音が出るとうれしいんですよね」

解散の危機に見えても仕方がないし、それに対して弁明する元気がなかったことも事実

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