• HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
  • HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
COLUMN
  • #KinKi Kids

KinKi Kidsの『P album』は希望で溢れてる――絶え間ない挑戦がもたらした新境地と新たな輝き

text by 宇佐美裕世

2007年、KinKi KidsがCDデビュー10周年を迎えた年にリリースされたアルバム『φ』(ファイ)。デビュー当時からずっと『A album』『B album』『C album』……とアルファベット順に名付けてきた彼らにとって、この作品はタイトルを含め、それまでのアルバムとは一線を画すものだった。ブラックミュージックの要素をふんだんに取り入れた楽曲「lOve in the φ」から始まり、ラストはバラード曲「永遠に」。ジャンルに囚われることなくさまざまな楽曲に挑戦したことがわかりやすく提示された作品で、初めて一聴した時、自分の知らなかったKinKi Kidsが凝縮されていて衝撃を受けたことを憶えている。多彩な楽曲を唄いこなせるのは、ひたむきに音楽に向き合い続け、作品をリリースするごとに新しい挑戦を重ねてきた2人だからこそ。それに、さまざまなジャンルを縦横無尽に行き交うという意味では、「どこにも属さない集合体」という意味を持つタイトルに相応しい作品だと思った。


それから16年。まるで『φ』を聴いた時のように〈こんなKinKi Kids、知らなかった!〉と感動に打ち震えたり、KinKi Kidsの表現に無限の可能性を感じられる作品に再び出逢うことができた。それが本日リリースされた通算17枚目のアルバム――『P album』だ。「ジャンルレスな Piece[=音楽]がちりばめられたアルバム」と謳っているだけあって、新しいアプローチが随所に見られる本作。聴いているとつい身体を揺らしたくなるようなEDM調の楽曲が多く収録されていて、それだけでも新鮮だが、突如ラップが繰り出されたりと(しかもまったく違和感がない)2人の挑戦はこちらの想像の範疇を軽々と超えてくる。だから、本作を聴いていると楽しくて仕方がないのだ。


2人のヴォーカリストとしての進化にも触れておきたい。夜の深い時間にハマるようなメロウで艶のあるヴォーカルがとにかく美しくて、アルバムをリピートするたび、つい聴き惚れてしまう。基本的にオケが抑え目なので、ある意味歌唱力に大きく左右される楽曲ばかりが並んでいるが、どれも圧巻の歌声で聴く者の心を惹きつけてしまうのは流石としか言いようがない。それに、2人の声の重なり方も史上最高レベルだと思っている。それぞれの個性が反発し合うどころか、一つの人格に成るような感覚を覚えてしまうが、きっとそれは26年という月日がもたらしたものの一つなのだろう。


共同プロデューサーである堂島孝平の仕事ぶりにも改めて脱帽してしまう。楽曲提供などを含めれば20年以上前からKinKi Kidsに携わり続け、2016年から共同プロデューサーを務めている彼は、もはやKinKi Kidsの進化に欠かせない存在である。本作を制作する上でどんな話し合いが行われたのかはわからないが、多彩な楽曲に挑戦させたのは、KinKi Kidsが26年の間に築いてきた表現力に堂島孝平が絶大な信頼を寄せているからであって、光一と剛もそこに対して誇りを持っているから、数々の実験的な試みに賛同したのではないかと思っている。堂島が作詩作曲した「アン/ペア」や「One of a kind」なども、あまりにも素晴らしい。


名曲揃いの本作だが、特筆すべきは剛が作詩を手がけた「無重力みたいな愛」だ。作曲は堂島で、弾むようなホーン隊の音色、そして愛に溢れたストレートな歌詩が、聴くたびに温かい気持ちにさせてくれる。


〈心はひとつだから/君と僕はどんな日も見つめ合っている〉
〈ずっとずっといよう一緒に/離れずに愛しよう〉


この歌詩に込められた想いは知らないけれど、私はKinKi Kidsを愛する人たちに向けたメッセージとして受け取った。それは私自身が、2人が積み上げてきたものの尊さを日々実感していて、彼らのあずかり知らないところで彼らが積み上げてきたものが壊されることを危惧していたり、壊されてたまるか、なんて勝手に闘志を燃やす瞬間があるのも要因だと思う。しかし、自分を含めグループの今後に少なからず不安を抱いている人々に対して、2人は音楽を通じて、「僕らの絆や積み上げてきたものは、そう簡単に壊れるものじゃない。だから安心してほしい」と語りかけてくれているようにも聴こえる。都合の良すぎる解釈にすぎないが、どうしたって、KinKi Kidsと彼らを愛する人々にとってのお守りのような楽曲にしか聴こえないのだ。


そして、ラストに収録されている「明日のピース」。映画のエンドロールを想起させるスロウなナンバーで、「無重力みたいな愛」に通ずるような前向きで温かい言葉がここにも並んでいる。


〈キミといる 終わらない 世界で/愛ある 未来へ/今日と言う明日のピースを繋ごう〉


「無重力みたいな愛」や「明日のピース」で彼らが伝えたいことの正解は、自分にはわからない。本人にインタビューをさせてもらったわけでもないし、あくまで憶測にすぎないけれど、こういった純度100%の愛が感じられる楽曲を終盤に持ってくるところがKinKi Kidsらしいなと思った。普段は照れ隠しから本音を隠すこともあるが、ここぞという時には真正面からメッセージを投げかけてくれる。それこそがKinKi Kidsなのだ。


そして『P album』のリリースからわずか2週間後、今度は47枚目のシングル「シュレーディンガー」がリリースされるが、驚くべきことに、そこでも2人は新境地を開拓している。どんな状況下であってもKinKi Kidsとして挑戦することを諦めたくない――そんな強い想いが感じられる2人の姿勢や作品から、私は『音楽と人』2023年3月号のインタビューを思い出した。


「たぶんKinKi Kidsは完成しないまま、ずっと続いていくんですよ」


別々にインタビューを実施したにもかかわらず、それぞれの口から自然と出てきたこの言葉に、やはり二言はないのだろう。


最後に、本作を一通り聴き終えたあとは、ぜひ『A album』から『P album』まで順番に聴いてみてほしい。光一と剛がいくつもの挑戦を重ねてKinKi Kidsを大切に磨き続けてきたことも、彼らと私たちで積み上げてきたピースは、誰にも崩せやしない揺るぎないものであることも、きっと実感できるはずだから。


文=宇佐美裕世


NEW ALBUM
『P album』
2023.12.13 RELEASE

初回盤Aジャケット写真

■初回盤A(CD+Blu-ray or DVD)
・スペシャルパッケージ仕様
・28Pブックレット
・「ローズマリー」収録
・【特典映像】2022.07.20-07.21 @TOKYO DOME
・【特典映像】KinKi Kids YouTube Original Live Part 1
・『P album』シリアルコード封入

〈CD〉
01 X-Day
02 BANANA
03 Amazing Love
04 Through the night
05 Insomnia
06 The Story of Us
07 ローズマリー
08 高純度romance
09 アン/ペア
10 無重力みたいな愛
11 明日のピース

〈Blu-ray or DVD〉
・2022.07.20-07.21 @TOKYO DOME
・KinKi Kids YouTube Original Live Part 1
01 Amazing Love
02 硝子の少年
03 全部だきしめて
04 このまま手をつないで
05 夏の王様
06 ホタル
07 Hey! みんな元気かい?
08 僕は思う ~ ひとりじゃない
09 Kissからはじまるミステリー
10 フラワー
11 恋涙
12 カナシミ ブルー
13 変わったかたちの石
14 薄荷キャンディー
15 キミは泣いてツヨくなる
16 愛のかたまり
17 銀色 暗号
18 新しい時代


■初回盤B(CD+Blu-ray or DVD)
・スペシャルパッケージ仕様
・28Pブックレット
・「FREAKY FUNKY NIGHT」収録
・【特典映像】KinKi Kids YouTube Original Live Part 2
・【特典映像】Celebrating KinKi Kids' 26th Birthday
・『P album』シリアルコード封入

〈CD〉
※01〜06/08〜11初回盤Aと共通
07 FREAKY FUNKY NIGHT

〈Blu-ray or DVD〉
・KinKi Kids YouTube Original Live Part 2
01 Bonnie Butterfly
02 Time
03 solitude ~真実のサヨナラ~
04 Want You
05 道は手ずから夢の花
06 欲望のレイン
07 光の気配
08 lOve in the φ
09 やめないで,PURE
10 青の時代
11 Love is... ~いつもそこに君がいたから~
12 むくのはね
13 グッバイ・カウント・ダウン
14 もう君以外愛せない
15 情熱
16 杪夏
17 雨のMelody
18 愛について
19 スワンソング
20 薔薇と太陽
21 FRIENDS
・Celebrating KinKi Kids' 26th Birthday
Anniversary / MC / The Story of Us


■通常盤(CD)
・20Pブックレット
・「Before Dawn」収録
・「One of a kind」収録
・『P album』シリアルコード封入(初回プレスのみ)

〈CD〉
※01〜06初回盤Aと共通
07 Before Dawn
08 高純度romance
09 One of a kind
10 アン/ペア
11 無重力みたいな愛
12 明日のピース


TOWER RECORDSで購入
Amazonで購入
HMVで購入


NEW SINGLE
「シュレーディンガー」
2023.12.27 RELEASE

初回盤Aジャケット写真

■初回盤A(CD+Blu-ray or DVD)
・3面6Pジャケット
・「Precious Life」収録
・【特典映像】「シュレーディンガー Music Video & Making」 / 「シュレーディンガー Music Video Dance ver.」
・「シュレーディンガー」シリアルコード封入

〈CD〉
01 シュレーディンガー
02 Precious Life
03 シュレーディンガー - Backing Track -

〈Blu-ray or DVD〉
・シュレーディンガー Music Video & Making
・シュレーディンガー Music Video Dance ver.


■初回盤B(CD)
・3面6Pジャケット
・「Midway of Life」収録
・「KinKi Kids ニャンコ ステッカー」4枚封入
・「シュレーディンガー」シリアルコード封入

〈CD〉
01 シュレーディンガー
02 Midway of Life


■通常盤(CD)
・3面6Pジャケット
・「世界中を I LOVE YOU」収録
・「消えないトーチライト」収録
・「シュレーディンガー」シリアルコード封入(初回プレスのみ)

〈CD〉
01 シュレーディンガー
02 世界中を I LOVE YOU
03 消えないトーチライト


TOWER RECORDSで購入
Amazonで購入
HMVで購入


KinKi Kids オフィシャルサイト

SHARE
RECOMMEND
RECOMMEND

加藤ひさし(THE COLLECTORS)自伝『イギリスカブレ』重版記念、トークライヴ開催!

#THE COLLECTORS

【連載】言の葉クローバー/兼丸(the shes gone)が『コーダ あいのうた』のセリフから受け取ったもの

#the shes gone , #言の葉クローバー

ヤバT、初の単行本。大好評だったサコッシュとのセットが志摩スペイン村でのライヴで復刻販売!

#ヤバイTシャツ屋さん

WEST.主演映画『裏社員。-スパイやらせてもろてます-』。瑠東東一郎監督が語る7人の魅力と撮影秘話

#WEST. , #映画
CURRENT ISSUE

lynch.結成20周年の節目に語るVo.葉月の歩み。何者でもなかった青年がlynch.のフロントマンになるまで

#lynch.
LOAD MORE

© 株式会社音楽と人

FOLLOW US
タグ一覧
ライヴレポート / 最新号 / WEBオリジナル / アーカイヴ / 編集部通信 / BUCK-TICK / 怒髪天 / 映画 / 小室ぺいの自由研究 / DEZERT / 言の葉クローバー / NITRODAY / PHY / 僕たちプロ野球大好きミュージシャンです! / 音楽と人LIVE / GRAPEVINE / THE COLLECTORS / 9mm Parabellum Bullet / MUCC / 中田裕二 / a flood of circle / noodles / フジファブリック / go!go!vanillas / the pillows / THE BACK HORN / SixTONES / 銀杏BOYZ / Mrs. GREEN APPLE / The Birthday / BRAHMAN / 後輩ノススメ! / ヤバイTシャツ屋さん / ENDRECHERI / UNISON SQUARE GARDEN / SUPER BEAVER / ストレイテナー / KinKi Kids / 吉井和哉 / 2019年プレイバック&MY BEST MUSIC / 忘れらんねえよ / The Songbardsの描写探訪 / The Songbards / 山崎まさよし / THE YELLOW MONKEY / aiko / ポルノグラフィティ / メリー / 社歌を作ろう! / THE NOVEMBERS