• HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
  • HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
COLUMN
  • #PELICAN FANCLUB
  • #ライヴレポート

同じ目線で感情をわかち合った、PELICAN FANCLUBのゼロ距離ライヴ

text by 竹内陽香

【Live Report】
PELICAN FANCLUB 〈ゼロ距離ワンマンライブ “DREAM DAZE”東京編〉
2019年4月13日 at 恵比寿LIQUIDROOM



自分を囲むたくさんの人たちを見渡して、エンドウアンリはとてもうれしそうだった。

PELICAN FANCLUBの〈ゼロ距離ワンマンライブ “DREAM DAZE”〉。この企画は、フロアに楽器を置きステージとフロアの垣根を取っ払って、メンバーとお客さんの距離をゼロにするというもの。2017年に実験的に第1回が行われ、それから不定期に幡ヶ谷のforestlimitという小さなクラブスペースで行われてきた。それが、今回は恵比寿LIQUIDROOM。彼らのワンマンの規模としても最大のキャパシティだ。

会場に入ると、いつもは人で溢れかえっている広いフロアのど真ん中に、ギター、ベース、ドラムが配置され、その周りを360°お客さんが囲んでいる。さらに壁には大きなスクリーンが3面。forestlimitはこじんまりとした空間ゆえに、メンバーの熱量も感じ取りやすく、そこでしか生まれない熱狂があったが、この規模ではどういったライヴになるのだろうか。少しの不安と期待を胸に開場を待つ。


メンバーが3方向から登場し、セッションから1曲目は「ハイネ」。メンバーの真横にいるお客さんは、あまりの近さにうれしさと戸惑いの表情がにじむ。エンドウ、カミヤマ、シミズの3人は何度も経験しているだけに臆することなく、互いに向き合いながら集中してそれぞれの音を重ねていく。「説明」「ガガ」といった攻撃的で激しいナンバーでは感情を思い切り叩きつけるように、「次の朝へ」「Shadow Play」のような温かい曲ではそっと寄り添うように、エンドウの歌声が広がる。胸ぐらを掴んでくるような衝撃と、そっと手を引き寄せてくれるような温もり。そこにあるのはどちらも、もっとあなたとの距離を縮めたいという思いだ。


そもそも、誰も自分の気持ちなんてわかってくれない、という苛立ちがエンドウの音楽のスタート地点だった。そこから少しずつ自分を理解してくれる人の存在に気づき、思いを共有する喜びをたしかめてきた。もっと知ってもらいたいと思うようにもなった。そんな彼にとって、喜怒哀楽、すべてを過不足なく音楽で吐き出すことが最大のコミュニケーションなのだ。人と人は簡単につながれない。エンドウはそれをわかっているから、自分のすべてを見せて、できるだけ近くにありたいと願う。「to her」「ヴァーチャルガールフレンド」と、美しいメロディが丁寧に紡がれ、じっくり味わうように演奏を浴びる観客。真摯な演奏がだんだんとフロアをひとつにしていく。

「ダダガー・ダンダント」の前、エンドウは〈もし唄える人がいたら唄っていいんですよ〉とうながした。ここにいる人たちともっと音楽でひとつになりたい、そう思えたのだろう。〈もし明日もう1つ/地球が出来たとしても/ここにいてよ 君に言ってるの〉というフレーズが響き渡る。エンドウにとって、誰かとわかち合えることを知ったPELICAN FANCLUBは何よりも尊いもので、それを求めてくれる人たちはやはり全力で抱きしめていきたい。離れないでほしい。3人が鳴らす嘘のない素直なメッセージでフロアが完全にひとつになった。LIQUIDROOMで普通のワンマンだってできたはずだ。そうしなかったのは、メンバーとリスナーが同じ目線で音楽を感じることができるこのゼロ距離ライヴで、あらためて自分がどういう気持ちで音楽をやっているのか確かめたかったし、その思いをこうして集まってくれた人たちに伝えたかったのだろう。メジャーへ行っても、大きな会場でライヴをするようになっても、PELICAN FANCLUBの根っこにあるものはけっして変わらない、ということを。


そんな思いをたしかに受けとめたように終盤では、弾むようなリズムに手拍子が起き、疾走するメロディにたくさんの手があがった。それはforestlimitで観てきた熱狂と同じ光景。やっとゼロ距離ライヴに会場の大きさは関係ないんだと気づく。このライヴでゼロになるのは、物理的なバンドと観客の距離ではなく、心の距離なんだ。メンバーと周りにいる人たちが同じ表情をしている。みんなとても幸せそうだ。

これまでのゼロ距離ライヴにアンコールはなかったが、この日は新曲を含めた3曲を披露。6月には新しい作品がリリースされることも発表された。すべてを演奏し終えた3人はとてもいい笑顔でフロアを去っていった。彼らはこれからも音楽と、そしてそれを受け取ってくれる人たちと向き合いながら、バンドを続けてくれるはずだ。そんな誠実な思いを再確認できた夜だった。


文=竹内陽香
写真=伊藤惇


【SET LIST】
01 ハイネ
02 Night Diver
03 アンネとバーネット
04 説明
05 ガガ
06 VVAVE
07 朝の次へ
08 Shadow Play
09 M.U.T.E
10 新曲
11 アルミホイルを巻いて
12 to her
13 ヴァーチャルガールフレンド
14 ダダガー・ダンダント
15 ハッキング・ハックイーン
16 Dali
17 Telepath Telepath
18 ノン・メリー
19 記憶について

Encore
01 Luna Lunatic
02 新曲
03 Esper


NEW RELEASE「Whitenoise e.p.」
2019. 6.26 RELEASE

ONE MAN LIVE
〈会場〉千葉LOOK 
〈日時〉7月5日(金) OPEN 18:30/START 19:00
〈チケット〉前売 ¥3,000
〈オフィシャル1次先行受付中〉 4/21(日)23:59迄
URL: https://eplus.jp/pelicanfanclub19hp/

PELICAN FANCLUB 公式HP http://pelicanfanclub.com/

SHARE
RECOMMEND
RECOMMEND
CURRENT ISSUE

勝手にしやがれ、4年ぶりの新作にある光。ガン闘病を経た武藤昭平がたどり着いた境地とは

#勝手にしやがれ

音楽と人増刊「別冊 音楽と人 × go!go!vanillas」が3月24日に発売決定!

#go!go!vanillas

怒髪天、2021年一発目の無観客配信ライヴで見せた〈ロック界のお楽しみ係〉としての矜恃

#ライヴレポート , #怒髪天

【編集部通信】駅の改札機に置かれていた意外なもの。予期せぬ出来事を前にして

#編集部通信

the peggies、約1年ぶりのワンマン。2020年を通じて見せた北澤ゆうほの大きな変化

#the peggies , #ライヴレポート
LOAD MORE

© 株式会社音楽と人

FOLLOW US
タグ一覧
ライヴレポート / WEBオリジナル / 最新号 / アーカイヴ / 編集部通信 / 小室ぺいの自由研究 / NITRODAY / 音楽と人LIVE / 僕たちプロ野球大好きミュージシャンです! / the pillows / BUCK-TICK / 銀杏BOYZ / THE BACK HORN / 怒髪天 / ストレイテナー / 中田裕二 / DEZERT / フジファブリック / 2019年プレイバック&MY BEST MUSIC / The Birthday / MUCC / go!go!vanillas / THE COLLECTORS / 新木場ナイトカーニバル / 阿部真央 / PHY / メリー / noodles / 山崎まさよし / SUPER BEAVER / KEYTALK / ヤバイTシャツ屋さん / THE YELLOW MONKEY / a flood of circle / ARABAKI ROCK FEST. / BRAHMAN / SHE'S / My Hair is Bad / Ghost like girlfriend / 古市コータロー / PELICAN FANCLUB / スピッツ / 社歌を作ろう! / UNISON SQUARE GARDEN / PEDRO / ENDRECHERI / 夏の魔物 / 眉村ちあき / Mrs. GREEN APPLE / People In The Box