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INTERVIEW
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GRAPEVINEに出会えた喜び。最新アルバムの発売を記念して、田中和将のインタビューを公開!

text by 金光裕史

5月28日にリリースされた19枚目のオリジナルアルバム『あのみちから遠くはなれて』。音楽と人6月号では田中和将(ヴォーカル&ギター)、西川弘剛(ギター)、亀井亨(ドラム)へのパーソナルインタビューを軸にしながら、メンバーそれぞれにコラムを依頼、その他の企画も含め合計30ページ以上に渡る特集を行った。誰もがいつかの〈あのみち〉からは離れてしまう。どこから来たのか、今どこに向かおうとしているのか、わからなくなる。それでもGRAPEVINEの音楽は、そんな帰る場所をなくした僕たちに、寄り添うように鳴っている。ここでは、その巻頭特集の中から田中和将のインタビューを再掲載する。

(以下は音楽と人2025年6月号に掲載した記事です)



アルバム、傑作ですね。


「また面白いのができたなと思ってます。ただ、今回はよりバンドっぽいかなと。よりロックっぽい、ロックバンドらしい印象がありますね」


それは今回もプロデューサーとして采配を振るった高野さんの存在が大きいんでしょうか?


「大きいと思います。采配といいますか、〈中の人〉としてそれなりに長年一緒にやって、〈バンドとして、もっとこうやったら面白いんじゃないか〉と思ってらっしゃったことがたくさんあったと思うんです。〈中の人〉として見てきたものを、外の立場でもやってもらってて、そのバランスを楽しめてる。ライヴをやるにあたっても、わりとバンマス的な立ち位置で言ってくれるんで、そことも地続きな感じですね」


そういうバンドっぽさを求めていたんですか?


「勲氏はそう思ってたかもしれませんが、メンバーは別にそこまで意識してたわけではないと思いますよ。僕が書く曲はロックっぽくないものが多いのですが、今回、あまり書いていないんで、そのバランスもあるんじゃないですか?(笑)」


高野さんの関わり方は、前回と比べて違いましたか?


「作業が早いんですよね。亀井くんが作ったデモが送られてきて、それを聴いたか聴いてないかのうちに、それをいじった高野デモが来てたりする(笑)」


それに対してみんなで話し合う、と。


「そうです。それをどうやるかはスタジオで詰めるんですけど、高野デモを元にしてやってみるか、オリジナルの感じで詰めるか、それは曲によりけりというか、場の雰囲気ですね」


高野さんのデモはガラッと変わってるんですか?


「もうめちゃくちゃ変わってます。原曲はほぼないぐらい。でもそれが面白い。〈わすれもの〉のようなええ歌もんは亀井くんの真骨頂ですから、そのよさは殺さないようにしてますよ。時々、見解の相違もありますけど(笑)、でもそれも、面白くしようとしてるだけなんでね」


なるほど。


「亀井くんのデモって、よくも悪くもぼんやりしてるんですよ。本人もみんなで詰めることを考えて、極力シンプルにしてる。何もしてないようなデモなんです。それを高野デモでは、ブリティッシュな感じにしたり、四つ打ちにしたり、もうちょっと表情を入れて、具体的な音像にする感じですね」


今までもホッピーさん(ホッピー神山)や長田さん(長田進)、高野寛さんにプロデュースをお願いしてきましたけど、バンド内にいるがゆえのよさがある、と。


「〈君らこういうの好きでしょ?〉〈こういうのやったことないんじゃない?〉って感じで、いいとこをくすぐってくるんですよ(笑)。ズレてるなと思うことがほとんどない」


これはやりすぎでしょ?と思ったりしなかったんですか?


「〈ドスとF〉は……何もかもが違ってたので(笑)、最初、ちょっと抵抗がありましたね。もう原曲が思い出せない。でも面白い曲になりましたよ」


「どあほう」では、ここ最近よく歌詞に使われる河内弁が出てきますね。


「たまたまです(笑)。先月も少しお話ししましたが〈どあほう〉は、僕らにしては珍しい明るめのエイトビートなんで、それを活かして作ろうと話してたんですよ、そしたら『いっそのことメロコアみたいにしようや』という意見が出てですね。僕はあんまりメロコアとかメロディックパンクが好きじゃないので、じゃあメロコアとは何か、という討論が起こりまして(笑)。僕はメロコア特有の、パンクなアティチュードも何にもない、〈ロックだ!〉というノリと男気が嫌やから、もっとアヴリル・ラヴィーンみたいな感じでやるんやったらかまへんよって」


つまり、軽さがあったほうがいい、と。


「そう。肩の力を抜いた感じでそういうことをやれればいいんかなと。イントロはアトラクションズ(エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ)みたいなシンセ入れて、パンクブームを斜に見た感じにして。だから歌詞は、そういう人らが絶対書かんような歌詞にしようと思ったんですよ」


あーなるほど。無邪気な感じじゃなくて。


「そうそう。そういう人らが絶対書かんような言葉遣いとテーマで書きたくて。僕の中でサビはちょっとエモなんで、そこはちょっとホロッとさせつつ」


〈わたしがいなければ何もできない人〉ですよね。


「そう。その感じをやったら……ああなった(笑)。芸のためなら女房も泣かす、桂春団治みたいな。そういう前時代的なものが今あってもいいんじゃないか、と思って書いてみました」


コンプライアンス的な現在では相容れないところがありますが、そういう風潮に関してはどう思いますか?


「いろんな方面に関して過剰だなとは思います。でも、悪事が暴かれることに関しては概ねいいんじゃないかなと。ただ、個人を晒し上げる風潮はどうですかね」


そうですよね。


「いずれにせよ、それって顔の見えない人たちのやり取りなわけですから。そこに関してはなかなかどうなのかなって思うことはありますよ。でもそのおかげで、日本の闇が暴かれるんであればそれはそれでいいんじゃないかなと。ほかの曲の歌詞でもいろいろ書いてますけど、思考停止に陥らされていることが多いんじゃないかなって疑問は常々ありまして。〈ん? なんかおかしいぞ?〉と感じたとしても、うまく言いくるめられて。で、キレイなもんだけ拾って上塗りされてるうちに、なんかおかしいと思った心を忘れさせられてる。そういう風潮はたぶん全体的にあるんじゃないですかね」


今作は、今お話に出た社会性がはっきり出た曲と、どこか〈終わり〉を意識したものが目立つような気がしますね。


「まず社会性は、音楽って、そういうことを言う役割なはずなんですよ。一番カッコ悪いのは、斜に構えた冷笑ですから」


それを直接的に言葉で振りかざすのではなく、歌詞、サウンドでどう表現するか、って話ですね。


「そうです。言い方難しいですけど。声が大きくなってくると、パフォーマンスのほうが勝っちゃって、音楽が置き去りになってしまいがちなんです。せっかくええ音楽をやってるのに、パフォーマンスのほうが目についてしまう。そうなってくると、これだけ多様なコンテンツが溢れている時代ですから、コミュニティが村化しちゃうじゃないですか。その立場からものを言うと、冷笑に感じてしまうわけですよ」


音楽って村化しがちですからね。


「そのやり方が間違ってるとか正しいとかじゃないですけど、どういうアティチュードを取るかは、これから音楽をやる人たちにすごく問われてくるんじゃないかなと思います。僕は昔から、ロックのロックっぽいとこが好きじゃないんですよ。ロックってこういうもんですよ、と提示されたもんがすごく苦手で、それとは違うほうに行こうとしてる。でも僕ほどロック好きな人間も、そうそういないと思いますけどね」

僕は完全に根無し草なんで。田舎もないですし、親もいない。帰り着く場所は、たぶん僕が築いたものなんでしょうね

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