今回は、その曲ごとに素直に向き合わなきゃいけなかった。だから聴いたら、なんか素直だなあ、って思うんじゃないかな(笑)
そういうのって、やり尽くした先に、〈もう何もねぇや〉って、いつかなると思いません?
「全然思わないですね。やり尽くす、ことなんて絶対ないんじゃないかなぁ。滝とふたりでギター弾いてて、同じようなことを同じタイミングで〈ねえ、これってこういうことだったんだね〉ってなったりするし。よく話すんですけど、螺旋状に同じことがずっと続いてるんだなって、思うんです。螺旋を上がって『前も同じこと言ってたね』って言った時に、前に螺旋の下で何してたのかが理解できるというか。またしばらくしたら同じこと言ってるんだろうけど、気づいたポイントが違うし、少し上に上がってるから、同じように見えても違うわけで」
それを成長って呼ぶのかもしれないね。
「うん。単純に曲を作る時、みんなが調子がよければすごい早いとか。『このリフで』って言ったら30分後に曲ができてるとか、そういうことはあるでしょ。それは偶然とか鍛錬とか、そういう部分もあるから。それとは逆に、なんで歌詞書いてるんだろうな?とかは、むしろ謎のままにしておきたいというか、理解したくないと思って」
物事がわかってくることって、あんまり好きじゃない?
「わかりたいことはいっぱいあるんですけど、謎のまんまにしといたほうがいいこともいっぱいあるし。そのほうがいい効果を生むものがいっぱいあるんだなって、ちょっと大人になってわかってきたんで(笑)」
ははははは。昔はそうは思いませんでしたか?
「昔は全部わかったほうがいいなと思ってたし、すべてに答えがほしかったけど、今は全然わかんなくていいや、と思ってます。もちろん〈新しい光〉だって、書いてる時は希望がある感じにしたいと思って書いたり、ドロドロにしたいとも思うけど、できあがったものは、もうできあがったものというか。どんなにミスした音が入ってても、マスタリングまでいって、もう作品ですってなってくると、何も気にならなくなっちゃって」
レコードなんで、その時のものです、と言うしかないと(笑)。
「もう、まさにそういう感覚です(笑)」
で、カップリングはストレンジというか、ユーモアというか、面白いサウンドで。
「ストレンジですね。これのほうがさらっと書けたかな。けど、素直な感じですよ、これも。アルバムの話になっちゃいますけど、今回は素直にならないと書けなかったんで」
さっきも出てきたけど、歌詞が素直、とかじゃなくて、気持ちとして素直、ってことだよね。
「そう。今回は、その曲に素直に向き合わなきゃいけなかった。言葉とかは関係なく。だから聴いたら、何か素直だなあ、って思うんじゃないかな(笑)」
なるほどね。素直に向き合う必要があったのはどうしてだと思う?
「どうしてだろうなぁ? そういう時期だったんじゃないですかね。ただ、曲作ってアルバムにしようぜって流れで作ってるけど、その時の途中の気持ちは、ちょっとずつ違うし……日記とか読んだら、移り変わりがわかるかもしんない(笑)」
日記書いてるんだ?
「日記みたいなものを書いたりはしてます。その日のこととか。思いついたら、その歌詞のアイディアについて書いたり。でも分析とかしないほうがいいって、少なくとも自分ではしないほうがいいって思う。そうしないとできなかった感じがすごくしていて」
なんだろうね。意味だったりがあちこちに出てくると、縛られちゃう?
「ていうか、作品をちゃんと作品として楽しみたいんですね。すでに意味みたいなものは全部出ていると思うから。1行目と2行目の間になんて、意味もないし何も書いてない。でも、さっきのライヴの話に戻るけど、優しい感じがするっていうのは、言ってないけど感じられるものがあるってことだから。それはだいたい、自分がそう思いたいからそう感じてるってことでしょ。あの人たちは優しいって思いたくないと、そう感じないはずだから」
菅原くん自体が、こうありたいな、と思った部分が出てくるはずだと。
「そうでしょうね。うん」
なるほどね。アルバムにつけた『Movement』ってタイトルはどこから?
「タイトルは……曲を聴いていて、移動してる感じがしたんですよね。AからBへ移動するとか、東京から大阪へ移動するという時に〈行く〉って意味でもなく〈交通〉でもなく、ただ移動してる感じ。曲の中にそういう感じがあると思って、〈新しい光〉を作ってる時に、みんなで話したことがあって。車に乗ってギューンって走ってると、景色が流れていって、自分は止まってるみたいになるじゃないですか。ああいう感じ」
周りの景色が流れていくような。
「どの曲もそういう感じがするというか、どこかに移動してる……その移動そのものというか、その曲が流れている間は。AからBへ矢印を書いたとしたら、その矢印だな、このアルバムはって。聴く前がAで、聴き終わったらBですよね。聴いてる最中は矢印(笑)」
AからBへ向かってる、その途中っていうか。
「でも移動するからには、どっか行き先があって。これ、東京から山形に帰る時に考えてたんですけど(笑)、その時も歌詞を書いてて。曲を聴いてることも移動してるのと一緒だし、やっぱり決められた時間で作るんだし、その間では何しても一緒なんだけど、移動は移動で、時間が流れているのは確かだから」
なるほどね。
「うん。そもそも音楽がそういうものですけど。移動してる……アルバムももう4枚目なんだなぁ……って。4枚作ったんだなって感じです」
その流れって、自分としては早かったなって思いますか?
「うーん……ま、いろいろあったなっていう感じですね。早いは早いけど、年々早くはなってるから」
歳を食うとそうなってくるって言いますよね。
「たぶん俺だけじゃないと思うんですよね。早くなってんのは。俺が歳とったからとかじゃなくて……地球的に早いんじゃないかと思うんですけど」
地球的に早いんだ(笑)。
「そう、地球規模で早い気がするんですけど(笑)。だって実際インターネットとか、速さ勝負の時代でしょ?」
そうですね。
「新幹線もどんどん速くなるし」
早くなっていくのは好きですか? 嫌いですか?
「早いだけになってほしくないなっていう感じです。中間がないのはイヤだから。速くなることで便利になっていくぶんには全然いいんだけど、その結果、何かなくなってしまいそうになるのは、ちょっと待てって思う。そういうのは忘れずにいたいな、と思うんですよね」
文=金光裕史
NEW ALBUM
『YOU NEED FREEDOM TO BE YOU』
2024.10.23 RELEASE
- Baby, Please Burn Out
- 叫び -The Freedom You Need-
- Mr. Foolの末路
- カタルシス -Album ver.-
- 幻の光
- Fuel On The Fire!!
- それは魔法
- Domino Domino
- 新月になれば
- 朝影 -The Future We Choose-
- Brand New Day -Album ver.-
BEST ALBUM
『THE ULTIMATE COLLECTION -20Years, 20Bullets-』
2024.07.31 RELEASE
- 太陽が欲しいだけ
- Black Market Blues
- The Revolutionary
- キャンドルの灯を
- Punishment
- Talking Machine
- Discommunication
- 光の雨が降る夜に
- 黒い森の旅人
- ハートに火をつけて
- ロング・グッドバイ
- Supernova
- 名もなきヒーロー
- Scenes
- スタンドバイミー
- ガラスの街のアリス
- 生命のワルツ
- Mr.Suicide
- Brand New Day
- One More Time
〈9mm Parabellum Bullet Tour 2024-2025
「YOU NEED FREEDOM TO BE YOU」〉
2024年
11/23(土)[山形] Session
11/24(日)[宮城] 仙台 Rensa
11/30(土)[京都] 京都FANJ
12/01(日)[兵庫] 神戸VARIT.
12/06(金)[香川] 高松オリーブホール
12/08(日)[愛媛] 松山Wstudio RED
12/19(木)[東京] 下北沢 CLUB251
2025年
1/11(土)[東京] Spotify O-WEST
1/18(土)[広島] CLUB QUATTRO
1/19(日)[岡山] CRAZYMAMA KINGDOM
1/25(土)[水戸] LIGHT HOUSE
1/31(金)[渋谷] CLUB QUATTRO
2/1(土)[栃木] HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2
2/8(土)[福岡] DRUM LOGOS
2/9(日)[鹿児島] CAPARVO HALL
2/22(土)[東京] Zepp DiverCity(TOKYO)
3/1(土)[愛知] Zepp Nagoya
3/2(日)[大阪] Zepp Osaka Bayside
〈YOU NEED FREEDOM TO BE YOU」Extra〜カオスの百年vol.21〜〉
3/17(月)[神奈川] KT Zepp Yokohama