〈涙を拭って何度でも前を向け!!〉――NakamuraEmiが唄う楽曲と言えば、聴く人の背中を押すのと同時に彼女自身も自分を鼓舞するような歌が多くある。それはきっと、こうなりたいという理想像はあるのに努力が足りなくて追いつけない、そういう自分が情けないと思っているからこそ出てくる〈頑張れ私!〉という言葉なのだと思う。そんな彼女の初のシングル作となった「ばけもの」では、〈弱さを丸めて捨てたけど/残念ながらその弱さ 私らしさでもありました〉としっかり自分を肯定しているのだ。それは、今年リリースした『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6』にも散見している。〈ちょっと怠けったっていいのかもしれない〉〈ちゃんと私を撫でてあげて〉〈私なら大丈夫〉と、自分を認めることができている。じゃあどうして自己肯定できるようになったのだろうか。その答えを知りたくて、「ばけもの」が主題歌のNHKドラマ10『ミストレス〜女たちの秘密〜』のテーマにもなっている〈生きづらさ〉や〈幸せ〉について話しながら探っていった。すると、どうやら周りの人たちから充分頑張っているよと指摘されたことが彼女に変化を与えたらしい。今年メジャーデビュー3年目。NakamuraEmiはもっともっと化けそうだ。
2月に『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6』を出して、そのあと3月からは全国ツアーを廻っているようですが、どうですかツアーは。
「アコースティック編成があとちょっとあって、そのあと6月11日の愛知からはバンド編成になるんですけど、もうとにかくすっごく楽しくて。終わるのがほんとに嫌。単純にやだ!(笑)」
ははははは。そんな中、ツアーの合間にシングル「ばけもの」をリリースということで。
「そうなんです!」
今回はNHKドラマ10『ミストレス~女たちの秘密~』の主題歌ですが、これはドラマを観てから作り始めたんですか?
「曲を作る前に実際放送される映像は観れなかったんですけど、海外ドラマのリメイク版なので海外ドラマのほうを観させてもらいました。あとは台本ができた順に読んで、イメージ膨らませて、みたいな感じで作っていきました」
なるほど。資料に書いてあったEmiさんのコメントに〈ドラマに登場する個性豊かな4名の女性と頑張る女性へリスペクトを込めて出来た曲です〉とありますけど、実際どんな印象を受けましたか?
「4人が4人とも、〈えぇ!?〉ってびっくりするような生き方をしていて、しかもなかなか人には言えないような〈えぇ!?〉みたいな出来事がある人たちばかりで。ドラマだからこそ客観的に見ることができるなって」
ドラマにも出てきますけど、不倫してることとか同性愛者かもしれないこととか、そういうのって自分の中だけで物事を考えてしまいがちになると思うので、自分で自分のことを客観視できないというか。
「そう。とにかくすごく勇ましい女性たちが愛に突き進み、いろんなことに心が揺れ動かされ、毎日を葛藤しながら生きているんだなと。また、ドラマの後半戦になってくると〈ばけもの〉の歌詞と繋がる部分が少しずつ増えていくのかなっていうのは感じましたね」
このドラマは、「生きるとは?」「人生の幸せとは?」をテーマに、生きづらさや焦燥感と向き合う4人の女性を描いていますけど、Emiさんは最近生きづらさを感じたりします?
「生きづらさかぁ……」
すごい単純なところで言うと、Emiさんってほぼ毎日ぐらいの頻度でブログをあげたりするじゃないですか。その日会った人と一緒に写真撮って、その画像をブログにアップしたりして。そういうのって、ちょっと自分を縛ってるような感じになったりはしませんか?
「それは……ちょっと考えてて。今、毎日ブログを更新するのは追いついてない部分もあるんですけど。もう無理かもしれない、ほんとに辞めようかなと思ったんですけど、デビューしてから私と出会ってくれた人がそのブログに残っていってるので」