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INTERVIEW
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Lucky Kilimanjaroインタビュー。新作で見せた葛藤の裏にある、譲れない思いとは

text by 青木里紗

朝、靴を履き、イヤフォンをギュッと耳に挿す。そして外へ飛び出せば、新しい一日が始まる。うまくいくことやそうでないことも抱えて夜を迎え、また次の日へと向かっていく。そんな日々に心地のよいエレクトロサウンドで寄り添ってくれるのが、Lucky Kilimanjaroのニューアルバム『DAILY BOP』だ。コロナ禍を経て完成した本作は、バンドがずっと掲げてきた〈世界中の毎日をおどらせる〉というコンセプトのとおり、身体を揺らさずにはいられないビート感やサウンドを意識したものが並んでいる。だが、そこではフロントマンである熊木幸丸が、自分を縛り付けるロープを必死に振りほどこうとするような葛藤を見せているのだ。そうなった背景には、彼の中にある、音楽を作る上での譲れないこだわりが強く関係していたのだった。悩みや迷いも前進するためには必要なエッセンスとなる。だからこそ彼らの音楽は何気ない日常を彩り、顔を上げて進んでいこうという気持ちにさせてくれるのだ。
4月4日にはバンド初の日比谷野外大音楽堂でのワンマン、さらに5月からは初の全国ツアーも控えている。閉じ切ったものが解き放たれ、思わず心が躍る瞬間になるはずだ。



あらためて昨年は熊木さんにとってどんな1年でしたか?


「3月にファーストアルバムを出して、そこからツアーで初めて行く場所があったり、夏フェスやいろんなライヴのオファーもいただいていたのですが、その予定が1回まっさらになってしまったんです。自分の中でどうしようかなと混乱した時期もありましたが、比較的すぐに立ち直れました。こういう時だからこそ音楽を作る技術をもっとあげようとか、どんどん音楽を作っていこうというモードに入れたので僕個人としては有意義な時間だったなと思っています。とくに配信シングル〈光はわたしのなか〉を作ったのがいちばん大きかったかもしれないですね。そこで気持ちを切り替えられたというか、いい転換点になりました」


曲を作る気にもならないほど落ち込んでしまったりすることはなかったと。


「僕は今をちゃんと唄いたいと思っていて。思うようにいかない時の落ち込みや悲しみ、孤独とかもちゃんと作品にしないといけないっていう自分の中の変な使命感じゃないですけど、そういうものもあったんです。それにこの状況だから生まれる表現が間違いなくあるし、例えば何年後かに今書いた曲を聴いて〈あの年は大変だったね〉って思い出すアーカイヴにもなると思っていたので、曲作りのモチベーションは下がらなかったですね」


そういった時期を経て完成した新しいアルバムですが、タイトルどおり、朝起きてから夜眠るまでの一日にすっと寄り添ってくれるような、日常に根ざした作品だなと思いました。


「前回のアルバムは、広がりのあるサウンドで情景を伝えるようなものが多かったなと思っていて。だから次は純粋におどれる曲を作りたいなと思い、まず昨年の2月ごろに〈エモめの夏〉、そのあとに〈太陽〉を作ったんです」


どちらもアップテンポで、思わず飛び跳ねたくなるようなものですよね。


「そう。そこからコロナでいよいよ動けなくなった時に、ライヴではなくイヤフォンやヘッドホンだったり、スマホのスピーカーから聴いた時にもおどれるような曲、つまり日々をおどらせるようなアルバムを作りたいと思って今作を作り始めました」


日々をおどらせるって具体的にどういうことでしょうか?


「僕は悲しいことを全部忘れておどるのは難しいと思っているんです。とくに2020年から今にかけて、世の中は明るくはないと思っていて。そこを無視はできないので、孤独や悲しみだったり、混沌とした感情の中で自分のやりたいことや新しいこと、挑戦していけることを見つけ出すみたいな感覚を、僕は〈おどる〉というふうに表現しました」


悩んだりもがいたりしながら前に進むことを〈おどる〉という言葉に込めていると。そういう熊木さん自身の葛藤や悩みみたいなものも、今作にはっきりと出ていますよね。


「そうですね。実は自分の弱い部分だったり葛藤しているところを曲の中で吐き出すようになったのは、〈夜とシンセサイザー〉や〈KIDS〉が初めてで」


どうしてそういう部分を出してみようと思えたのでしょうか。


「最初は個人的な悩みを出すことで、僕自身のことを唄っている曲として認識されてしまう気がしていて。そのせいで、誰かの生活に流れるBGMとして機能しなかったらイヤだなと思っていたんです。でもコロナ以降、悩むことやこれできないな、知らないな、と思うことが増えてきたのもあり、自分の中に出てきた葛藤を書かなくちゃ前に進めない気がしたんですよね。俺はこんなに混乱してるんだっていうことを書かないのは、表現としてウソっぽいな、と」


その葛藤や混乱って具体的にどういうものでした?


「自分の知っていることの少なさや、ああ曲がうまく書けないな、みたいなことに対するものとかですね」


曲を書き続けてらっしゃったとはいえ、行き詰まる感覚もあったというか。


「書けるのですが、自分の中で〈ああ、これじゃないんだよな。今のモードとあってないんだよな〉とか、頭の中で描いていることがうまく再現できなかったり、いいアウトプットができずに悩んだ時間は長かったような気がします。そんな自分の曲作りに対して葛藤していた時期に作ったのが〈KIDS〉で(笑)」


これは自分にはもっと可能性があるはずだ、と、熊木さんが自分自身に言い聞かせているような曲ですよね。


「そうですね。僕は、例えば前に1回試したやり方で新しい曲を作るのがイヤなんです。自分のちょっとした手癖でいい感じのものができてしまったりしますけど、それだとつまんなくなっちゃう。でも〈これ、前と同じじゃん!〉って思うことが〈KIDS〉を書いていた時期は本当に多かったんです。だから今までの自分らしさとかそういうものを全部捨て去って新しいことをしたい、みたいな思いをそのまま歌詞にしました」


〈自分らしさみたいなもんが/踊る枷になってさ身動きがとれないな〉と唄いつつも〈似合わない服なんてない〉〈うるさい自分を振り解き〉とあったりするのはそういう理由だと。


「そうです」

〈ほんとにこれでいいのか?〉みたいな違和感を大事にしたいんですよ。まったく悩まないのはつまらないと思ってしまうんです

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