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INTERVIEW
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古市コータロー、3年ぶりのソロアルバム。彼が手に入れた、かけがえのない財産とは

text by 金光裕史

コレクターズの日本武道館ライヴが3月13日に迫る中、ソロ・デビュー30周年を迎えたギタリスト、古市コータローのアルバム『Yesterday,Today and Tomorrow』が、3月30日にリリースされる。the LOW-ATUS(TOSHI-LOW、細美武士)が歌詞を提供し、息子の古市健太がドラムを叩くなど、トピックも多いが、何よりこのアルバムは、これまでのソロ・アルバム以上に古市コータローらしさが出ている。強いコンセプトがないぶん、強がりもダンディズムも、センシティヴな感情も孤独さも、同時に深い愛情も、すべてがこの1枚ににじみ出た印象。彼の歩んできた人生については、アルバムと同時に増補改訂版が発売となる自伝「お前のブルースを聴かせてくれ」(弊社刊)に詳しいが、それがすべて楽曲に落とし込まれた、そんな印象を受ける。そして同時に今の彼は、アルバムのタイトルのように、過去と現在、そして未来を、落ち着いた視点で見つめている。人生はまだまだ続く中、波乱の人生を過ごしてきた彼が手に入れた、かけがえのない財産。

(これは『音楽と人』4月号に掲載された記事です)



AOR色の強い曲から、フォーク、シティポップ、歌謡曲、ブルースといろんなタイプの楽曲が並びながら、どこを切っても古市コータローでしかない、そんなアルバムですね。


「今回は、ほぼ何も考えてない。その時の気分に左右されまくって作ったからこうなりました(笑)。前作の『東京』は、79年から82年くらいの日本のシーンをイメージして、狙ったところがあるわけですよ。このアルバムにはまったくないね」


じゃあバックのメンバーは?


「すべて浅田くんに(浅田信一)に委ねました。彼と気心の知れてるメンツで、俺に合いそうな人たちを紹介してもらった。ドラムは健太だけど、それも信ちゃんからの推薦。本当、こういうの作ろうとか、こういう人とやろうとか、そういう意識はほとんどなかった」


じゃあ、けっこう短いタームでまたソロを作ろうと思ったのはなぜですか?


「それはですね。恐れ多くもソロデビュー30周年らしいんですよ、今年(笑)」


ファースト・アルバムが1992年ですからね。セカンドからサードまで、20年のブランクがありますけど。


「そう言わないでよ(笑)。周年だから、せっかくだしライヴでもやろうかなと思ってたら、コロムビアから『来年、アルバム出しましょうよ』と言われて。秋くらいかなと思ってたら『なんとか3月に』って(笑)」


決算の都合ってやつですね(笑)。


「それ、8月ぐらいに言われてさ(笑)。おいおい、ちょっと待てよと思いながら、夏が終わるまで毎日曲作ってた。でもそれもいいきっかけになったね」


功を奏したというか。


「ほんとにそう。何も意識せず、いいなと思った曲をとにかく形にしていった。まあ、宣伝するわけじゃないけどさ、7年前に自伝出したじゃん。あれ以降、本当にスッキリしちゃってさ。もう、どうとられようが、どう見られようが、仕方ねえじゃん、って気持ちになってるから」


それまでは、自分をどう見せるか意識してたというか。


「多少はあったと思うんだよね。コレクターズでギター弾いてる時も〈こういう見え方で、こういう発言したらカッコいいんじゃねえか〉とかさ。そうすると、ステージでもインタビューでも、多少演じちゃうじゃん。それはそれで悪いことじゃないけど、ずっとそれをやってて、飽きちゃったんだよな、些か」


でもそういう自然な振る舞いが、後輩たちから慕われてる理由だと思いますけど。


「嬉しいね。でももはや意識してないから。なるようになってるだけだよ」


若者たちはそうなりたくて藻掻いてるわけですよ。


「なるようになるんだって(笑)。これぐらいの歳になってくると、〈結局、俺ってこういう人間だよね〉って思うもんだよ。素直になれたら一番いい。そういう時がみんな来るから」


誤解されても?


「ああ、全然いい。ウェルカム誤解。例えばさ、こう見えて俺って甘党じゃん」


そうですね(笑)。


「甘いもん食べなそうだなって思われたら、それはそれでいい(笑)。何かでご一緒した時に『え、甘いもの食べるんですか!?』って反応も、別に嫌いじゃない」


取材してると「俺はこうだから誤解されたくないんですよ」ってタイプが多いですけどね。


「若いね(笑)。そんなさ、世界中の人間が自分のこと理解してくれるわけないじゃん。誤解されてナンボですよ。歌詞や曲にしてもそうだけど、みんながそこに感じてくれたものが俺なんだから……ちょっと話が前後しちゃうけど、今回、TOSHI-LOWとみーちゃん(細美武士)に歌詞書いてもらったのよ」


「サワーの泡」ですね。


「今いるこの店で、2人に『最近、コーちゃんは一体何を思ってんの? どうなりたいの? 夢とかあんの?』って聞かれたんだよ。歌詞の参考にするから、って。それで『俺は一生、この街で変わらない俺でいたいんだよ』って言ったのね。そしたら『どこまでカッコつけてんだ、このジジイは!』って(笑)」


でも本気ですもんね(笑)。そういえばTOSHI-LOWに先月号でインタビューしたんですけど、コータローさんの曲に歌詞提供したことに触れて「コーちゃんはさ、そうやってカッコいい自分で居ようとするけど、ひとりで家に帰る途中、ふと寂しさを噛み締めてんだよ。それが歌に滲んでるからいいんだよ」って言ってました。


「ふとそうなる、ってのはわかるよ。うまく言えないけど、両親を早くに亡くしてさ。14歳で天涯孤独。いろんなものを背負った人生前半だったじゃない? それが俺から隠れることはないね。常にどっかにある。やっぱりそういうのってにじみ出ちゃうよね」


よく言えばハードボイルドですよね。やせ我慢してでも、プライドを守って、カッコつけようとする。


「そうそう、思い出した。昔、30代の頃、こことは違う行きつけの呑み屋で、ほぼ毎日吞んでたのね。そしたらそこの常連のおばさんに『コーちゃんはツッパってるけど寂しそう。でもそこがいいのよね』って言われて(笑)」


TOSHI-LOWと同じことを(笑)。


「まあ、強がってるように見えちゃうのかもしれないね。実際、そうだと思うよ。親を亡くした時、絶対に周りから惨めに見られたくない、と思ってたわけさ。それはもう癖であるんだと思う。今でも変わらないんだろうね」


なるほど。


「作ってるものはいつかバレるんだよ。だからいいの。いつもはコレクターズのギタリストっていうガードがあるけど、そうじゃないところではそれでいい。ソロっていうのはそういう場所だから」

惨めに思われたくない、って気持ちをずっと引きずって生きてきたけど、孤独じゃなかったね、俺の人生

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