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GRAPEVINE、衝撃を与えるであろう新曲「天使ちゃん」が完成! 3人が求めた〈これじゃない何か〉

text by 清水浩司

このテキストをお読みの諸君はすでにご存じだと思うが、GRAPEVINEの新曲、情報解禁前にもかかわらず『音楽と人』本誌では金光編集長が盛り上がって「タイトル、構成、内容、ぜんぶ凄い」とフライング。しかも正月明けたばかりの1月発売号にもかかわらず「この曲、2025年最も衝撃を与えた曲になる」とまで書いてしまった。いや、まだあと360日近くあるじゃないか。さすがに判断早すぎないか?


めちゃくちゃハードル上げているけど大丈夫だろうか。おじさんたちの作った音楽におじさんが狂喜しているというのは一体どういう絵面だろうか。まあ、誰か大声でぶちかます人がいないと伝わるものも伝わらないのでこれはこれで大事なこと……と思っていたら、〈君ならわかってくれるよな!〉的な調子で配信日に合わせてなんか書いてくれと連絡が来た。わしゃ君の友達か。


浮かれた編集長には悪いが、私的には〈GRAPEVINEならこれくらいはできる〉〈ていうか、やってもらわなきゃ困る〉くらいの感じである。だが、そんなふうに書きながらも内心は口笛でも吹きつつ白鳥の湖を踊りたいような気分なのだからやっぱり高揚しているのだろう。


「ねずみ浄土」「雀の子」、そして「天使ちゃん」――GRAPEVINEの新曲はそうした流れの上に置いていい快心の一曲だ。これまでの彼らのレパートリーになかったような曲であるばかりか、古今東西の音楽を眺めてもこんな曲あったか? 何なんだこれは?……と狼狽えるほどの斬新な発想と強烈な異臭に満ちている。


プォ~~、と流れてくるのは田中和将の吹くブルースハープだ。ひたひたしたベースラインに続いて、物申す、といった口調でトーキングブルースがはじまる。ここは一聴して何言ってるかわからないデタラメ英語のようでいて、実は日本語をアクロバチックに乗せた田中リリックの真骨頂。ここまでブロークンでいながら、飛躍と時代性とナンセンスぎりぎりを攻めた言葉選びは過去随一の出来である。


なんでもないようにすべり込んでくるスウィートな美メロ(これがサビ扱いか)。ハープソロに入ったかと思えば、それを断罪する西川弘剛のギター。楽曲全編にストリングスが鳴り響き、それは時に呆けたような夢見心地だったり、時に髪をかきむしるような狂おしさだったり、極端な躁鬱を演出する。基本的にこの弦とバンドアンサンブルのスリリングな絡み合いが曲の根幹を成していて、ラスト30秒以上もとられたアウトロは、その自慢のグルーヴをたっぷり堪能させる仕様になっている。


いや、カッコいい。そしてあちこち斬新すぎて言葉に詰まる。よくぞこんな音楽を創り上げたものである。


*


今回バンドは確実に何かを壊し、よくわからない異形の領域に足を踏み入れたが、風船を針でつついたのは高野勲である。『Almost there』からプロデューサーを務める高野は、しばしば膠着状態に陥るバンドを外から見て、鍼でも打つようにバンドの〈凝り〉を解消させる腕を持つ。彼が司令塔に就いたことで、バンドの抱えている熱量が滞ることなく、クリアでスムーズな形態に落とし込めるようになったのが前作以降の変化であった(個人的には熱が非効率に渋滞していた過去のGRAPEVINEも好きである)。


高野は田中に「ハープを吹きながらトーキングブルースをやってほしい」とオーダーした。その針の一刺しを起点に、メロディとグルーヴとアイディアと好奇心が溢れ出し、こんな奇怪な「天使ちゃん」が誕生してしまったわけである。高野としてはバンドの新しい引き出しを開けたつもりが、その引き出しは途中からひん曲がったり歪んだり、まるで万国旗が出てくる手品のようになっていき、「あはははは、いいねいいね!」と手を叩いて笑っている姿が容易に想像できる。


針を刺したのは高野だが、風船の内圧は近年ずっと高まっていた。


バンド形態で大胆にR&Bにアプローチした「ねずみ浄土」。くだんの件があって憤怒の〈無敵の人〉と化した「雀の子」。偶然と必然、キャリアと時代の流行の間で着々と〈これじゃない何か〉への欲求が高まっていたのが、今のGRAPEVINEだった。


きっと高野がつつかなくてもGRAPEVINEはいずれなんらかの破水を起こしたと思うが、今回こうした針で突いたことで外皮はめくれ「天使ちゃん」という鮮やかな内臓があらわれた。天使ちゃんは今新しく生み出されたわけではなく、天使ちゃん的なファクターは昔から彼らの中に受胎していたものに他ならない。


今後、この楽曲によってGRAPEVINEはオルタナティヴなロックバンドとしての評価をいっそう確立することになるだろう。〈売れろバイン〉と思っている人は嬉しいやら淋しいやら複雑な心境かもしれないが、もはや彼らは誰かのお墨付きとかセールスといったものにますます興味がなくなっているように思う。関心があるのは自分たちに何ができるのか。残りのミュージシャン人生で、このバンドでやれる音楽のすべてを貪り尽くそうとしているように見える……。


――と、ここで朗報。そんな彼らの新曲はどんな心情で作られたのか? バンドは今、どんな状態なのか? そこんところを徹底的に掘り込んだインタビューが『音楽と人』2月発売号に掲載なので、どうぞそちらをお楽しみにというお知らせでした。


それでは編集長、マイクをお戻しします!


文=清水浩司



NEW DIGITAL SINGLE
「天使ちゃん」
2025.01.22 RELEASE

DOWNLOAD / STREAMING

〈GRAPEVINE SPRING TOUR〉
3月8日(土)福岡国際会議場メインホール
3月15日(土)Niterra 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
3月21日(金)東京LINE CUBE SHIBUYA
3月30日(日)大阪オリックス劇場


〈GRAPEVINE SPRING TOUR EXTRA SHOW〉
3月22日(土)東京LINE CUBE SHIBUYA(追加公演)


GRAPEVINE オフィシャルサイト

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