心を揺さぶられたり、座右の銘となっている漫画、映画、小説などの1フレーズが誰しもあるはず。自身の中で名言となっている言葉をもとに、その作品について熱く語ってもらう連載コラム『言の葉クローバー』。今回はストレイテナーのドラマー・ナカヤマシンペイが愛読するマンガの有名な格言を紹介。
(これは音楽と人2025年12月号に掲載された記事です)
『はじめの一歩』
努力した者が全て報われるとは限らん。
しかし! 成功した者は皆すべからく努力しておる!!
作品紹介
『はじめの一歩』森川ジョージ
いじめられっ子だった幕之内一歩がプロボクサーの道へ進み〈強さとは何か?〉を探求する物語。1989年から『週刊少年マガジン』で連載中。
好きな作品は他にもあるけど、名言を挙げるならこの作品ですね。このセリフはつねに画像を携帯に入れてるくらい座右の銘で。このセリフをLINEで人に送ったり、自分で見て〈あ、そうだよな〉って言い聞かせたりするぐらい好きです。
このセリフが出てくるのは42巻。鷹村守っていう日本最強のボクサーが初めての世界戦でリングに上がる前、相手の態度がめちゃくちゃ悪い中で、トレーナーの鴨川源二会長が鷹村にかけた言葉です。このセリフはリアルタイムで単行本を読んでた時に、いい言葉だったんで当然〈おお……〉みたいな感じで食らってしまい、そこからずっと心に残ってます。
これって最初は〈勝つには努力するしかない〉って額面通りの意味で受け取ってたんですけど、歳を取ってくにつれ〈どんだけ楽して勝ってるように見えるヤツでも、絶対に努力してるんだ〉っていう、相手を卑下したり、逆に嫉妬しないための言葉でもあることに気づいたんですよ。つまりすっごい要約すると〈やるしかない〉ってことで。誰かにジェラシーを感じた時も〈彼はちゃんと努力してるからそこにいる〉って思えば、自分も努力するしかない。ドラムに対してもそうだし、人生のいろんなことに対して言える言葉だと思います。
自分はわりと努力することに真面目に向き合うタイプだし、格闘技も死ぬほど見てるので、こういうスポーツのドラマ性に共感することが多くて。例えば今一番見てるのは、UFC(註:アメリカの総合格闘技団体)なんだけど、どんなに努力しても勝つヤツは勝つし、負けるヤツは負ける。でも努力してない選手はいないんですよ。
『はじめの一歩』は中学生の頃から読んでいて、今でも読んでます。単行本は144巻、もちろん全部買ってます(笑)。主人公の一歩はすでにボクサーを引退して、今はトレーナーをやってるんだけど、この先は結末がどうなるかが気になりますね。ただ、読んだことない人が今から読むには……ちょっと長いかも(笑)。
NEW EP
「Next Chapter EP」
2025.10.29 RELEASE

- メタセコイアと月
- My Rainy Valentine
- Next Chapter
- 走る岩(EXTENDED ver.)
〈Sad And Beautiful Symphony〉
12月9日(火)LINE CUBE SHIBUYA
12月10日(水)LINE CUBE SHIBUYA
