【LIVE REPORT】
SixTONES LIVE TOUR 2025「YOUNG OLD」
2025.01.27 at 東京ドーム
我慢できないので結論から先に書いてしまう。最高のライヴだった。自分がこれまで観てきた彼らのステージで一番の内容だった。まだ興奮冷めやらぬ状態で、今なら何千文字ものレポートが書けそうな気がするが、これからもツアーは続くため、なるべく簡潔にまとめたい。
アーティスト性、人間性、エンタメ性の3つが今回のツアー〈SixTONES LIVE TOUR 2025「YOUNG OLD」〉の柱になっていると自分は強く感じた。このうちひとつだけを追求していたとしたら、あの興奮を味わうことは決してできなかったはず。これら3つの要素が繊細なバランスで保たれていたことによって、とんでもないカタルシスが東京ドームという巨大な会場で生まれた。
具体的にはまず、各楽曲の表現が大きく進化していた。6人のメンバーだけでなく、チーム全体が、SixTONESが誇る楽曲一つひとつの本質を正しく捉え、それぞれに合った表現を適切に選択していた。だからこそ、全体の構成や流れも完璧。大人になっていく6人のリアルと、それでもまだまだふざけていたい若者特有のグルーヴが、2時間半のパフォーマンスを通じて生々しくかつ、いきいきと描き出されていた。それによって、この瞬間にしか〈今〉の6人によるパフォーマンスは味わえないというエモさが増幅。特に象徴的だったのは、最新作『GOLD』に収録されている「WE ARE ONE」のパフォーマンスだ。Linkin Parkのメンバー、コリン・ブリテンが手掛けたこの楽曲は、音源を聴いた時点では感動的にライヴで表現されるものだと思っていたが、この日は、一つひとつのフレーズを大事に唄い届けるのではなく、あの瞬間、それぞれの胸に湧き上がった感情を一切コントロールすることなく、そのまま吐き出しているかのようだった。今後、この曲をライヴで披露することはあるとしても、この日と同じ表現にはきっとならない。今を生きる6人のそんな姿は、5万5千人の網膜にしっかり焼き付いた。
彼らが自分たちの感情をここまであらわにできたのは、バンドセットだったことも大きい。昨年行われたツアー〈SixTONES LIVE TOUR 2024「VVS」〉で初めて挑戦したスタイルは今回も受け継がれ、それは随所で光った。さらに、欲しい場所で欲しい曲が最高のタイミングで流れだす、ということがライヴ中何度もあり、その反対に、まさかここでこれをやるのか、という驚きの瞬間もライヴが進むにつれて増えていった。
その驚きはド派手な演出によってさらなるピークを突いた。あんなにも激しく火を吹くステージセットはヘヴィメタルのライヴでも見たことはないし、おびただしい数のレーザーは、つい先日さいたまスーパーアリーナで行われた〈GMO SONIC〉を彷彿とさせる規格外ぶり。海賊船を模したフロートも超巨大で度肝を抜かれた。繰り返しになるが、それらがすべて楽曲に合っていたことが非常に重要。ただなんとなく予算を注ぎ込んでド派手にしたわけではなく、あくまでも楽曲に寄り添ったものになっていたことがオーディエンスの興奮を何倍にも高めたのである。あの気持ちよさは、ほかではなかなか味わえない。最高のエンタメとはこういうことだと思った。
MCらしいMCは一度だけ。これがまあ、なんと面白いことか。大枠のテーマは決まっているように見えたが、その他はメンバーの転がし方次第。もはやトークイベントとしても成立するようなクオリティ。しかし、見方によっては、近所のコンビニ前で繰り広げるような光景を東京ドームで再現していただけとも言える。近所にいそうで絶対にいない6人の人間らしさが、大会場でのパフォーマンスを特別なものにしていた。そもそも、あんな場所で自然体で振る舞えること自体が異常なのだが。
オーディエンス側の変化も感じた。自分は以前から男のSixTONESファンがもっと増えてほしいと願っていたが、MC中にジェシーが先導したコールアンドレスポンスに応じる男性客の声量が以前よりも上がっているように感じた。〈YOUNG OLD〉というツアータイトルにもあるとおり、彼らは年代も性別も属性も問わないものを見せている。だからといって、最大公約数へ向けた薄い内容ということではもちろん、ない。むしろその反対で、彼らは万人をSixTONESの世界へと引きずり込もうとしているのだ。
〈YOUNG OLD〉は、SixTONESがアイドルの可能性をさらに広げていく意欲的なツアーだ。自分はそんな記念すべき瞬間に立ち会った。これに太刀打ちできる相手はいるのだろうか。今の彼らに勝てるアイドルは、未来のSixTONESだけだ。
文=阿刀"DA"大志
撮影=大峽典人