• HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
  • HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
INTERVIEW
  • #People In The Box
  • #WEBオリジナル

People In The Boxがツアーに掲げた〈無限会社〉シリーズ。成り立ちを先輩社員3人に聞いた

text by 樋口靖幸
2026年6月23日


先日ライヴレポの結びにも書いたが、〈無限会社 初夏の社員研修〉ツアーファイナルを観て、3人と会話がしたくなった。昨年、突如ワンマンツアーに〈無限会社 初夏の社員旅行〉という奇妙なタイトルを掲げ、会社の備品みたいなグッズを作り、ライヴのMCではブラック企業みたいな声がけが繰り広げられるようになったことで、とにかく〈楽しさの共有〉が倍増したのだ。というわけで今回、彼らに〈無限会社〉という設定がいつ、どのようなプロセスを経て生まれたのかを聞いてみたところ、きっかけはグッズの打ち合わせで、そこから悪ノリに乗じてツアータイトルになったり、パワハラ気質の会社の設定になったり……という面白エピソードを交えつつ、インタビューはバンドの本質に触れる真面目な展開へ。そんなユーモアとシリアスの二階建てになった彼らの今のライヴ、未見の人はぜひ。



まずは今年のワンマンツアーはどんなツアーにしようと思ってたのか、簡単でいいのでひと言ずつもらえると。


山口大吾(ドラム)「そもそも〈こういうツアーにしたい〉みたいな話とかしないんですよ」


今回に限らず?


山口「そう。まずセットリストが決まって、そこからリハを重ねていって、ツアーをしながら形になっていく感じなので。だからどこを目指すとか、お客さんにこう思ってもらいたい、みたいなのは、あまりなくて」


波多野裕文(ヴォーカル&ギター)「個人的な思いではあるんですが、そこそこ長くバンドをやってきて、ここにきて素晴らしいオーディエンスと素晴らしいスタッフ、そして素晴らしいメンバー、というバンドにとってはただただ最高の条件が整っている現状があって(笑)。それは僕にとってまったく当たり前のことではないし、そういった恵まれた環境においてはただ3人がシンプルに演奏に没頭することさえ大前提としてあれば、どう転んでもうまくいくという気持ちがあります。実際、音楽がまっすぐに届いている感触はありますね」


健太くん(福井健太/ベース)はどうですか?


福井「僕もあんまり考えてないですね(笑)。ひとつあるとしたら、みんなが集まってる空間がずっと楽しい場所であればいいなっていうことぐらい。あとはもっと気軽にライヴハウスに来てほしいっていう思いがあるんで、もっとそういう場所にできたらいいなとは思います」


そんなバンドが去年、〈無限会社 初夏の社員旅行〉というタイトルでツアーを開催。しかもグッズに社服やら社員証まで作ってて。これ、きっかけは何だったんですか?


山口「たぶん波多野くんが〈無限会社〉っていう曲のタイトルを使って、何かできないか?みたいなことを何かの打ち合わせで言い出して」


波多野「それ、グッズの打ち合わせだったと思う。グッズをブランドみたいな感じでシリーズ化させたら面白いんじゃないか、みたいな」


山口「そうだった。で、その会議で〈無限会社〉で何かできない?みたいな話から、どんどん悪ノリして(笑)。『会社なんだから社員証とかあったらいいんじゃないか』とか(笑)」


福井「あと、コンテナとか(笑)」


山口「会社の備品みたいなものをグッズとして出すのは面白いかもね、っていう。でもその時はまだツアータイトルに〈無限会社〉がつく話にはならず」


波多野「そこまでは言ってなかったね」


山口「で、そのうち『無限会社の社員旅行みたいなタイトルでツアー廻る?』みたいな話になった気がする」


そのアイディアに異議を唱える人もなく?


山口「いなかったです。スタッフも『いいねいいね!』みたいな(笑)」


福井「満場一致で(笑)」


そういうノリをツアーに持ち込むことで、お客さんがついてこれるか?みたいな不安はなかった?


波多野「さっきも言ったけど、そもそも僕らがツアーをやるにあたって、お客さんがついて来れるどうかを考えることはなくなったというか。コロナ禍になる前ぐらいから、僕らはリリースツアーだけじゃなく、たくさんある曲を次々と蘇らせていくようなツアーをするべきなんじゃないかっていう考え方になって。つまり僕らのモチベーションでライヴは好きにやらせてもらうよ、っていう感じなので」


山口「むしろ僕らがそういうスタンスで振り切ったライヴをしたほうが、お客さんもきっと喜んでくれるんじゃないか?とかね」


なるほど。ちなみに去年〈無限会社〉を観たあとに言いましたけど、今後のツアーは毎回このコンセプトでやればいいんじゃないかと思うぐらい最高で。


全員「はははは」


特にいいなと思ったのは、大吾くんのすべての声がけに対してお客さんが「はい!」って大声で返す場面。こんなやりとりがピープルのライヴで観られるのは初めてで。あれはどういう意図で?


山口「あれはライヴをやってくうちに、だんだんパワハラ気質の会社っていう設定に自然となっていって(笑)」


福井「パワハラでちょっとブラックな(笑)」


波多野「完全なる全体主義みたいな(笑)」


山口「打ち合わせしてそういう設定にしたわけでもなく、なんとなく自然と」


波多野「どんどん設定のディテールができてって(笑)。例えば無限会社という巨大な組織があって、僕らはそこから派遣されてる社員で」


山口「だから僕らはお客さんの先輩っていう(笑)」


波多野「あと、ライヴ中のグッズ紹介で『そもそも社員証を売るのはおかしいよね』みたいな話になりつつ、『でも身銭を切ることによって社員としての自覚が増していくんだ』とかでたらめを言ってみたり(笑)」


ツアーの中で自然とブラック体質になっていったと(笑)。


波多野「でも一番大事なのは、マジですべてがどうでもいいユーモアだってことで。僕らがこれを本気でやってると思われたらダメじゃないですか(笑)。たぶん来てくれてる人も冗談だってわかってくれてるとは思ってるんですけど」


もちろん。で、その設定をみんなが楽しんでいる。


波多野「だから悪ノリと言えばそうなんだけど、それを初めから狙ってたわけじゃなくて。僕らの楽屋のトークがそのまま形になっちゃっただけ」


山口「そういえばそうだね」


波多野「だからライヴ中のトークの純度としてはものすごい上がってる(笑)」


福井「純度は上がってるね(笑)」


そういえば昔ピープルのツアーを密着した時、楽屋で3人がめちゃくちゃ楽しそうに話してるのを見て〈あ、本当はこういうバンドなんだ〉って思ったんだけど、それをステージでやってるだけというか。


波多野「そうですね」


それをあそこまでお客さんと共有できるのが素晴らしいなって。


波多野「だからライヴレポで無限会社についていろいろ書いてくれたけど、ライヴの本質はそこじゃなくて(笑)」


わかってますよ(笑)。


波多野「完全に結果論ですけど、ああいうノリがあったからステージで自然体だったし、その延長のまま演奏をすることによって大きな振れ幅として音楽の強さを出力することができていたということなのかなと」


そうなんですよ。今まではどうしても演奏にもストイックさがついて回るバンドだったけど、そこへ3人の楽しそうな雰囲気が加わって、よりお客さんにも届きやすくなってるんじゃないかと思います。


波多野「そもそも僕らの作品って、3人の生活の中から生まれているものであって。とくに創作において、僕は2人と話をすることがかなり重要というか、そこで2人とコンセンサスがとれるものじゃないと歌詞にしたくないんですよ。フィクショナルに見えるかもしれないけど、実は生活を源泉としたところから地続きで作品ができている。そのことが、今はライヴでもちゃんと伝わるようになってきた気がする」


それをシリアス一辺倒に音楽で鳴らすのが正攻法だとしたら、〈無限会社〉っていうユーモアを絡めたほうが、逆に伝わりやすいというか。


波多野「そうですね。シリアスな音楽をことさらシリアスに伝えるのって、ちょっと嘘っぽくなる気が……そういえばライヴ終わったあと、3人でそういう話したよね?」


山口「したね。むしろお客さんのほうがシリアスというか、曲に対して勝手に深読みしてくる感じがあって」


波多野「そうそう。向こうからキャッチしてくれる」


もうちょっと説明できます?


山口「ライヴは僕がセットリストを組んでるんですけど、例えば今回だと〈技法〉とか〈戦争がはじまる〉のブロックって、他よりもテンポが遅めでゆったり曲を聴かせる感じになってるじゃないですか。それはシリアスな感じを演出しようと思って組んだ曲順ではないけど、お客さんのほうが〈さっきまでMCでふざけてたけど、実はこの人たちって社会に対して思うところがあるんじゃないか〉みたいに受け取ってる人もいるような感じがあって」


まさに自分もそうでした。


山口「それを意図して組んだセットリストではないからこそ〈なるほど、勉強させてもらいます〉みたいな」


それを自然にやってるから伝わるんだと思います。


波多野「だとしたら嬉しいけど。僕の歌詞ってある時からものすごい社会と密接というか、社会で起こる物事から作ってる部分が強くて。けど、僕はそれ自体をメッセージとして発信するような書き方はしたくないんです。なるだけフィクショナルに、なおかつ、賞味期限がすごく長いものでありたくて。僕が古典小説を好きなのはそういうところなんです。例えば1世紀前の小説とかって今読んでも〈え? これって今の世の中じゃん!〉みたいなのがすっごいあって」


『動物農場』(註:ジョージ・オーウェルの小説)みたいな?


波多野「そうそう。あたかも作者が仕掛けた時限爆弾みたいな感じじゃないですか。本人は狙ってないんだけど、歴史が勝手に繰り返されるから、〈これって今起こってることと重なるじゃん!〉ってなる。で、その現象は僕の創作の狙いと合ってるんですよ。つまり普遍的なこととして歌詞にしたいっていう」


っていう説明をなんとなく理解してる人が、あの空間にはたくさんいるから――。


波多野「そもそも理解するものじゃないから、音楽って」


そうですね(笑)。


波多野「聴いて〈バコーン!〉〈以上!〉なので。だから歌詞って、ものすごく副次的なものではあるけど、音楽のパワーを後押しするものというか。僕らの音楽にバコーン!ってなったってことは、同時に歌詞もうまく機能していると願って……って、ずいぶん真面目に話しちゃいましたけど、大丈夫ですか?(笑)」


大丈夫です(笑)。要は音楽を深く感じるうえでの糸口が楽しさなんじゃないかと。だから「こんなに面白いライヴをやってる人たちです」っていうのを、声を大にして言いたいですね(笑)。


福井「けど最近は雑談が長すぎて、それもどうなんだろうっていうのはある(笑)」


でも楽しいんでしょ?


福井「楽しい(笑)」


山口「楽しいですよ」


波多野「だからどんどん長くなる」


山口「でも不思議なのは、どの公演も時間気にせず雑談してても、ちゃんと2時間で終わるんですよ」


波多野「あれなんだろうね。なんとなくみんなの自制が効いてるのかな」


いや、雑談のプロってことで(笑)。


波多野「いずれにしても雑談が音楽の邪魔をしてないことが重要なんですよ。だって僕、人のライヴに行ってMCが長いとイライラするタイプなんで(笑)」


ははははははは!


波多野「だから……本当にライヴレポを書いていただいたのはありがたいんですけど、あれが違うバンドのライヴレポだとしたら、僕は絶対そのライヴには行かない(笑)」


全員「ははははははは!」



文=樋口靖幸
写真=八尾武志



〈People In The Box ツアー2026
“あなたはなぜ箱を開けるのか?”〉

11月20日(金)福岡 LIVE HOUSE CB
11月22日(日)高松 DIME
11月25日(水)恵比寿 The Garden Hall
11月27日(金)新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
12月2日(水)浜松 窓枠
12月4日(金)神戸 VARIT.
12月5日(土)広島 Live space Reed
12月11日(金)札幌 近松
12月15日(火)大阪 BananaHall
12月16日(水)名古屋 JAMMIN’
12月18日(金)有楽町 ヒューリックホール東京
12月20日(日)仙台 LIVE HOUSE enn 2nd


People In The Box オフィシャルサイト

SHARE
RECOMMEND
RECOMMEND
WEB ORIGINAL

People In The Boxがツアーに掲げた〈無限会社〉シリーズ。成り立ちを先輩社員3人に聞いた

#People In The Box
CURRENT ISSUE

KIRINJIに在籍したギタリスト弓木英梨乃がソロ名義の楽曲を発表。「Kaiho」に込められた思い

音楽と人増刊『ON VOICE Vol.4』の表紙は猪狩蒼弥。表紙画像と全ラインナップを解禁!

#KEYTOLIT , #ONVOICE
WEB ORIGINAL

jo0ji、ツアー〈よあけまえ〉終了。圧巻のステージから感じた可能性とその奥にある人柄

#jo0ji , #ライヴレポート
WEB ORIGINAL

SHE’Sが思い出の場所で結成15周年記念のワンマンを開催。バンドのスケール感に溢れた一夜

#SHE'S , #ライヴレポート
LOAD MORE

© 株式会社音楽と人

FOLLOW US
タグ一覧
ライヴレポート / WEBオリジナル / 最新号 / アーカイヴ / 編集部通信 / 怒髪天 / BUCK-TICK / 言の葉クローバー / DEZERT / 僕たちプロ野球大好きミュージシャンです! / 小室ぺいの自由研究 / a flood of circle / 音楽と人LIVE / PHY / NITRODAY / GRAPEVINE / 映画 / 9mm Parabellum Bullet / 中田裕二 / THE COLLECTORS / 銀杏BOYZ / MUCC / noodles / Mrs. GREEN APPLE / フジファブリック / go!go!vanillas / the pillows / SUPER BEAVER / 後輩ノススメ! / SixTONES / THE YELLOW MONKEY / ヤバイTシャツ屋さん / The Birthday / THE BACK HORN / ストレイテナー / BRAHMAN / UNISON SQUARE GARDEN / lynch. / ENDRECHERI / People In The Box / KinKi Kids / 2019年プレイバック&MY BEST MUSIC / 忘れらんねえよ / ポルノグラフィティ / THE NOVEMBERS / 山崎まさよし / THEE MICHELLE GUN ELEPHANT / The Songbards / The Songbardsの描写探訪 / aiko