違う関係に変わることもなく、会社で言うと、友達と一緒に仕事をしてる感じ。それがもう自然なことなんです。一緒にいることが(ホリエ)
前にシンペイくんが言ってたんだけど、ある時期から2人でいても長崎弁を使わなくなったとか。
ナカヤマ「ひなっちが入ってからですね」
ホリエ「でも長崎に帰ると、ライヴの現場でも長崎弁で喋ってますよ」
今ここで喋ってください(笑)。
ホリエ「長崎弁を樋口さんも喋れたら喋りますよ(笑)」
ナカヤマ「やっぱ長崎県民感がないと(笑)」
ホリエ「『長崎のどこ出身ですか?』ってね」
今ちょっとイントネーションが(笑)。2人でテナーを始めた当時はどんな関係でした?
ホリエ「2人きりの時は普通に友達ノリでしたね。いつも漫画を借りたり」
ナカヤマ「引っ越しを手伝ってもらったり」
ホリエ「『ONE PIECE』はいつもシンペイに借りるかシンペイの家に行って読むかだったんで、あれ以降は続きを読んでない(笑)」
当時の取材は2人とも外に対して閉ざしてる印象があって。そのぶん結束力があったんだろうなって。
ホリエ「排他的ではありましたね」
インタビュー中もシンペイくんが目を合わせてくれなくて。
ナカヤマ「ミッシェル(・ガン・エレファント)の真似してたんですよ(笑)」
あははは! じゃあ友達はあんまりいなかった?
ホリエ「自分たちから能動的に仲よくなることはあんまりなかったですね。八王子のライヴハウス時代も、先輩バンドが僕らのことを気にかけてくれたり、前に対バンした相手から声をかけてもらうんだけど、自分が好きなバンドじゃないと自分から連絡取ったりしなかったし」
人見知りだったと。
ホリエ「ひねくれてましたね。対バン相手を〈だっせえな〉とか思ったり」
ナカヤマ「〈だっせえな〉は一緒。で、さらに僕は人見知りだし」

当時と比べてお互いの関係は変わりました? 友達から仕事の関係になったとか。
ホリエ「仕事の関係とは思ってないですね。シンペイに限らず、ひなっちもOJも」
ナカヤマ「うちのバンドっていい意味でお互いに干渉しないんで」
ホリエ「ちゃんと相手を気遣える」
ナカヤマ「そう、みんな気ぃ遣い」
ホリエ「楽しくバンドをやっててほしいし、自分も暴君みたいなキャラにはならない。アレンジとかライヴの意見もダメ出しっぽくは言わないし、不機嫌な言い方もしないし」
もう何年の付き合い? 30年ぐらい?
ホリエ「30年以上?」
ナカヤマ「13歳から」
13歳からずっと一緒にいる友達ってどういう感覚なのか、まるで想像できないんだけど(笑)。
ホリエ「バンドをやってるぶんには何も不思議な感じではないですね」
ナカヤマ「特別なこともこれといってなく」
ホリエ「関係性が友達から違う何かに変化するタイミングもなかったし。会社で言うと、友達と一緒に仕事をしてる感じ。それがもう自然なことなんです。一緒にいることがね」
一緒にいるのが自然なこと……そのセリフ、いつか言ってみたい(笑)。
シンペイ「はははは」
ホリエ「一緒に飯も食うし、仕事もする。それが普通のことなんですよ」
時には相手が嫌いになったり、いがみ合うことも普通のことだと思いますが。
ホリエ「いがみ合ってもバンドがよくならないじゃないですか」
ナカヤマ「ホリエくんが暴君にならないっていうのがデカいと思う。〈何だよ、あいつ〉みたいなことがマジでないから」
ホリエ「でもバンドっていろんな形があるから。プライベートでは一緒にご飯食べたり遊んだりする友達みたいな関係でも、制作とかの現場ではきっちり関係性ができてたり」
なるほどね。
ホリエ「僕らは物理的な理由で、演奏できなくなったり、唄えなくなったりとか、そういうことがない限りはこの関係は変わらないですね」
じゃあこのバンドが終わることになったら、2人の関係はどうなります?
ホリエ「友達のままじゃないですかね」
ナカヤマ「仕事場で会わなくなるだけ。で、たまに誰かのライヴを一緒に観に行ったり」
ここまで長くバンドをやらないと理解できない関係なのかもしれないですね。
ナカヤマ「バンドってやっぱり特殊ですよ。飯食う機会も酒呑む機会も普通の友達より多いし。そういう日常を過ごしてるから、傍から見たらよくわからないのが当たり前っちゃ当たり前で」
ホリエ「でも、もし上京するタイミングで、シンペイが『俺バンドやめるわ。長崎が好きだから残る』ってなってたら、友達という関係は次第に希薄になっていったのかもしれない。長崎に帰ったらたまに会うくらいの。一緒にバンドをやってるっていうことが、友達という関係性を続かせてるっていう。それでしかないのかな」
最後に名言出ました(笑)。
2人「ははははは!」

文=樋口靖幸
撮影=後藤倫人_UM
NEW EP
「Next Chapter EP」
2025.10.29 RELEASE

- メタセコイアと月
- My Rainy Valentine
- Next Chapter
- 走る岩(EXTENDED ver.)
〈Sad And Beautiful Symphony〉
11月22日(土)NHK大阪ホール
12月9日(火)LINE CUBE SHIBUYA
12月10日(水)LINE CUBE SHIBUYA
