心を揺さぶられたり、座右の銘となっている漫画、映画、小説などの1フレーズが誰しもあるはず。自身の中で名言となっている言葉をもとに、その作品について熱く語ってもらう連載コラム『言の葉クローバー』。今回は、1月28日にメジャー2ndアルバム『いばら』をリリースした鈴木実貴子ズの鈴木実貴子が登場。音楽青春映画の名作に出てくるセリフを紹介します。
(これは音楽と人2026年3月号に掲載された記事です)
『アイデン&ティティ』
やらなきゃならないことをやるだけさ。だからうまくいくんだよ
作品紹介
『アイデン&ティティ』 監督:田口トモロヲ
みうらじゅん・原作、宮藤官九郎・脚本による音楽青春映画。バンドブームを舞台にロックとは何か?と葛藤する青年の姿を描いた名作。銀杏BOYZ・峯田和伸の初主演作品。2003年公開。
これは、映画のラストに主人公・中島が言ったセリフで、高校生だった自分にめっちゃ明快な答えをもたらしてくれた言葉です。当時、〈自分はどうしたいんだろう?〉って、ずっとモヤモヤ考えていた時期だったんですけど、この言葉を聞いて〈そうやんな! やらんとあかんことはやらんと進まないし、たぶんそれだけのことなんだろうな〉って思考を切り替えることができたんですよね。あれやこれやを考える前に、まずは自分がやるべきことをやろう、目の前にあることをやろう、って。
この作品を知ったきっかけは、峯田さん(峯田和伸/銀杏BOYZ)。〈映画に出るんや~〉っていうので最初は観たんですけど、バンドでデビューしたものの、違和感を抱えたまま活動を続けてる主人公と、周りとはうまくやってるけども、なんかしっくりこない、居場所のなさみたいなのをずっと感じてた自分がリンクして、もうめちゃめちゃ沁みて。そのあと、TSUTAYAで何回も借りて観ましたね。
その頃はまだ、家でちょろちょろギターを弾くぐらいだったんですけど、この映画で描かれてるバンドの青春感にも惹かれましたし、映画に出てくるライヴハウスとかヴィレッジヴァンガードがある下北沢の街が、田舎者の自分にはすごく魅力的に映って。ものすごくここで描かれてる世界に憧れを抱いたりしましたね。
そのあと自分も本格的に音楽をやり始めるわけなんですけど、この世界に自分が足を踏み込んでみて思ったのは……中島がやってたバンドって、めっちゃくちゃ順調に活動してたんじゃん!ってことで(笑)。実際はあんな順調にライヴハウスのステージを踏むことも、お客さんがいっぱい入ることもなくて。鈴木実貴子ズの最初の頃、ほんといっぱい現実を突きつけられましたよね。まあ高校生の時に、この映画で憧れを膨らましまくったのがいけないんですけど(笑)。
10年以上音楽活動を続けていると、何度となく、本当にやりたいこと、やるべきことってなんだ?ってことを考えたりするんですけど、そうなると今度は、この言葉が、〈おまえはどうなんだ?〉って問いかけてくるような、そういうふうに響くようになって。まあ、昔と同じように〈とにかくやらな進まんし、やらな〉って気持ちにもさせてはくれるんですけど、高校生の頃とは、またこの言葉の意味合いが自分の中で変わってきたように思います。たぶんこの先も、本当にやりたいこと、やるべきことってなんだ?って考えたりするんでしょうけど、そのたびにこの言葉に叱咤激励されてるんだろうなって思いますね。
NEW ALBUM『いばら』
2026.01.28 RELEASE

- ががが
- ゆれる6弦
- イッキ
- 四月の風
- ブルース
- 0月0日
- パンダ
- 止まるな危険
- ハックオフ
- ちいさなうた
〈「いばら」リリースツアー〉
3月8日(日)愛知県・名古屋CLUB QUATTRO w/日食なつこ
4月10日(金)福岡県・INSA w/ THE FOREVER YOUNG
4月21日(火)大阪府・LIVE HOUSE Pangea w/炙りなタウン
4月22日(水)岡山県・CRAZYMAMA 2nd Room w/炙りなタウン
5月8日(金)北海道・KLUB COUNTER ACTION w/後藤まりこアコースティックviolence POP
5月10日(日)宮城県・FLYING SON w/toddle
5月25日(月)東京都・渋谷CLUB QUATTRO *ワンマン公演
※終了分は割愛
