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INTERVIEW
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ヤバTニューアルバム発売に先がけ3人を取材。デビューから10年の日々を楽しく振り返る

text by 樋口靖幸
2026年6月24日


絶賛メジャーデビュー10周年アニバーサリーイヤー中のヤバT。ニューフルアルバム『Magical Tank-top Parade』が配信で6月24日に、CDで7月29日にリリースされることがすでに発表されており、もちろん本誌ではアルバムのタイミングに合わせて特集を組む予定ですが、その前に3人とこの10年を振り返りたいと思い取材をオファーしました。

インタビューは今年で3回目となる志摩スペイン村でのライヴ〈ヤバイTシャツ屋さん “Tank-top Festival 2026” in 志摩スペイン村〉を終えた2日後ということもあり、3人はまだスペイン村の夢の中でした(笑)。そんな彼らを10年追い続けてきて(しかも単行本まで出した!)思うのは、あの頃と比べてちゃんと彼らが大人になっていること。世間知らずであまのじゃくな大学生が始めたサークルバンドが、たくさんの人の力を借りてスペイン村で唯一無二のフェスを開催するようになったのは、本当に感慨深いことです。でも、それでいて彼らにはあの頃とずっと変わらない部分もある。それこそ実はヤバTがロックバンドとして存在する大事な要素なのです。

というわけでこの先も変わらずにいてほしいなと思わされた3人のワチャワチャをどうぞ。

(これは音楽と人2026年7月号に掲載された記事です)



まだスペイン村の余韻たっぷりの中での取材です。


こやまたくや(ギター&ヴォーカル)「ていうかまだ終わってないんで!」


ありぼぼ(ベース&ヴォーカル)「うちまだスペイン村にいるんで。帰ってきてない」


こやま「ずっとスペイン村にいる。去年から」


そんなバカな(笑)。


こやま「マジで! 今年もスペイン村に着いた途端、目の前の景色が昨日のことみたいで……1年経ったのが信じられへん!」


ありぼぼ「ほんまに。あれから1年経ったとは思えんかった」


もりもりもと(ドラム)「今はやりきった余韻でいっぱいですね。フェスを毎年やるバンドってこんな気持ちになるんだ、みたいな」


ありぼぼ「だいぶフェスらしくなってきたし」


こやま「本当に嬉しいですよ、出演者が増えたことが」


ありぼぼ「しかも単純にスペイン村を楽しんでくれた人が多くて。ジェットコースターに乗ったり。それがめっちゃ嬉しかったです」


今日の取材はみんなで10年を振り返ってもらうのがテーマです。メジャーデビューが2016年。個人的にはその年の〈京都大作戦〉が初めて観たヤバTのライヴでした。


こやま「伝説の回ね」


もりもと「僕がスティック落としたやつ」


その年の11月にアルバムをユニバーサルから出してるんで、すでにデビューは決まってたタイミングで。


こやま「でも〈京都大作戦〉からオファーをもらった時は、まだ決まってなかったんじゃない?」


ありぼぼ「たぶん(ユニバーサルと)話をしてたくらい」


当時はどんな気持ちでステージに立ってました?


ありぼぼ「なんも考えてないです。ただただ自分たちが楽しくて、自分らがこれおもろいってなったらじゃあそれをやろう、っていうことしか考えてなかったと思います。だから今の20代前半のバンドマンとくらべたら、うちらってめっちゃ幼かったね」


こやま「1枚目のアルバム出したら解散するつもりやったし」


もりもと「でもその1枚目がメジャーになってしまったっていう。なんか思ってたのと違うことになったな、と思いました」


ありぼぼさんも就職が決まってたし。


ありぼぼ「映像会社に行くのが決まってて。でもメジャーが決まったことで、どっちを選択するか?みたいな状態が2016年の頭やったと思います」


こやま「あの頃いろんなところから話があったけど、ミミカジル(マキシマム ザ ホルモンが所属する事務所)かバダス以外には行くつもりなかったんで」


解散してたらどうなってたと思う?


ありぼぼ「私はたぶん普通に映像の仕事をしてたな」


もりもと「僕は音楽を続けてなかったかもしれない。普通の会社に就職しただろうし」


こやま「僕もたぶん映像の仕事をしてたんじゃないですかね。あの時点で岡崎体育くんのMVとか作ってたし。だからメジャーの話がなかったらヤバTは終わってたと思う」


そんなバンドだったんで、初取材は世間知らずの大学生を相手にしてる感じだったのを覚えてます(笑)。


こやま「本当にそう。何にもわからへんし、生意気やった」


そんな状態で3人は取材をたくさん受けてました。


もりもと「キャンペーンで1週間全国移動したり」


こやま「いろんなとこ行ったよな。ラジオ局とか」


ありぼぼ「10分の出演のために飛行機に乗ったり」


ワケもわからずでしょ?


こやま「わかんなかったですね。誰と喋ればいいのか、どんな売り込みをすればいいのか、なんもわからんまま動いてた」


ありぼぼ「現場着いて何もわからず『はい』って台本を渡されて」


もりもと「でも美味しいご飯が食べれたんで、まぁいいかって」


ありぼぼ「もちろん今はこうして取材を受けたり現地に行って喋ったりすることの大切さをわかってるけど、当時はね」


もりもと「ラジオ局がフェスを主催してることも知らなかったし」


ありぼぼ「何も知らんとアホみたいな大学生が喋ってるだけ」


取材とかプロモーションの意味がわかるようになったのは?


こやま「……去年とか?」


ありぼぼ「おっそ!」


もりもと「適当過ぎる(笑)」


ありぼぼ「でも、そういうことをちゃんと考えだしたのはコロナ禍がきっかけだった気がする。どこにも行けんくなったから」


こやま「そうやね。それまではヤバTはすごい調子がよくて。曲を出せば売れるし、MVもめっちゃ回るし、ライヴも即完。で、〈泡 Our Music〉を出した時やね」


ありぼぼ「〈うなぎのぼり〉ね(註:2020年3月発表のシングル)」


スペイン村も中止になって。


こやま「何もかも止まって。ラジオ局のキャンペーンもなくなって、そこで初めてキャンペーンとか取材とかって当たり前じゃなかったことに気づいて。なんなら曲が売れるのも当たり前じゃなかったんやって」


もりもと「いろんなものを見つめ直す期間でしたね」


ありぼぼ「あと、考える時間がようやくできたのもあります。うちらってそれまでがノンストップだったんで。ライヴもめっちゃ詰まってるし、ラジオとテレビもやったりして、詰め詰めで自分が今どこにいるかもわからん、みたいな状況やったのに、急にシンプルな生活になって。その時に考える時間がめっちゃできて、そこでようやく気づきましたね」


あの時のこやまくんは暗かったです。


ありぼぼ「でもそのぶん人として成長させられたっていうのはあったと思う。そうじゃないとうちらもっとヤバかったで?  30代で『なんのために行ってるかわかりません~』とか言ってたかもしれへん(笑)」


こやま「ほんまやで。20代後半でそれに気づけてよかった」


ありぼぼ「あのままだったらワガママ30代が爆誕するとこやったからな」


でも10年前からまったく変わってない部分もあるのがヤバTのいいところで。


こやま「曲作りとか活動の方針に関しては、10年経った今でも自主の時のままやらせてもらってますね。それは本当にありがたいと思います。天白さんっていう怖い女性がいるんですけど」


ユニバーサルの担当ディレクターですね。


こやま「10年間ずっと担当してくれてるんですけど、めっちゃ自由にやらせてもらえてるんやって、ようやく気づいた(笑)」


なんで自由にやらせてくれてるんだと思います?


こやま「たぶんヤバTに関してはそれがベストだと思ってくれてはるんじゃないですかね。何か言われたら、たぶん俺ら絶対嫌な顔するし(笑)」


ははははは。


こやま「曲に関して『もっとこうしたほうがいい』とか言われたことがない。それってすごいことやなって10年経って思うようになりました」


ありぼぼ「信頼してくれてるし、愛を持ってやってくれてるのがわかるんで」


もりもと「とはいえデビュー当初はハイペースでリリースしてたから、厳しくこやまさんのケツを叩いてくれて」


こやま「今の作曲のペースが作れたのは当時のおかげですね」


みんな……ちゃんと大人になりましたね(笑)。


全員「あはははは!」


こやま「そりゃ大人になるやろ(笑)」


ありぼぼ「でもこやまさんは昔のことをあんまり覚えてないんですよ。人に言った酷いこととか」


もりもと「10年前はアクが強かった」


ありぼぼ「そうそう。牛しゃぶって感じ(笑)」


こやま「誰が牛しゃぶやねん!」


もりもと「灰汁が出るから(笑)」


こやま「うまいこと言うな」


もりもと「でもこやまさん、ちゃんと年齢とともに大人になってしまって、逆に寂しく感じる時もある。トゲがないというか」


こやま「最近はもりもとの言うことにトゲがあるんですよ。俺らが半分冗談で嫌味なことを言ってても、もりもとが最後に一番嫌な言葉を刺してくる(笑)」


最初ヤバTのことが好きになったのは、今言ってたようなアクだったりトゲだったり、つまり怒りとか苛立ちみたいなものを楽しい音楽に変換するバンドだったからで。そこは3人が大人になった今でも変わってないんじゃないかと。


こやま「そうですね。今でも3人で文句を言っている時が一番盛り上がる。しかもちっちゃいことに」


ありぼぼ「朝から晩まで、寝ても覚めても文句文句文句文句(笑)」


具体的なエピソードをお願いします。


こやま「以前出演したとあるフェスで、僕ら朝イチの出番やったんです。ちなみにフェスで朝イチだと朝ごはん用意されてないことがけっこうあるんですけど、楽屋に着いたら〈9時からケータリング会場に朝食あります〉って書いてあったんで〈おお! あるやん!〉ってワクワクしたんです」


朝から豪華なケータリングが待っていると。


こやま「で、楽屋に用意されてたよくある市販のおにぎりとパンにはあえて手をつけず、9時になるのを待ってケータリング会場に行ったら……楽屋と同じおにぎりとパンが置いてあった」


あらら(笑)。


こやま「しかもでっかいソーセージが挟まってるコンビニのパンなんですよ。で、思わず『これ、中学生が食べるパンやんけ!!!!』ってでっかい声で言って(笑)」


ありぼぼ「それがもうおもろくてしゃあなくて! 朝からでっかい声で(笑)」


文句はちっちゃいけど(笑)。


こやま「俺らワクワクしてたのになんやねん!って(笑)。そしたら同じように朝イチの出番やった先輩バンドの方もやってきて、たぶん僕と同じ感想やったんでしょうね。なんも言わんと帰って行きました(笑)」


もりもと「さすが大人やね(笑)」


こやま「いや、おにぎりとパンを用意してくれてもちろんありがたいですよ? 最高ですよ! 大好きですよ、ソーセージのパン」


ありぼぼ「ただ、期待をさせてしまった」


こやま「そう! だって〈朝食ケータリングはこちら〉って書いてあるから! そしたら……『中学生が食うパンやんけ!』って(笑)」


もりもと「でも、美味しいパンでしたよ」


ありぼぼ「なんやかんや言いながらも結局は食べました(笑)」


ヤバTらしいエピソード(笑)。


ありぼぼ「でも大人になっていくにつれて、ありがたいことに文句を言うような相手って減ってくるんですね。だからこそ余計にこんなネタがあると嬉しくて。で、ブチ上がる(笑)」


こやま「上がるね~」


もりもと「貴重な機会だと思って止まらなくなる」


ありぼぼ「〈中学生みたいなパン〉でブチ上がる(笑)」


こやま「〈中学生みたいなパン〉なんて最高やん」


いつか曲にできそうなネタだ(笑)。では最後に、次のアルバムがどんな感じなのか教えてもらえますか?


こやま「次で6枚目なんですけど、緩急のない全部同じBPMの曲ばっかのアルバムです。今まではけっこう緩急を意識して作ってたんですよ、アルバムっぽい曲というか、ゆったりしたものを入れたり。でもそういうのがまったくない」


ありぼぼ「そういうことを意識することもなく」


じゃあ楽しく作れた?


こやま「楽しく作ってましたよ」


ありぼぼ「楽しく作ってたらこうなった」


こやま「焦ってヤバイヤバイ!っていう感じで作ったアルバムじゃないです。なんか楽しいなー、ぐらい。めっちゃリラックスしてるかも。緊張感のないアルバムです、マジで(笑)」


ははははは!


ありぼぼ「でも、うちは6枚の中で一番好きなアルバムです」


もりもと「むっちゃヤバTって感じがします」


こやま「うん。むっっちゃヤバT」


ありぼぼ「でもちょっと成長してるな、みたいな。なんかすごくいいとこ取りというか」


こやま「ちゃんとトゲのある曲もあるし(笑)」


ありぼぼ「うち、このアルバムが売れんかったら音楽業界終わりやと思う(笑)」


もりもと「あ、文句が出た(笑)」


じゃあ文句で終わります(笑)。


全員「ははははは!」


文=樋口靖幸
写真=MASANORI FUJIKAWA、Yukihide "JON…"Takimoto、toya



NEW ALBUM
『Magical Tank-top Parade』
2026.06.24 DIGITAL RELEASE
2026.07.29 CD RELEASE

1.Magical Tank-top Parade
2.ええがな
3.WEST NIGHT
4.PAC-MANISM
5.こんな起きてるだけの日々なら寝てた方がマシやろ
6.SA
7.Searching for Tank-top(Magical ver.)
8.アルゴリズムの犬
9.恐竜 〜Dynamite Soul〜
10.たのかく
11.コンプライアンス feat. NOBUYA(ROTTENGRAFFTY)
12.すこ。
13.Song Battle

Download/Streaming

10th Anniversary 特設サイト
ヤバイTシャツ屋さん オフィシャルサイト

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