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INTERVIEW
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〈Archive/Interview〉山崎まさよし/音楽と人2006年7月号

text by 樋口靖幸
2025年9月25日


デビュー30周年を迎える山崎まさよしがリリースしたオールタイムベスト『山崎見聞録 〜30th Anniversary All Time Best〜』について本人が語ったインタビューが、音楽と人2025年10月号に掲載されているのだが、そこでトピックとなったのは「NAVEL」という曲を引き合いにして語られた〈家族との縁〉というエピソードである。「NAVEL」は2006年にリリースされたアルバム『ADDRESS』収録曲で、当時のインタビューではこの曲を書くことになったきっかけが語られているのだが、現在の彼の言葉と重ねて読むと、とても感慨深いものがある。というわけで当時のインタビューをここに掲載します。

(これは『音楽と人』2006年7月号に掲載された記事です)


3年ぶりのアルバムである。

タイトルは『ADDRESS』。この3年間に発表されたシングルはもちろん、デビュー10周年を迎えた去年を象徴する「8月のクリスマス」のアルバムバージョンも収録。そして今回書き下ろされた新曲は、まだレコーディング中ゆえ取材前に全曲を聴くことは出来なかったが、一聴して心が晴れ晴れとするような、溌剌とした若さを感じられる素晴らしいものだった。

前作『アトリエ』がそうだったように、三十路を越えてから唄う彼の歌には、デビュー時に顕著だったガムシャラさややんちゃなテンションが影を潜め、より心の深いところに染み込んでいく切なさや寂しさが強くあった。アップビートよりもバラードを指向し、甘さよりもほろ苦さを滲ませる。それはまるで人生を彷徨い続ける孤独なジプシーの世界。おい山崎よ、お前はどこへ行ってしまうのか。そんな寂しさを覚えていたのだが。

〈喜びも 悲しみも 君といる世界も/僕の真ん中で抱きしめていこう〉

アルバム冒頭の「NAVEL」で、跳ねるビートとアッパーなメロディで彼がこう唄うように、『ADDRESS』には生きることに希望や光を見い出そうとする強さがある。ひとりになんかなるなよ、俺と一緒に行こうぜ。このアルバムで山崎はそんなふうに語りかけてくるのだ。デビュー11年目となる今年、彼は新たな旅を始めようとしている。そしてたくさんの仲間を引き連れて。



まだ作業は終わっていないので、アルバムを作ってる現在の心境を聞きたいのですが。


「楽しいっすね」


それは今回ならではの格別なものですか。


「あのー、今回ほとんど家でやったんですよ、自分ん家で」


あ、スタジオ作ったんだよね。


「歌録りとかダビング以外、つまりベーシックな音はぜんぶ家で作りまして。だから、目覚めてベッドから起きたらそのまま……」


顔も洗わずに。


「洗わないときもあり(笑)。で、ずっと夜中までやって明け方ビール吞んで寝る、みたいな感じ。歌詞も部屋のリビングで書いてみたり。だからこう……スケジュール的には切羽詰まってるんだけど、自分の生活圏内で作ってるんで」


楽しいと。


「うん。拠点は自分の家ですから。腹減ったら自分で買い出しに行くし、スタッフとか来たらピザ取って食ったり。とても楽です」


以前から自宅録音はやってますが、ここまでやるのは初めてですか。


「アルバム1枚は初めてだね。今まではやっぱりスタジオをロックアウトしてそこで集中してやる――『アトリエ』のときはそうだったけど――そういうのはスタジオとか押さえるの面倒くさいんだよ。家だと例えば機材とかも自分で〈今日はこれにしよう〉とか選んだりできるし。スタジオでも自分のやりたいようにやってるんですけど、家でやれば他者の介入も減るし他者との距離も離れるわけで、そのぶん誰にも文句が言えないの」


今の環境って前から欲しかったんですか。


「前からちょっとしたデモテープは録れるようにはしてあったんですよ。でも、どうせならもっと本格的に録れるような環境にしようと思って。ちゃんと名前もあるんですよ? 〈スタジオ・ジンジャーミエール〉」


ジンジャーミエール?


「近くの神社が見えるだけ。わははは!」


…………とにかく、自分ん家だから楽しくやれてるってことなんですかね。


「まぁね。スタジオだともちろんスタッフはじめもろもろ人員が必要になってくるじゃないですか。例えば『いついつまでに曲が上がるから、今からミュージシャンをブッキングして』とか頼まないといけない。でも、家だと〈このぐらいのベースならとりあえず自分で弾いてみようか〉って試してみて〈あ、これいいじゃん〉ってなったらそのまま本チャンに採用できるし。逆に〈これは俺には弾けん!〉となったら〈アニキ(中村キタロー)、これから来れる?〉みたいに家に呼んで弾いてもらったりして。そういう気楽さがいいんだよね」


へー、家に来てもらうんだ。それはけっこう楽しそうだな。


「うん。エンジニアとかもね。あと、さっきも言ったけど自分ん家でやるから出来たものに関しては文句言えない。それがスタジオだといろんな人が介在する局面が増えるわけじゃないですか。すると〈こういう結果になったのは誰のせいじゃ!〉みたいなことになる(笑)。そういうストレスを減らしたかったというのがいちばんの理由。〈なんでこうなったんじゃ!〉〈それワシや!〉ってひとりで言ってればいいから(笑)」


でもそのぶん仕事は増えるわけですよね。スタジオワークというか。


「ケーブルはわせたりグルグルグルグル絨毯めくったりしとるよ(笑)。酒呑みながらやってわけわからんことになったり。でもそういうもの楽しいね! 向いてるよ、俺。スタジオワーク。演奏するだけの人かと思ってたけど」


話を聞いてると、できることならなるべく自分で全部やりたいって言ってるような気がするんだけど、そういうアルバムなんですかね?


「いや、やりたいんじゃなくて、やったほうが楽なんですよ。時間的にも精神的にも」


精神的にも?


「うん」


それって人と関わりながらやることにストレスを抱え込みがちだってことですよね?


「まぁそうだね。だからって作ったCDを自分で売るところまでやりたいわけじゃないよ。結局さ、自分の作品をどこで手放すかっていう」


それって自分が持っている領域に対する意識が強いということの表れだと思いますが。


「いや、自分の領域に入ってきても構わんよ。ていうか今までのアルバムはバンドとソロを交互にやってきたじゃないですか。それは、ひとりとバンドの間を行き来するのが心地よかったんですよ。人と一緒に呑んで騒いだ後はひとりでしっぽり呑みたい、みたいな。だから音楽もそうやって分けてたんだけど、今はもっと自由というか。ひとりになりたければなればいいし、誰かとやりたければ呼んでやればいいし。そんな感じ」


なるほどね。あの、事前に自宅のスタジオで作業してるって話を聞いたとき、すごく内向的というか内に籠った作品になるんじゃないかと思ってたんですよ。でも実際に上がった曲を聴いて思ったのは、すごい視界が開けてるというか家で作った感じがしないんがよね。


「ね? しないでしょ」


曲調はアッパーでハネてるものが多いし、歌詞も視線が俯いていない。


「そうですね」


前はもっと「寂しさ」とか「切なさ」とか「孤独を噛み締める」とか、そういうやるせない心情の歌が多かったけど……。


「そう、僕はひとりじゃないんですよ!」


(笑)単純にすごい前向きで。だからなんでだろうな?って思ったんだけど、今の話を聞いてなるほどなって思った。


「ストレスなく、すごくリラックスしてやりたかったの。自分のペースで。誰か来たらコーヒー入れるのも俺なんやけど、そういうのも楽しくてさ。ひとりで作業してても、〈コーヒー飲んでから次やるか!〉とか〈洗濯物干してからやるか!〉とか〈洗いものしてからやるか!〉とか……」


もういい(笑)。


「わはははは!」


気兼ねなくやったからこういう曲が出来たと。


「そうです!」


ちなみにそういう環境作りはいつ頃から?


「今年に入ってすぐ。それをやろうって考えてたのは去年の末から。紅白に出ながら(笑)」


そういえば出てたね。そう、紅白もそうだけど、去年ってすごく大変だったじゃないですか。


「うむ」


その中で感じたストレスもずいぶんあったと思っていたんですよ。特に人間関係の。


「そう、ストレス! 関係性においてのね」

逃れられない宿命も全部背負って人生を楽しもうってそう思えるのは素敵だな。誰でもそう思っていたいはずなんだ

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