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INTERVIEW
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〈Archive/Interview〉山崎まさよし/音楽と人2006年7月号

逃れられない宿命も全部背負って人生を楽しもうってそう思えるのは素敵だな。誰でもそう思っていたいはずなんだ



つまり去年の反動の表れではないのかと。


「あ~……だって去年はもうスタッフのために動いとったようなもんだから。俺の10年でもあるけどスタッフの10年でもあったし、それが集結しますからね。俺と10年関わった人たちの」


で、去年のあなたはそういう人たちの思いを全部背負ってて、非常にナーバスだった。


「そう……………………だから去年会ったとき、俺なんか険しくなかった?(←小声)」


険しいどころか…………ねぇ!?


「あのときは…………ホントご免なさい!(※昨年ツアー先での取材時に勃発した山崎マジギレ事件。怒り顔の写真多数掲載)」


いーえいえ!(笑)。


「あのときの記事見たんですよ、写真。……めちゃ怒っとるねん、ワシ! すっげぇ怒ってる。まともな顔がいっこもない。あれどこだっけ?」


新潟だけど。


「新潟だ! あれはねぇ……ビックリした」


ビックリしたのはこっちだ(笑)。まぁだから昨年は10年というものをすべて背負っていたわけじゃないですか。


「なんかフェスの主催者みたいなもんだったよね。主催は俺なんだけど、本人が直接手をくだせる部分っていうのは殆どないわけじゃない? みんなの動きを見守るしかなくて。ギター弾いて唄うだけだったらずっとやってきてることだから全然俺ひとりでも出来るけど、そうじゃないわけじゃん。俺がもし途中で倒れたりしたらスタッフも総倒れになるし。そういうプレッシャーはあったよ」


そういういろんな人との関わりがとてつもなく大きかった1年だったんだと思うし、それでも期待にちゃんと応えようとしてたし。


「うん……」


それでも物事のスケールがどんどんデカくなってって、どんどん本人からは距離が遠くなってくこともあったと思うんだ。


「そう。いろんな企画があがってたからね」


でも、自分のためにやってくれているってことも分かってて。


「いや、みんなが『お前のためにやってるんだ』みたいなこと言うのは違うね! 自分の10年のためにやってんの、〈俺の10年!〉って(笑)」


あはははは。


「だってキタローさんもそうだよ? 打ち上げでボソッと言ってたから。『まぁ10年って大した年月じゃないかもしれないけど、俺の10年でもあるからね』とか言ってめっちゃ嬉しそうにはしゃいどるわけ(笑)。でも、当の本人はそこまではしゃぐわけにはイカンでしょ。周りがみんな〈わーい! ウェーイ!〉ってなっとるから、どっか一歩引いとかんと」


去年、原稿にもそういうことを書きました。〈当の本人が冷めている〉と。


「ありましたね。でも冷めてるわけじゃないんだよ。だから……! 俺が10年というのを味わうのは今年なんだよ! みんなが〈さぁ11年目でリスタートだ!〉とか言ってる今年に、俺は去年を味わって。〈うわ~~10年目だぁ~って(笑)」


くくく。だから、去年そういう切羽詰まった状況を目の当たりにした身としては、今年はゆっくりして欲しいなぁと思っていたわけですよ。


「俺もそのつもりだったね!」


今年はアルバム出なくても我慢して待っていようと。ところが6月には出るって聞いて、逆に不安になっちゃって。〈山崎まさよし、働き尽くめでどうなっちゃうんだろう?〉みたいな。


「こんなんなっております!」


相変わらず忙しいのに去年会ったときと全然違うし。アルバムだってまだ途中なのに。


「そうね……」


だからどんなアルバムになるんだ!?って気になって。それこそ自分に籠ってみたり、「消えてしまいたい」みたいなフレーズが出てきたりとかすんのかなぁ?って。


「〈さよなら、探さないでね〉……って自殺すんのかよ(笑)」


(笑)そういう切ない作品なのかと思いきや、〈この先も青い夢を描いていくのさ〉みたいな言葉が出てくるような、視線が上を向いてる歌が多くて。


「それ、さっきも誰かに言われた。『いろんなこと全部ひっくるめて人生楽しめっていう歌になっとるよ』って」


そういう歌詞、今回多いと思わない? 特に1曲目の「NAVEL」とか。


「うん……これはね、俺の周りの環境も影響してるんですよ。知り合いが結婚して子供産んだりとか。年齢的に多くない? 周りでそういう友達」


確かに。


「あと、最近グ(・ス―ヨン)監督っていう人から――『プルコギ』っていう映画を撮ってるんだけど――曲の発注があったの。その映画のテーマ曲を書いて欲しいって言われて。グ監督は在日韓国人で、映画は焼き肉の話なんだけど、そのプロットというのが実は血の繋がりみたいなことだったりするの。要は在日韓国人っていう自分がずっと背負って生きていかなきゃいけないことがテーマでもあるんですよ。その話に従って書いたのがこの〈NAVEL〉で。これは〈へそ〉っていう意味なんだけど、へそって自分の真ん中にあるものでしょ。あと、へその緒って家族とか兄弟とか血の繋がりでもあるじゃん。でもさ、悲しいかな、そういう血の繋がりから生まれるいがみ合いとか憎しみってあるでしょ? 在日韓国人であることを一生背負っていかないといけないこととか」


うん。


「でも最終的には、そういう逃れられない宿命みたいなものも全部背負って人生を楽しもうっていう。それはグ監督が言ってたんだけど、そう思えるのって素敵なことだなって。たぶん、誰でもそう思いたいはずなんだよ。それが家族や兄弟じゃなくて他者との関係でもさ。だからこういう歌を唄ってみようと思って」


そっか……。山崎さんはそういう人との関係とか繋がりにすごく繊細な人じゃないですか。すごく相手の心にも敏感だし。そういう部分をずっと唄ってきてますよね。


「ソロだからなおさらね。バンドの人より強いというか、いろいろ考えちゃうんだよね……」


うん。でね「ADDRESS」っていうタイトルの意味がこの資料にはたくさん書いてあってですね……。


「どれどれ……えっと、『ADDRESSには、住所、宛名という他に、名刺、呼び掛け、提言、話ぶり、求婚』……求婚! ははははは、これだ!」


愚問と知りつつ聞きますが、こういう人との関係性に前向きな作品を作られたということは、もしかして結婚とかそういう予兆があるのではないかと……。


「あー、鋭いね! 鋭い!」


…………。


「こりゃないな、って思ってるでしょ(笑)」


まぁね。要はへその緒じゃないけど、人との繋がりにおいてどうしようもない自分ってあるじゃないですか。そこは歌を唄う人間として山崎さんの中には昔からベースにあって変わっていない。


「そうね」


でもその半面、変わりたいって思うことだってあるじゃないですか。


「……どう思う? 変わりたいと思う?」


俺はそう思って生きてますけど。


「あの……俺が思うに、変われないことと変わっていくことがあるんだよね。あと、変わりたいって思うことは、実はそれって自分を分かりたいっていうことなんだと思うの。……分かる?」


分かりますよ。変わりたいって思ってることほど変われないものといか。それを知ることだっていう。


「ね? だから、俺の場合は変わりたいって思うんじゃなくて、変われるところはここで、変われないところはたぶんここだろうなって、自分のことを分かろうとすることだと思ってる。それで楽になれるんじゃないかなって思うから。生きていく上でね。もちろん〈ああなりたい、こうなりたい〉っていう願望はあるよ。でもこれまで培ってきた自分というのがけっこう可愛かったりもするし。〈こんなヤツだけど、ここまでやってこれたのはコイツだからなんだよなぁ〉みたいな。だから変わりたいっていうより…………質問なんだっけ?(笑)」


まだ質問してない(笑)。だから、今言ったように、これまでの自分を大事にしながらも、これからの自分のために変わっていくことを怖れないっていう前向きな意志が、このアルバムにはあるわけですよ。これからの未来に対する明るく前を見ようとする気持ちがね、今まで以上に強くある。だから、俺の場合結婚という形でそれをとても強く思ったこともあって、結婚っていう言葉で質問してみたかったの。


「そうね……。そういう相手との関係の中で〈俺ってこういう人間だったんだ〉ていうことを認識するんだろうけど……どこかで怖さがあるっていうか」


怖さ?


「結婚とかに対してはあるよ。自分が相手に対して共存できるのか、共有できるのかっていう。生活のスタイルとかね。例えば〈仕事を家に持ち込むな〉って言葉を簡単に言うけどさ……」


まさにこれは家に仕事を持ち込んで出来たアルバムだし(笑)。


「そうそう(笑)。だから、けっこう神経質っていうか……理想的な形は何なのかってことを考えちゃうんだよ、どっかで俺は」


たぶん、とても理想が高いんだと思う。人との繋がりとか関係性に対して。


「そうかなぁ? どうなんだろう……でもそれって身勝手な話じゃん」


昔から身勝手な人だと思ってますけど。


「ほっといてください!(笑)。最終的にそれかい。それがいちばん言いたかったこと?」


いや、だからすごくピュアな人なんだなって。


「…………ピュアじゃないよ全然」


今回のアルバムは特にそういうことになってるんじゃないかと。


「僕は身勝手な人間です……って、そういうオチかい!(笑)」


だから違うって!(笑)。


文=樋口靖幸
写真=澁谷征司(super sonic)
ヘアメイク=三原結花(M-FLAGS)
スタイリング=宮崎まどか


※発売中の音楽と人10月号ではベストアルバムをもとにしたインタビュー&撮り下ろし写真を掲載。ぜひ誌面もチェックしてください。



BEST ALBUM
『⼭崎⾒聞録 〜30th Anniversary All Time Best〜』
2025.09.25 RELEASE



[DISC1]

  1. 月明かりに照らされて
  2. セロリ
  3. 長男
  4. 僕はここにいる
  5. 灯りを消す前に
  6. やわらかい月
  7. Plastic Soul
  8. 心拍数 〜from 『Transit Time』〜
  9. 全部、君だった。
  10. 僕らは静かに消えていく
  11. 8月のクリスマス

[DISC2]

  1. 晴男
  2. アドレナリン 〜Recorded Live on 23rd December 2007〜
  3. Heart of Winter
  4. ア・リ・ガ・ト
  5. 花火
  6. ふたりでPARISに行こう 〜from 『Concert at SUNTORY HALL』〜
  7. 星空ギター
  8. 道
  9. ベンジャミン 〜from 『HARVEST』~
  10. 21世紀マン

[DISC3]

  1. 空へ
  2. 願い
  3. Eyes On You
  4. 影踏み
  5. Updraft
  6. 温かい手
  7. Fat Mama 〜from 『7th COLORS』〜
  8. 世界の果てまでありがとう
  9. フリト
  10. One more time, One more chance 〜劇場用実写映画『秒速5センチメートル』Remaster〜

-BONUS TRACK-
 11.ヤサ男の夢 (1995 Demo Track)
 12.僕はここにいる (1995 Demo Track)



〈YAMAZAKI MASAYOSHI
30th Anniversary TOUR 2025-2026 “僕はここにいる”〉

2025年
11/8(土)福岡県 福岡国際会議場 メインホール
11/15(土)山口県 宇部市渡辺翁記念会館
11/22(土)和歌山県 新宮市文化複合施設 「丹鶴ホール」文化ホール
11/24(月・祝)大阪府 オリックス劇場
11/30(日)静岡県 焼津文化会館
12/6(土)愛知県 岡谷鋼機名古屋公会堂
12/14(日)山形県 シェルターなんようホール(南陽市文化会館)

2026年
1/12(月・祝)北海道 Zepp Sapporo
1/18(日)宮城県 SENDAI GIGS
1/25(日)広島県 広島JMSアステールプラザ 大ホール
2/1(日)青森県 弘前市民会館
2/7(土)高知県 高知市文化プラザかるぽーと・四国銀行ホール
2/14(土)佐賀県 鳥栖市民文化会館
2/22(日)新潟県 りゅーとぴあ・劇場
2/28(土)神奈川県 パシフィコ横浜国立大ホール


山崎まさよし 30周年特設サイト
山崎まさよし オフィシャルサイト

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