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INTERVIEW
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ROTH BART BARONがDIYで作ってきた居場所。最新作『極彩色の祝祭』で求めた密な繋がり

text by 金光裕史

ROTH BART BARON (ロット・バルト・バロン)の楽曲から感じられるのは、音楽的な素養の深さやインテリジェンス、幅広い探究心はもちろんだが、それ以上に、三船雅也(ヴォーカル&ギター)が持つ音楽への熱意と、圧倒的なポジティヴィティでもある。音楽が持つ力を信じるその熱が、リスナーの心を揺らし、強い信頼を築いてきた。シーンに認められなかった状況に腐ることなく、自分たちで場所を作り、DIYの精神で続けてきたその音楽は、ゆっくりとだが確実に、現在のシーンとクロスオーバーしてきている。コロナ禍に揺れるこの時代だからこそ、不特定多数ではない本当の理解者と向き合い、それぞれの人生にとってかけがえのない音楽となっていくことが求められ、必要とされるのだろう。10月28日にリリースした5枚目のアルバム『極彩色の祝祭』は、この時代に生きる、すべての人を祝福している。



(これは『音楽と人』12月号に掲載された記事です)



いろんなライヴをこのご時世でも精力的にやってますね。


「はい、一昨日は秋川渓谷のキャンプ場で。〈PALACE〉というファンとバンドを繋ぐオンライン・コミュニティがあるんですけど、そこで集まった20人が、大自然の中で火を囲みながら僕たちの音楽を聴きたい、という企画を立ち上げて。雨でしたけど、非常にいいライヴができました」


そのコミュニティ内で企画を成立させたり、11月からの全国ツアーはクラウドファンディングを行って、300人の支援を集めて行おうとしています。こういうミニマムなコミュニティに向き合うやり方は、今の時代にとてもマッチしてる気もして。


「そうですね。〈PALACE〉は今年で3年目なんですけど、ようやくチームが軌道に乗って、勝手に転がるようになってきた感じがしますね。チームワークでいろんなことができるようになって。彼ら、彼女らが想像したことと、僕たちがもとから届きたかったけどできなかったことが、すごくいい化学反応を起こして、バンドとしてやりたいことが実現できてます。まだまだ手作り規模ですけど」


届きたかったけどできなかったこと、って何ですか?


「例えば野外でイベントやりたくても、演奏者だから、そこまで手が回らない(笑)。チケットのもぎりまではできないから」


それはライヴ制作の仕事なのでは(笑)。


「普通はそうなんですよね(笑)。ロットはDIYすぎるってよく言われます。でも手触り感のあるイベントにはしたいというか、そこにはこだわりたいんですよ。可能な限り」


それはなんでですか?


「そうならざるを得なかったから(笑)。バンドを作った当初、僕らみたいなジャンルの音楽性を許容してくれる会社が存在しなかったんですよ。音を聴いてもらって、理解してくれる人はいるんですけど、会社単位の話になると『いい音楽だけど、どうやって売っていいかわからない』って」


それをやるのが事務所やメーカーの仕事ですけどね。


「でも音楽を作り続けてた20代の頃に、そういうこと言われるのはけっこうショックで。だから自分たちがやりたいことをやるためには、DIYにならざるを得なかった、って感じですね。ここまで成熟してきた日本の音楽シーンに、個人単位で対峙するのってなかなかしんどいですよ。だから、指定されたドレスコードをまとわないとパーティに参加できないのなら、自分たちでパーティをオーガナイズしちゃったほうが新しいムーブメントになるし、僕は着たくない服を着なくていいから、それでいいじゃん、って」


三船くんの場合、そのドレスコードを否定してるわけじゃないんですよね。


「そう。たまたま僕はそれができなかっただけで。それに、いつかクロスオーバーするんじゃないかって、ずっと思ってるんです。森とタタラ場、双方生きる道はないのか、って(笑)」


もののけ姫ですか(笑)。


「ははははは。だって人間をやめるわけにはいかないので。じゃあひとまず、自分でタタラ場を作ろうと。いつか森と共存することもできるだろう、って」


だから音楽シーンに絶望したりはしない。


「あんまりしないし、それを否定しない。僕もそこに育まれてきた派生の一部だし。昨日ふと思ったんですけど、たぶん〈鳴かぬなら鳴かせてみよう〉タイプなんでしょうね(笑)」


昔からそうやっていろんなやり方を探っていくタイプ?


「そうですね。この世界全体、自分が生きやすいようにデザインされてないんだなってことは、早めに気づいてた気がします。そこにどう自分がアプローチして、自分が生きやすいようにリクリエイトするか、そういう世界に浸るのが子供の頃から得意でした。たとえばレゴとか、最初は楽しいんですけど、だんだんあのフォーマットが嫌になってくるんですよ(笑)」


そこそこ種類はあるとはいえ、決まったブロックで作らなきゃいけないですからね。


「そう。だから粘土を使うことを自分に許可してました(笑)。ただ、だからといって、自分が周りより優れてるとか、特別だって思ったことはないんですよ。むしろ不器用で申し訳ないな、といつも思ってて。その代わり、自分がときめいたり感動したものに対して、いかに純度高くやるかをすごく大事にしてます。ただ不器用なのでうまくやれず、空気が読めなさすぎたんでこういう活動になってるんですけど(笑)」


はははは。


「ただ、結果そうなっただけで、志はみんないっしょで、アウトプットの仕方が違うだけだと思うんです。だから、どこかでクロスオーバーするはずだ、と思っていて。今それが生まれつつある手応えも感じてるんです。尾崎くん(尾崎雄貴/BBHF)と繋がったり、佐々木くん(佐々木亮介/a flood of circle)が僕に声をかけてくれて、ソロ作でコラボレーションが実現したり。音楽的には違うかもしれないけど、そういう分析って意味がなくて。心のほうで繋がるものがある人たちと繋がって、クロスオーバーできる感じがいいんですよ」

もともと狂ってる世界に生きてた僕たちだけど、その中でみんなが生きてることを否定したくないんですよ

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