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INTERVIEW
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〈人〉をテーマにしたPELICAN FANCLUBの新作。そこにあるバンドの優しさと温かさについて

text by 竹内陽香

シューゲイザーやドリームポップといった海外のシーンに影響を受けた音楽性とともに、ライヴで3Dメガネを配布したり、フロアにセットを組む〈ゼロ距離ライヴ〉という企画を開催したり、その独自のスタイルが目を惹くPELICAN FANCLUB。彼らは、そういった音楽的な偏差値の高さや、独創的なパフォーマンスに対して、強いプライドを持ちながらも、そこで悦に浸ったり、あぐらをかくようなことは一切ない。むしろ、聴き手と思いを共有する、そのことを強く意識しているバンドだ。それは新作「Whitenoise e.p.」にも強く表れている。耳触りのいいシンプルなサウンドと、誰かの存在が浮かび上がる歌詞。エンドウアンリ(ヴォーカル&ギター)は、学生時代は人間が嫌いだったというが、彼は間違いなく誰かの存在を求めている。捻くれていて面倒くさいが、なにより優しくありたい。彼が作る音楽の根っこには、そんな温かさがあるのだ。


(これは『音楽と人』2019年7月号に掲載された記事です)



新作の話の前に、リキッドルームで行われた〈ゼロ距離〉ライヴのことから聞けたらと思うんですが。


「やるまでは全然想像できなかったんですよ。これまで100人くらいしか入れない会場でやってきた企画を、リキッドルームっていうあんな大きいところでやるって、どうなるんだろうと。で、やってみて、なんかライヴっていう感じがしなかったんですよね。スクリーン3台入れて、VJが打ち出されてて、そこにみんながいるっていうのは、なんか作品的というか……キレイだったんですよ」


異空間みたいな。


「まさに。みんなが唄ったり手を上げたりしてくれるんで、そこで〈今自分はライヴをしている〉っていう感覚も取り戻せてはいたんですけど。自分たちが企画したにも関わらず、お客さんからサプライズをもらっているような感じでした」


ライヴの前半は、選曲やVJふくめて、この空間をどう見せるかを意識してたと思うんですけど、後半になるにつれて、お客さんと距離をどんどん縮めて、思いを通い合わせてる感じがしました。


「そうですね。最初は、広い空間の中で、何かいろいろ想像してほしいっていうのがあって、とくに演奏に集中していました。その空間に入ってもらえさえすれば、あとは自然と巻き込んでいけるというか。後半僕が荒ぶったりしましたけど、お客さんも自然と楽しんでくれていたし。感情の伝導率は今までで一番高かったなとは思います」


大きい会場で端まで思いを届けるって難しいと思うんですよ。でもあの日は、前半の緊迫感も後半の熱狂も、どちらもみんながちゃんと共有していたんじゃないかと。


「それはやっぱりちゃんと空間を作れたからだと思いますね。僕はやっぱり聴いてくれる人と気持ちを通わせたり、一緒にその空間を楽しむっていうことを大事にしていて、そのうえで共有しやすい空間を作って見せていくっていうのは、ずっと考えていることなんですけど。リキッドルームでのゼロ距離ライヴは、それがすごくできたかなとは思います」


そうですね。届ける人だったり、相手に伝えるっていうのは、より意識するようになってきてますか?


「すごいありますね。最初の頃は一切考えてなかったですけど……」


一切って(笑)。


「自分のイライラを吐き出すための音楽だったし、自分のためのステージだったんですけど、でもそれは第三者に自分たちの音楽が届いてるって気づいた日から変わっていきましたね。僕のことをわかってくれる人がいる、共有できるものがあるんだってわかって。それはすごいうれしかったし、ライヴというものの尊さみたいなものを知って、そこから意識が変わって今に至るんで」


うん。だから、やっぱり人を求めてるバンドなんだなってあのライヴを観てあらためて思ったし、今回のEPにもそういう思いが出てますよね。


「確かに。人の意識みたいな部分を綴った4曲なんですよ、今回の作品は。前まで生と死だったり、そういうところを書いてたんですけど、人間って何なんだろうみたいな部分を書きたくて」


1曲目から、〈結局人間ってなんだっけ?〉と唄ってますね。


「1曲目の1行目で〈結局人間が好きだった〉って唄ってるんですけど、これがこのEPのテーマですね。学生時代に人間関係でイヤなことがあると音楽とか映画に逃げたりしてたんですよ。人間イヤだな、関わりたくないな、1人が一番いいな、って思って映画観たり音楽聴いたりしてて。けど、その映画や音楽作ったのも人間じゃないですか。結局人間に頼ってる。それと一緒で……自分自身が人間ってことを忘れる瞬間ってあるじゃないですか……あります?」


うーん、忘れる忘れないっていう以前に、自分は人間だっていう感覚で生活してないかも。当たり前すぎて。


「そうなんですよ! そういうふうになってしまってるなって思ったんですよね!」


……もう少しわかりやすく話してもらってもいいですか?(笑)。


「前作出したあたりから、散歩してて突然幸せだなって思ったり、急にこの道歩いてて大丈夫かな?って思ったりすることがあって。理由はわかんないんですよ、いきなりそういう感情が来るんです。何なんだろうこれは、ってずっと考えてて。その理由を探る中で、そもそも自分ってなんだ、人間ってなんだって思って」


そこまで原点から考えてみたと(笑)。


「はい。人間って生物学的には、そこらへん歩いてる野良猫と同じように、呼吸して、生と死がある生き物なのに、無意識的に自分は野良猫とは違う存在だって思ってるんですよね。自分が一番かわいいし、大事だし。そういう思考や感情があるのが人間なんですけど、それを当たり前に使ってるから、みんな自分が人間だっていうことを忘れちゃうんですよ…………難しいですか?」


はははは。つまり突然感じる不安や幸せは、人間だから感じるものであって、そういう当たり前なことを忘れてしまっていたと。


「そういうことです!」

1人でいるのが好きなんですけど、いざ自分の蓋を開けるとそこに必ず誰かいるんですよね

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