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  • #9mm Parabellum Bullet
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【特集】9mm Parabellum Bullet 20th × 音楽と人|AL『TIGHTROPE』(2022年10月号)

text by 石井恵梨子

2024年に結成20周年を迎えた9mm Parabellum Bullet。彼らの記念すべき節目にあたり、〈9mm Parabellum Bullet 20th × 音楽と人〉と題し、これまでに発表されたアルバムに関する記事を順次公開していく特別企画、第9弾。このバンドにとっては、ある意味、節目ともいえる9作目のアルバム『TIGHTROPE』リリース時の記事を再掲載いたします。コロナ禍を経て制作された本作を通して見えてくる、〈9mmの音楽〉の根幹について、バンドのフロントマン・菅原卓郎が語ったインタビュー。


(これは音楽と人2022年10月号に掲載された記事です)


前作から3年ぶり通算9枚目、9mm Parabellum Bulletの最新アルバム『TIGHTROPE』が相当なインパクトを放っている。幕開けは物悲しいアルペジオで、物語はいきなり奈落の底から。狂騒のダンスや別れの哀歌、ハードボイルド歌謡曲やドラマティックに狂い咲くインストなどを経て、ラストも猛烈に悲しい2曲のバラード。どうかと思うくらい悲劇的なストーリーテリングである。それなのに、ここが一番重要なのだが、この作品はまったくネガティヴな印象を与えない。むしろ残るのは爽快なエネルギーであり、ポジティヴに駆け出したくなる勇気だったりする。つまり、濃厚な「悲哀」は用意された舞台装置。それをフル回転させながら確信犯的に前を向くのがこの4人であるという構造が、優しい歌の多い時代だからこそ明確に浮き上がるわけだ。結成18年目、改めて菅原卓郎(ヴォーカル&ギター)に聞く「9mm的世界観の作り方」。そのレシピは、意外とシンプルな言葉に着地する。



とってもスカッとするアルバムでした。手応えとして、どんなものができたと思ってます?


「や、スカッとするなぁとは思ってます、俺たちも。うん。9mmの今までやってきたことの良さ、まぁリスナーの人たちも自分たちでも〈9mmの武器ってこれでしょ!〉って思うものが全部入ってて。かつ2022年仕様になってるなぁって、それは完成して聴き返してから自分でも思いましたね」


いわば集大成って言葉になるんでしょうか。


「や……集大成っていう感覚はそんなにない。全部をまとめたって感じもなくて。なんか新しくなってるなと思う」


とはいえ9枚目ですよ。この数字を前に考えたことは?


「あの、タイトルに〈9〉付けたほうがいいのかなぁって考えて。あとは〈セルフタイトルかな?〉とも。でも……どうもうまくないから止めようと。滝(善充/ギター)とも話してたんですけど、ちょっと違うね、何かが違う、ってことになって。それで、セルフタイトルの機会は永久に失われてしまったなぁと(笑)」


ははは。19枚目くらいに是非。


「そうですね。ふふふ」


セルフタイトルだと、何が違ったんですかね?


「やっぱりアルバムを言い表してる感じがしなかったんだと思います。『TIGHTROPE』って言葉が出てきた時に〈あぁ、これアルバムのタイトルになるんじゃないか?〉って気がしたし、その場でメンバーのみんなにも聞いたけど特に反対する意見もなくて。こっちのほうが自分たちが作ったものに対する名前としては相応しかったのかな」


タイトロープって、綱渡り、みたいなことですよね。


「そうですね。綱渡りの、綱そのもの」


今、バンドの内部や環境がヒヤヒヤの綱渡り状態ってことでは全然ないと思うんです。


「はい。ただ、生きてると、綱渡り状態にいつの間にかなってたりすることはあって。コロナ禍もそうで、いつの間にか追い詰められてしまってる。でもそこでなんとか、僕らも世界中の人も綱渡り状態だったし、まだ渡り切ってないのかもしれないけど、なんとか生き抜いたじゃんっていう」


このアルバムはむしろ楽しんで綱渡りしてるし、そのスリルと遊んでる印象すらありますね。


「あぁ。そうですね、リラックスしてたんじゃないかな。もちろん当事者として、メンバーとして時にはどうしたらいいんだって悩むことはあるんだけど。でも〈どっちにしたってやるしかない!〉みたいな。そこを自分で客観視していられる部分もあるのかな。そういう考えで向き合えてます」


この2年半、ライヴバンドとしての自負が揺らぐことも当然あったと思うんです。その中で、自分は何を唄うべきか、立ち止まってしまうことってありました?


「えーと……そもそも2020年まで戻ると、ライヴは当然できなくなりましたけど、そこですぐ〈白夜の日々〉を作って、自分たちが置かれてる状況、あとは自分が考えてることをそのまま曲にできたなと思ったのがまずよかったんですね。ライヴはできなくても、聴いてもらうことはできるって、まずそこで第一歩があって。あと9mmはわりあい、まぁライヴも配信からだったけど、ちょこちょこやれてたから。〈あぁもう演奏できない〉とか〈俺たちライヴバンドとしてどうなっちゃうの?〉みたいなことは考えずにいられたかな。止めたら止まるし、それは簡単で。それにもともと……滝が一時期ライヴのステージを休む前後くらいからやってたようなもんだから(笑)。そういう経験も大きいのかな」


あぁ、いきなり初めての困難ってわけじゃない。


「そうそう。あと滝に関して言うと、いよいよコロナ禍でライヴができなくなった時に、元気のいい曲、面白さとかエネルギーで人を巻き込んでいくタイプの曲は確かに書けなくなってて。それで〈泡沫〉を書いたって言ってましたね。ライヴでガーッとアガる曲は書きづらいし、どうしたってドヨーンとしちゃうから、じゃあいっそそういう曲を書こうって。今回の〈Hourglass〉とか〈煙の街〉はその時期に作ってたメロディ。で、もっかい本腰入れて曲を書く時にデモのメロディ聴き返したら、すごい暗くて笑ったって言ってました(笑)」


ふふふ。そういう曲に卓郎くんが乗せた言葉と、ここまでとってもポジティヴに語ってくれてる卓郎くん、全然噛み合ってなくて面白いです。


「ふははははは」


だって一曲目から〈深い 深い 奈落の 底〉が舞台ですよ。ラストの「煙の街」も本当に暗ーい曲だし。


「そうですね。まぁ曲順がそうなだけで、アルバム自体は半分ずつエネルギー入ってると思うんですね。ポジティヴな部分と暗い部分と。あと、曲調とか世界観はダークでネガティヴなことを扱ってるとしても、エネルギー自体は〈これが届いてほしい! これを聴いてほしい!〉ってものだから。そのカタルシスが音楽に入ってるんじゃないかなと思う」


うん。むしろ卓郎くん、これを積極的に楽しんでやったんだろうと思う。コロナ禍以降のアルバムで〈深い奈落の底〉から唄い出すシンガーって他にいないし。


「あぁ、確かにいないですね。でも今だと平気かなって思ってた。2年経ってるし。2020年だったらたぶんダメで、2021年でもちょっと遠くて。去年、このタイミングでアルバムを出そうって決めたんですけど、2022年だったら無条件に楽しんでもらえるんじゃないかって話はしてましたね。ダークな表現も〈あ、そうだよね。こういうの必要だよね?〉ってなるのかな。たぶん〈こういうの食べたかった!〉ってずっと思ってた人の元には届くんじゃないかなって」


あぁ。まさに「こういうの食べたかった」感。やっぱり9mmにはミゼラブルが似合うなぁと思った。


「そうそう。〈こういうのが食いたかった!〉と思う表現を、〈今こんな世の中だからな……〉って縮こまらずに。今なら聴いてもらえるんじゃないかって、そこはなんか、あんまり疑わずに作ってました。自分がそうなってるってことは、みんなも感じてるんじゃないかなって。そこは素直に」


ええ。寄り添ってくれる歌はさんざん聴いたけど、深ーい奈落の底から始まる歌が、私はやっぱ好きですよ(笑)。


「ふふふ。俺たちはそういう寄り添い方じゃないっていう」


改めて聞くと、卓郎くんの大好物である悲劇的な世界観って、どんなふうに形成されていったものですか?


「やっぱ単純にお話が好きってことだと思いますよ。歌詞書いてた時に読んでたわけじゃないけど、ハリウッドのシナリオライターはどのように書いているのかっていう本があって。それ斜め読みしてたら〈登場人物にはうんと酷い目に遭ってもらいましょう〉って書いてあって」


うははははは。


「一回成功して、でも何かで挫折して酷い目に遭って、そっから這い上がって終わるっていう。荒唐無稽な話に思えるかもしれないけど、とりあえず出てくる人たちには中途半端なことじゃなくて、うんと酷い目に遭ってもらって、いい目にも遭ってもらう。それが物語として面白いし、自分がやるならそういうふうに書きたいとも思うから。だからじゃないですかね? 酷い目に遭ってもらう、そういう極限のところに似合う曲調でもあると思うし。ここでね、〈なんか冷蔵庫に入ってるもんで何作ろうかなー?〉みたいな歌じゃ合わないと思う」


そうね。日々のさりげない生活が愛おしくなるような歌、ここにはひとつもない。


「ないですよね」

フィクションでも何も悪いことはない。バンドマン、アーティストだけが赤裸々な真実を唄う必要はない

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