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INTERVIEW
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GEZANの新作『I KNOW HOW KNOW』が描き出すもの、そして日本武道館ライヴに挑む理由

シェルターの中だけで生きていくことに限界を感じてる。だから入り口に鍵を閉めない。誰でも入ってこれる態度だけは持っておきたくて



それは救いになるの?


「うん。外から見るとGEZANってひとつの意思の塊に見えると思うけど、実はバラバラで。一番身近な他者で、でも同じ方向を見て活動してる。そこにすごく救われる瞬間があったな。これがほんとひとつの意思しかないものだったら、ひとつの理由で停止しちゃうから。バラバラの意思でできあがってることがすごく面白い。この構造ってバンドに限らず、社会って呼ばれるものにも当てはまるものだと思う」


バンド自体が、社会の縮図である。


「うん。ひとつの考え方とか主張の人たちだけで絶対動いてないから立体的に回っていく。たとえばミックスでどういうサウンドを選んでいくのかも、やっぱり全員の話し合いで。自分の意見が通らない時は歯がゆい気持ちもあるんだけど、そのストレスが重要だなって後々思う」


たとえば、イーグルさん(イーグル・タカ/ギター)やヤクモアさん(ベース)の意見に押されてマヒトさんが引くことも?


「全然ありますね。けっこうある……どんどん増えてるかもしれない(笑)。でもそれは最初に話した片足を預けるっていうことで。片足は絶対自分の軸にあるんだけど、片足は外に預けてる。じゃないと、バンドっていう言葉は社会とか世界の縮図だって言い換えられない気がする。別にバンドやろうぜ、みたいな話に持っていきたいわけじゃないんだけど」


ははは。


「いわゆる往年の価値観はどうでもいいし、この時代あんまオススメできないなって気持ちすらあるんだけど(笑)。ただ、どう考えても一番カッコいいなと思ってます。それは、そもそもバンドの構造自体に矛盾があるからで。〈みんな〉って言われるひとつの塊でありながら、バラバラの意思があって、一体化と衝突が絶えず行き来してる。それって巨大な一個の意志よりも強いと思ってる。……強い、って言葉じゃないな」


生き延びやすい?


「うーん? ……どうだろう?」


これは農家の方から聞いた話だけど、同じように種を蒔いても、早く収穫できるものと遅くに実るものがある。なぜかって、日照りとか水害が来た時にまとめて全滅しないように。自然というのは本来バラけるようにできている。


「あぁ。その話はまさに、って感じがしますね。もちろん生き延びるためにやってるわけじゃないんだけど。これが、存在としてリアルで生きていやすい」


あと、バンドやろうぜ的な話で言うと、GEZANはずっと往年のシーンの価値観に与せず活動してきたわけで。


「選ばれてない。っていうかカウントされてない(笑)。どのシーンから出てきて、どのトップのバンドに付いていくとか、そういうのはほんとにないね、GEZANは」


だからこそ聞きたいのが、日本武道館を決めた理由です。


「わかりあえない人たちとどうやって生きていくのかって、まさに今現在進行形の話だし、武道館ってそういうことが試される場所でもあるじゃないですか。日の丸の下で演奏するわけで」


あぁ、そっか。そういうことになりますね。


「ただキャパシティを大きくしたかったわけじゃなくて。こういうふうに生きてる自分も今の日本に確かに存在してる。多数派じゃないにしても。そのことに挑戦したかった。今この挑戦は、自分たちの活動にとっても最重要だと思う、いろんな人たちが積み上げてきたムード、場所としての霊性は確実にあって。特別な場所ではあるから、その中で自分がどんな気持ちになるのかな、とか、すごく興味があったかな。ある種の宣言でもある。自分たちの話が通じる人たちだけを集めて、その濃度を高めて、シェルターの中だけで生きていくことに限界を感じていて。だから今回の炎上って、すごい皮肉でもあるけど、このドキュメントにとっては試されてる動きですよね」


や、下世話に言うと宣伝効果あったんじゃないの?


「これね、みんなに言われるけどまったくないんすよ(笑)。チケットとか今までで一番伸びてない、この時期が」


とはいえ、あそこで初めてGEZANの名前を知った人も多いわけでしょ。


「そういうのは来ないでしょ、基本的に(笑)。ただ、自分たちの活動ってそういうことも含まれてるんだなと思う。武道館に向けたツアーの〈集炎〉っていう言葉ひとつ取っても」


愛のある対バンツアーが続いたと思っていたら、最後はほんとにワケのわからない炎まで集まってきちゃった。


「そう。火っていうもの、俺らはすごいポジティヴに、焚火みたいに温まって命を活かすもの、人類の最初の知恵みたいなものとして扱ってたけど。でも炎上してる時はまったくポジティヴなものには見えなかったし。もちろん炎上ってほんとに燃えてるわけじゃないから、〈死ね〉とか〈家燃やすぞ〉とか言われてるんだけど、その強い言葉がそのものとして届いてこない、妙な浮遊感もあって。現実と乖離してる感じ」


でしょうね。


「でも、当たり前だけど、震災が起きた時に火事で人が亡くなったりね。そういうふうに命を与えも奪いもするのが炎で。あとは人が集まって何かが燃えることって、ロックバンドのフロアの景色と変わらないわけで。それってナチスが盛り上がってヒトラーを神格化した時と変わらない。みんな真剣に情熱を注いでただろうし。決してポジティヴなものだけじゃない」


集団心理でヒートアップして戦争に突入していく。それは歴史が証明してますよね。同じ熱狂を作るなら、ロックバンドとして一番綺麗なお花畑を描いていたいと思いますか。


「間違いなくそう思います。今は本当に……その感覚が最初から最後まで乱れずスッと通るように曲も選んでアルバムを完成させた」


うん。すごく透明で綺麗。何回でも聴ける。


「それは嬉しいです。窓を開けておくとか、入り口に鍵を閉めない、誰でも入ってこれる態度だけは持っておきたくて。自分たちがひとつの主張に輪郭を持たせて、入り口で誰かを弾く、みたいなことになっちゃうと……」


それは分断するだけの踏み絵になりますね。


「うん。〈お前はどっちなのか?〉みたいな話、あんまり意味ないなと思っちゃう。だから最初から弾き出すことは絶対にしない。だけど、嫌なこと、許したくないと思うことは唄う。言いたいことは言うし、嫌なものは嫌だし、同時にすべてを受け入れる。それも矛盾なんですけど」


その姿勢が、アルバムの風通しのよさを物語っていると思う。音も言葉もまったく痛くないし。


「うん。めちゃくちゃそれ弾いたもんな。自分の悪意みたいなもの(笑)。だから、今唄いたいことのすべてではあるけど、自分たちの持ってる要素のすべてだとは思わない。みんなそれぞれコントロールして生きてると思うんですよ。すべて解放して言葉にしていけば、自分の中に存在するヘイトな感情だって出てくるだろうし。でも、これが自分がつける一番綺麗な嘘だった……ってことなのかな? これがいい言葉なのかどうかわかんないですよね(笑)」


いや、嘘って、言い方を変えれば美しい夢だから。


「そうですね、夢です」


このアルバムを初めて聴いて、「あ、想像以上に優しい人なんだ」って思う人が増えたらいいなと思いますよ。


「そうなのかな?」


だって……祟り神みたいなノイズが来たらどうしようと思ってたから。


「そうですよね(笑)。自分でも、たとえば武道館の直前にアルバムが出るってなったら、もっとウオオーッ!っていう音で〈俺についてこい!〉みたいになっていく、そういうド派手なストーリーもありえたと思うんですよ。でもそういうロック的なカタルシスを作る前に、やっぱりこれが頭に浮かんだし、そういう曲は作らなかった。だから……たぶんこれで正しいんだと思う。自分の勘というか、直感がはっきりとそう言ってる」


文=石井恵梨子
撮影=レンゾ



NEW ALBUM
『I KNOW HOW NOW』
2026.02.11 RELEASE

  1. beat
  2. Amrita
  3. TRANSIT
  4. HAPPY HIPPIE
  5. Memoria
  6. 数字
  7. HOWL
  8. BEST DAY EVER (feat.Ichiko Aoba)
  9. 予感

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〈GEZAN 日本武道館 単独公演『独炎』〉
3月14日(土)日本武道館
OPEN 17:30 / START18:30
ACT:GEZAN
PA:内田直之
TICKET:指定席 ¥8,000
指定席(U-23) ¥4,000
イープラス  https://eplus.jp/gezan/
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/gezan-budokan/
ローソンチケット https://l-tike.com/gezan/

問い合わせ先:HOT STUFF PROMOTION 050-5211-6077




GEZAN オフィシャルサイト

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