【LIVE REPORT】
〈Aile The Shota Oneman Live “REAL POP”〉
2025.03.16 at 東京ガーデンシアター
ライヴ中盤、ShowMinerSavageの一員として登場したBE:FIRSTのMANATOが、ステージ裏でAile The Shota が今日の客演を前にして「俺の人生だ」と言って泣きそうになっていたことを明かした。その後、Aile The Shotaは「MANATOに先に言われちゃったけど（笑）」と言っていたが、史上最大規模となった東京ガーデンシアターでのワンマンライヴは、まさにAile The Shotaの第一章、そしてここまでの音楽人生の集大成となった。
ステージの中央に置かれたミラーボールがキラキラとした光を放つ中、ライヴの幕が上がり、ステージ中央に堂々と立つAile The Shotaの姿が現れた。バックにはみずからがプロデュースを手掛けるダンス・クルー、ODORIの面々がずらっと並ぶ。アーバンでモダンなシティポップ「さよならシティライト」でAile The ShotaならではのJポップスター像を提示。続く「so so good」の途中で、「今日は一番前から一番うしろまで、あなたひとりひとりと愛し合うために来ました」と告げた。〈あなたたち〉ではなく〈あなた〉。この日何度も彼はその言葉を口にした。Aile The Shotaの音楽人生に必要不可欠なたくさんの〈あなた〉と共に音楽を奏で、音楽を楽しみ続けた時間でもあった。
昨年秋にリリースされたファースト・フルアルバム『REAL POP』の収録曲の中で一番、彼自身の人間性が出ている「Foolish」は〈誰も傷つけないような優しい人でありたい〉という一節から始まる。優し過ぎて人を傷つけることを恐れて気を遣ってしまう。それがコンプレックスだと『音楽と人』2025年1月号でのアルバム・インタビューで話していた。「Foolish」の歌詞に出てくるいろいろな〈君〉──たとえば、太陽が嫉妬するほどに眩しい〈君〉や自由気ままで気分屋の主人公タイプの〈君〉は、SKY-HIやBE:FIRSTのSOTAをはじめ、自分の近くにいる存在をモデルにしているとAile The Shotaは明かしていたのだが、そのSOTAを擁するShowMinerSavageの「Thinkin’bout you」と「Ocean」のあとに披露したのが、この曲と「gomenne」だった。
「Foolish」と「gomenne」を披露したあと、「バカになりたいなと思って書いたのが〈Foolish〉。そんな自分を大事にしたくて書いたのが〈gomenne〉。誰も助けてくれない時音楽は寄り添ってくれる。そんなとき僕はさっきやったみたいな曲を作って少しでも長くあなたに寄り添いたい。あの時、あの人のあの曲が俺をそう救ってくれたように」と話したAile The Shota。そして、アカペラで〈ヤな事ばかりが続く事もあるでしょう 足りないものなどキリが無いし 頑張らないのも たまには悪くないでしょう〉とSKY-HIの「me time」を唄い、「俺の愛する人です！」と言ってSKY-HIを呼び込む。
ステージに現れたSKY-HIとハグを交わし、「俺、幸せだぜ！」と言えば、SKY-HIは「俺のほうが幸せだぜ！ Aile The Shotaを愛してる人、手を挙げて！」とオーディエンスに手を挙げさせたかと思えば、「俺のほうが愛してるぜ！」と胸を張った。「次は俺の始まりの歌です」と言って唄われたのは、ダンスを始めた頃に訪れたshibuya eggmanでの原体験が綴られた「new blood feat. Maddy Soma」。自身のルーツのひとりであるMaddy Somaを見送ると、「俺と出会ってくれてありがとうございます。人生は選択の連続。THE FIRSTがなかったら俺はいない。親父とおかんがいなかったら俺はいない。こんな人生でほんとよかったなって思います」と、この場にいるすべての〈あなた〉へ感謝の思いを伝える。目の前にいるたくさんの〈あなた〉。そして、ゲストとして登場したたくさんの〈あなた〉。Aile The Shotaにとっての大切な〈あなた〉がステージにも客席にも存在することで、彼の人生が透けて見えてくるようだった。
今年1月にドロップされた新曲「アノナミダ」のラストのフレーズ〈少しだけ青く遠く 綺麗に見えた〉と唄ったあと、客席のあちこちからの名前を呼ぶ声が上がった。Aile The Shotaは感涙し、「アノナミダ」がずっと思い出したいのにもう会えない人のことを忘れたくないと思って書いた曲だったということを明かした。涙を拭いながら、「こんなつもりじゃなかった。あと2曲、楽しい曲をやるんです。僕は」と言うと、たくさんの「頑張れ！」という声が彼に降り注ぐ。そんな温かな空気に満ちた客席を見回しながら「マジで幸せ」と、多くの〈あなた〉がいる幸せを噛み締めていた。
そしてアンコールでは、「絶対東京ドームでライヴやるんで。何年後になるかわかんないけど、何年もかけるつもりはないから。紅白も絶対出る」と宣言。家族や仲間の誇りになりたいからであり、今そうなれている、と音楽をやっている理由を話し、「一人ひとりのあなたのおかげで、俺は誇りを持てているし、愛する人に誇りに思われてると感じられてる。だからあなたは俺の誇りです。あなたは俺の誇りだから、俺もあなたの誇りでいたい。命尽きるまでずっと寄り添うし、背中を押すし、付いてこいって言うし、幸せにする」とはっきりと口にした。たくさんの大切な〈あなた〉がいるからこそ、その人たちを傷つけたくないし、大事にしたい。その気持ちが生む優しさからつい気を遣ってしまう人間であるが、だからこそ彼は音楽で優しく〈あなた〉に寄り添い続ける。そんなAile The Shotaのリアルが詰まった新たなポップミュージック＝「REAL POP」をとことん体現したような3時間弱のライヴだった。
文＝小松香里
写真＝ハタ サトシ
【SET LIST】
- さよならシティライト
- so so good
- 常懐
- DEEP
- Eternity
- sweet
- hungover（feat.Kenya Fujita）
- Destroy
- Thinkin’bout you（feat.ShowMinorSavage）
- Ocean（feat.ShowMinorSavage）
- Foolish
- gomenne
- me time（feat.SKY-HI）
- J-POPSTAR（feat.SKY-HI）
- new blood（feat.Maddy Soma）
- AURORA TOKIO
- Yumeiro
- FANCITY
- 愛のプラネット
- 空を読む
- Memoria
- アノナミダ
- 踊りませんか？
- SAKURA
ENCORE
- No Frontier
- IMA
- LOVE
NEW DIGITAL SINGLE
｢SAKURA (Prod. Taka Perry)｣
2025.03.15 REALESE
〈Place of Mellow organized by Aile The Shota〉
5月16日（金）Zepp Shinjuku（TOKYO）
出演：Aile The Shota／idom／dawgss／eill
