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『呪術廻戦』エンディングテーマ「よあけのうた」が生まれるまでの苦悩と葛藤をjo0jiに聞いた

text by 竹内陽香
2026年3月26日


現在放送中のTVアニメ『呪術廻戦』「死滅回游 前編」のエンディングテーマとして書き下ろされた「よあけのうた」は、深い絶望の中を彷徨いながらも、必死に光に手を伸ばす人物の姿が、壮大なサウンドと共に描かれている。jo0jiのこれまでの音楽は、友達に語りかけるような親しみやすさが印象強かっただけに、この曲はアニメの登場人物に完全に寄せて書かれたものかと思っていたが、そうではなく彼自身の感情も重ねたうえで制作されていったという。さらに、この新曲を収録したシングルのカップリングでも、簡単には拭えない痛みや揺れ動く心情が綴られている。一体、jo0jiの中でどんな感情が蠢いていたのか。話を聞いてみれば、ここにたどりつくのはそう容易いものではなかったようだが、ボロボロになりながら完成させたこのシングルには、とてつもないエネルギーが渦巻いている。それは彼の音楽人生をさらに飛躍させるだろう。

(これは音楽と人2026年4月号に掲載された記事です)



タイアップの話は1年前くらいからあったそうですね。


「一昨年の11月末くらいに話をもらって。こんな大人気アニメのエンディングを、しかも名指しで言ってもらえるなんて思ってなかったんで、うれしかったですね」


最初にこの曲を聴いた時、めちゃくちゃ虎杖悠仁(『呪術廻戦』の主人公)の曲だなって思ったんですよ。


「ほんとですか!? よかった!」


でもSNSで、虎杖と自分の重なるところを探して作っていった、というコメントがあって。あまりjo0jiさんと虎杖に共通点はなさそうに見えるんですけど。


「なかったので大変でしたね。アニメの監督から『虎杖の曲を作ってください』って頼まれたんですよ。ひとつ前のクール(〈渋谷事変〉)で、虎杖が宿儺(呪いの王)の暴走でたくさん人を殺しちゃって、それによってひどく落ち込んでる心境を表現してくださいと。でも自分がこれから唄っていく曲でもあるので、ちゃんと自分事の曲でないといけないとも思って。だから虎杖の暗い気持ちや悩みをただなりきって書くよりかは、〈ここはめちゃくちゃ共感できるな〉って実感できるものを探しました」


たくさんの人を殺してしまった人物と同じほどの悩みや苦しさを自分の中から探すって、けっこうキツくないですか?


「なんで、やっぱ作ってた時はかなり気分が沈んでたと思います。特にこの曲を頼まれたタイミングくらいに、ちょうど地元の友達との関係がちょっとずつ変わっていってる感覚があって」


ああ、アルバムの時に話していましたね。


「そうそう。初めてのワンマンライヴを一昨年の11月にやって、地元の友達も観に来てくれて。その……手放しに喜んでくれてるヤツももちろんいたんですけど、焦ってるヤツもいて」


焦ってる?


「俺がたくさんの人を集めてワンマンライヴやってる状況を目の当たりにして、〈俺はこんな状態でいいのか〉みたいな。そのあとの大阪公演では、『jo0jiが遠くに行っちゃいそうで寂しくなった』って泣いてるヤツもいたりして。〈え、そんなこと思っとったん?〉って俺もびっくりして。俺がこうやって東京行ってひとりでワーワーやったりするの、ずっと横におったヤツからすると、ちょっと置いてかれた感覚があるのかなとか」


考えすぎてしまったと。


「で、その時期にタイアップの話が来たんですね。それで原作のマンガを読み返してる時に、『「何者にも成る必要は無い」そうやって嘯くのはいつだって何者かに成った者だ』ってセリフがあって。今まで〈何者かにならなくていい〉とか〈ただあるようにあれ〉とか唄ってきたんですけど、みんなから見たら、たぶん俺は何者かになる作業をしてる段階で。そんなヤツから〈何者かにならなくていい〉なんて言われても、〈お前はいいよな〉って、より卑屈にさせてしまったんじゃないかなと思って」


そこまで思い詰めますか?


「なんか考えちゃったんですよね」


今の話を聞いて思うのは、jo0jiさんすごく優しいなということで。


「そうですかね?」


だって、〈自分のせいで誰かが〉ってそこまで思い詰めるのは、それだけ相手のことを考えてるからじゃないですか。


「いや、優しいヤツが周りにいるんで、自分も優しくしたいなって思ってるだけですよ。なんか、大げさに考えちゃう時期だったんですよね。で、虎杖は人を殺したことでその人の人生を壊してしまったけど、俺も音楽ってもので、誰かの人生を捻じ曲げたりしてんのかもしれないなって思うようになって」


よく「音楽で人生変わりました」という人もいますけど。


「そうそう。自分も変えてもらった身ですし。いいも悪いも人に影響を与えるくらいのことをやってんのかなって。その片足くらいは突っ込んでんだろうなと思って、そこを重ね合わせながら歌詞を書きました」


ちなみに、そういうことがあって〈このまま音楽やってていいんだろうか〉って思ったりしませんでした?


「思いましたね。幸せもたくさん起きてるんだけど、どうしても不幸のほうに目がいくじゃないですか。で、なんかそのくらいのタイミングで不幸が増えた気がしたんすよ。〈これ、俺が音楽してなかったら起きなかったかもしんないな〉って思った時に、〈自分がうまいこといけばいくほど、誰かがそのしわ寄せを食らってんじゃないかな〉とか。なんとなくそう思っちゃう時期だったんでしょうね。なんで、苦しかった。悩んでるんだろうな、とはたぶんみんな思ってたんじゃないですかね」


作品や登場人物に寄り添おうとしたことで、ダークサイドに入っていってたと。どうやって抜けたんですか?


「最初にアニメサイズを作ったんですけど、監督から『虎杖が救われないまま終わってください。もっと光が見えなくていいです』って言われて。どんどん曲を暗くしていく作業をしたんですよ。で、それが完成してフルを作ろうってなった時に、こんな何も解決しないままフル尺も作っちゃうのはよくないなと思って。それなりに光に誘導するものじゃないとやっぱり無責任というか。ただ虎杖と一緒に自分も落ちちゃってたんで、ただ光に向かう姿を書いたらすべて嘘臭くなって、全然作れなかったんですね。それで……もうこの曲を完成させるのは1回置いとこうと思って。基本的に悩んでたことはすべて対人関係が原因だったんで、まずは自分がどういう態度で生きていけばいいのか、その時点で決める必要があるなと思って。それを考えることを優先したんです」


自分を見つめ直す作業をしたと。


「それで作ったのが『あえか』っていう前のアルバムに入ってる〈onajimi〉なんですよ。あれはそのことを消化するために作った曲で」


ああ、そうだったんですか。


「人が変わっていくことは、生きていれば絶対に起きる。で、変わってしまったことに対して、すべてを否定する必要はないなと思って。変わっちゃったり、わかり合えなくなっても、そいつと過ごした過去も含めて今の自分だし、もらったものは全部携えて生きていかなきゃいけないって。そこで一個腹を括ったというか。〈onajimi〉を作ったことで今の自分を受け入れられた。だから〈よあけのうた〉では踏ん切りをつけて、先を見つめようとする作業をラストに向けてしているんです」

自分を認められなかったんでしょうね、いろいろ。〈こんな俺が〉みたいなのを抱えながらずっとやってた

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