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Nikoん、2ヵ月で30公演の濃密ツアーを経ての飛躍。ここから始まるバンドの新章に期待せよ

text by 石井恵梨子
2025-09-02

【LIVE REPORT】
Nikoん〈RE:place public tour 2025〉
2025.08.27 at 渋谷クラブクアトロ



これまで都内に蠢く新人バンドのひとつだったNikoんが、9月にメジャーデビュー決定、その前に九州で13本、関西で13本を含む異様なロングツアー行程を発表したのは数ヵ月前のこと。そこにある決意については先日インタビューでお届けしたが、ここでは〈RE:place public tour 2025〉のファイナルとなった8月27日の渋谷クアトロ公演の模様をレポートしよう。


早めに到着してみればフロアからはBGMとは違う歌声が聴こえてくる。開演は19時だが、実は18時20分からマナミオーガキ(ベース&ヴォーカル)による弾き語りが始まっていたのだ。フロア中央に置かれた鍵盤を前に、全方位を観客に囲まれて唄うのだから相当緊張しそうなものだが、その様子はとても伸びやか。楽しそう、嬉しそう、と言ってもいい。クラシカルなピアノ伴奏のみで響く歌は、ソロ曲、Nikoん曲、カヴァーなどで、どれもロックがどうのと語れるものではない。スタンダードな良曲。それに見合う柔らかな歌唱。そういう基本がマナミの中にはあるのだろう。バンドだからと格好をつけたり構えたりしない、唄うことへのピュアな愛が溢れる時間をまずは堪能できた。


続いてはNo Buses。ガレージやポストパンク、ニューウェイヴの香りを纏ったソリッドな佇まいは変わらない。ただ、最近のライヴで大きく変わったのはヴォーカル近藤の唄い方である。時にはギターを手放しハンドマイクで激しく叫んでみせる。怒りなのか悲しみか、もしくは伝えたいという切実さか。エモーショナルに刺す力がものすごく強い。そのくせMCになると妙にヘドモドしてしまうキャラも含めて、本当にどこにもいない個性になってきた。50分たっぷりのステージだが長さはまるで感じない。つまり、もっと見たくなる熱演だった。


転換を経てNikoんの登場。気づけば満杯のフロアは総じて若者が多い。チケットが破格の2500円ということもあるだろうが、平日の夜に彼らは何を期待して来たのかと考えてしまう。キャラの面でいえばオオスカ(ギター&ヴォーカル)はNo Busesの近藤とは正反対で、まず客席を睨め付け、「準備できてっか?」と煽り、時には中指を立ててみせる。喧嘩上等。そんなバンド自体が今は珍しいわけで、そのヒリヒリした様子が珍しいのかと思っていた。始まってしばらく経つまでは。


事実、演奏はかなりヒリついている。1曲目「Vision-2」はポストハードコアの音像で、抑圧の効いたリフがひたひたと迫るぶん、内部に秘めた爆発の気配、みたいなものがリアルに感じられる。さながら青く揺れて燃える炎。ノイジーなギターが瞬間的に炸裂し、同時に「うぉおお!」とオオスカが身を震わせて叫ぶのだから、凶暴な緊張感はなるほどNikoんの大きな魅力である。


ただ、3曲目「step by step」で響くダンスビート、人力ドラムンベースをさらにバンドで加工した楽曲のほうがフロアの反応は鮮やかだ。ストロボライトでブルーに染まるステージ。オオスカとマナミオーガキが声を重ねるサビは美しい流線型を描きながら進んでいく。2人があまり頻繁に視線を合わせず、それぞれスッと前を向いているのもよかった。今さら確認せずとも信頼がある。ともに進んでいく未来だけを見ていればいいのだ、というふうに。


マナミの弾き語りが証明していたように、基本はあくまで良曲、グッドメロディだ。そこにロック的な凶暴性や野生味を加えるのがオオスカの役割。いや、初めて聴く新曲の中にはマナミがドスを効かせて唄う「とぅ〜ばっど」などもあったので、彼女もその一端を担ってはいるのだろう。ただ、2つの要素に加えてさらに重要なものがある。それは中盤、No Busesの近藤がノイズ&同期担当として参加した「public melodies」ではっきりと伝わってきた。人間の演奏力だけでは突破できないDAWの使い方、デジタル技術ゆえの可能性。これが加わることでNikoんサウンドは、スタンダードという〈優等生〉枠から一気に飛び出す面白さ、個性、あるいは破壊力といったものを持つのである。


バンドマン根性論(すべて生音でナンボ、PCで作る音楽に熱量で負けるものか、みたいなやつだ)にしがみついている限り、Nikoんは生まれなかったし、この飛躍もなかっただろう。そして、DAW上で楽曲を次々と作りながら、至近距離で人間と向き合うライヴにこだわり、改めて超人的なドサ回りツアーを始めた2人に、新しい風のようなものを多くの人が感じているのだと思う。フロアを埋め尽くす若者たちは、ただ荒ぶるバンドが見たいわけじゃないのだ。彼らの目に好奇の色はなかった。もっと憧れだとか期待、大きく言ってしまえば希望に近いものが、そこにはあったのではないか。


トータル13曲と、決して長くはない1時間のステージ。ただ、まだアルバム一枚のみ、来月にセカンドアルバム発売という情報だけがあるバンドとしては大成功。圧巻の完成度と説得力だった。もちろんこれは到達点でも何でもなく、次作『fragile Report』発売後には購入者だけが入場できる47都道府県ツアーが控えている。身体を張ったツアーは続くが、それはド根性を振り回すものではないだろう。本編のラスト3曲はマナミが唄う新曲ばかりで、それらのメロディははっきりと明るかった。最初は青い炎だと思えたものが、マナミ歌唱のピュアネスによって明るい光になっていく。これがNikoんの現在地だ。その光がどこまで届いていくのか、ともに見ていきたいと思った。



文=石井恵梨子
写真=稲垣ルリコ


【SET LIST】


■マナミオーガキ(弾き語り)

  1. なんてな
  2. bend
  3. step by step
  4. Ghost In My Room
  5. とおり雨
  6. public melodies


■No Buses

  1. Imagine Siblings
  2. Sunbeetle
  3. In peace
  4. Slip, Fall, Sleep
  5. Uni
  6. Our Broken Promises
  7. Hope Nope Hope
  8. Eyes+
  9. Tic
  10. Girl
  11. Rubbish:)
  12. Kaze
  13. Home
  14. Imagine Siblings


■Nikoん

  1. Vision-2
  2. bend
  3. step by step
  4. とぅ〜ばっど
  5. Tic(No Busesカヴァー)
  6. public melodies
  7. Fly,
  8. ghost
  9. さまpake
  10. (^。^)//ハイ
  11. グバマイ!!

ENCORE

  1. mouton
  2. モダンタイムス(新曲)



NEW ALBUM『fragile Report』
2025.09.24 RELEASE

  1. fragile report
  2. bend
  3. nai-わ
  4. 靴
  5. dried
  6. さまpake
  7. とぅ〜ばっど
  8. グバマイ!!
  9. (^。^)//ハイ


『fragile Report』購入者特典LIVEツアー〈アウトストアで47〉(全49公演)開催決定!
詳しくはこちらをご確認ください。


〈Nikoん × Apes presents『Risorgimento』Nikoん Re:TOUR -チッタ360 -〉
10月30日(木)神奈川 CLUB CITTA'
OPEN 18:00 / START 19:00
w / Apes



Nikoん オフィシャルサイト

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