〈全力でやろうぜ!〉って思った初心を、みんな忘れてない。そう思えなくなったりしたら、このバンドは終わりだろうし
そんな音楽オタクだった人が、いろんな人の力があるとはいえ、変わってきたと自覚するところはあるでしょう?
「いや、根本的にはないです。日々、肉体的に堪えたりすることはありますけど、気力が漲ってる時は、ほぼ初心でできるんで。で、疲れてるとグダグダな感じで、ダメなバンドマンになっちゃいますけど(笑)」
初心、忘れるべからず、だと。
「やっぱり現場のこの状況からもうワンステップ上に行きたい、この状況をなんとか切り抜けたい、みたいな時には、だいたい初心によって解決するというか、結果が一番いい方向に向かうと思ってるんで」
その初心って、どのあたりの初心なんですか? バンドを始めた頃なのか、ギターを初めて持った頃なのか。
「どこでもいいから初心です。すごい大まかなんですけど、頑張るってことです。どう頑張るか。なんかの始まりみたいなところに自分を置いておくというか。例えばライヴで、5バンドくらい出るイベントだとすると、最初はそのイベントに出る時は1バンド目で、誰からも相手にされないじゃないですか。ここにいるやつらをびっくりさせてやるぞ!って気持ちを、デカいイベントのトリになっても持てたらいいんじゃないかな、と」
なるほど。つまり謙虚に、頑張ろうと思った最初の頃の気持ちを忘れずに続けていけば、ワンステップ上に行けるわけで、現状からも脱却できると。
「うん、そうですね。音楽的な方向性がみんな一緒かと聞かれたら、そうは思わないし、みんなそれぞれにやりたいことのあるんでしょうけど、でも〈さあ頑張ろうぜ、全力でやろうぜ!〉って思った初心を、みんな忘れてない。それが体力的にできなくなったり、そう思えなくなったりしたら、このバンド終わりだろうし。だからこそ、そう思えるのが、強みにもなってるのかもしれないし」
では、このバンドの未来への展望なんかは、そんなに考えてないと。
「ないですね。ただ曲作って、ライヴやりたいだけなんで。バンドやってないとできないことだったらやってはみたいですけど、それが何なのかわかんない」
はははは。でも変な話、ああいうライヴスタイルというか、激しい動きと、ああいう弾き方、あの形がずっとできると思います?
「ずっとできるかはわからんないですけど、できるまでやります。そういうのがやりたくてやってるんで」
今のスタイルをちゃんとやっていくことが自分たちのアイデンティティだし、そこに楽しみだったり喜びを見出せるってことかな。
「うん、喜びではありますね。こういうライヴが続けられるということは。さっき言った、頑張る感じとか、初心みたいなものは、ああいうスタイルでやることでよりはっきり見えてくると思うんですよ。だから身体が動かなくなるまで、みんなやるんじゃないですかね(笑)。そうすることが、自分たちを次のステップに向かわせるってわかってるから」
そのステップというのは、どこに向かっていくステップなんですか?
「前へ、です。なんかしら頑張ってるっていう気持ちが、前に向かっていけてる気持ちがあるってことが大事なんじゃないかなと思うので。そういうのがないとどんどん腐ったバンドマンになっていくんで(笑)」
そういうのが自由に、好きにやれる状態でいつもいたいですか?
「それが一番いいと思いますね。好きなことができてるって、なんて幸せなことだと思いますから」
そういうのができなかった時期ってあります?
「うーん、なんかあったような気もするんですけど、でも今までのアルバムとか聴き返してみると、自分のやりたいことができてるなって思うんで、大丈夫じゃないかと思いますね。なんか、このバンドは、いつでも初心でいられるんですよ。青さもあるし、純粋さというか。僕の中ではそれが大きいです。いつでも謙虚でありたいし、デーンと構えているロックンローラーはかっこいいですけど、ガラじゃないんで」
でも、もしかしたら今だったらそうなれるかもしれませんよ。
「いやいやいや。そんな自分は嫌いです。大嫌いです(笑)」
ロックミュージシャンとしての自分と、ひとりの人間としての自分というのは、ちょっと違う感じがします?
「ああ……や、同じであるとは思いますけど、ツアーをやってると、やっぱちょっと疲れたりして、グデーっとなって。そうなると、たまに別人じゃないか、みたいな。前後不覚になったりしますけど」
そういうところは、ロックバンドとしての矜持というか、9mm Parabellum Bulletとしての自分はこうでなきゃ、と客観視してる部分じゃないですかね。
「うん、そうですね。まあ、なんかやっぱ自分たちが見てたバンドは、パンクバンドだったり等身大のバンドが多かったし、あんまりバラエティ的なところにいってしまう人たちに抵抗があったから。やっぱパンク聴いて育ったんで、そういうのになりたいと思うし、そういうのが自分の望む変化だなと思うし」
だからステージ上の自分は、どっかでそういう存在でなきゃいけないというか。もしかして部屋に帰ったら、別人のようになってるかもしれないけど……。
「そうですね。ステージ上では、つねに何かしらやって、忙しないなって言われても、つねに刺激と変化を求めたから、それになろうとしてるというか…………そこだけは自信を持てる自分でいたい、というか」
ダメなバンドマンではいたくないと。
「そうです。憧れてた存在に、少しでも近づけたかな、って思えてる感じがいいんです」
そういう憧れに手が届いてるなって感じはしませんか?
「手届いたって感じたらダメですよね(笑)。そう感じて、また十歩くらい後ろに下がって、またこう頑張ったなって思うとズルズルと後退して。その繰り返しで……」
でも逆に言えば、決してそうならないように自分の中でしてるってことですよね。
「そうですね。まあ、つねに何かしらの前進はしたいから。そういう実感はたぶんあるし、まあ実感してる途中でもあるし。ただ、そういう理想に向かって一直線に走れてるなって感じはしますね。だからどんなにボロボロになっても、このスタイルでやり続けていくんです。バンドやめないのが夢なんで、僕は。なんか事故ってしまっても、やめなけりゃいいなと思ってるんで。何があっても続けていきたいですね」
文=金光裕史
写真=中野敬久
※発売中の『音楽と人11月号』では、菅原卓郎のソロインタビュー&撮り下ろし写真を掲載。10枚目となるニューアルバム『YOU NEED FREEDOM TO BE YOU』について語っています。
NEW ALBUM
『YOU NEED FREEDOM TO BE YOU』
2024.10.23 RELEASE
- Baby, Please Burn Out
- 叫び -The Freedom You Need-
- Mr. Foolの末路
- カタルシス -Album ver.-
- 幻の光
- Fuel On The Fire!!
- それは魔法
- Domino Domino
- 新月になれば
- 朝影 -The Future We Choose-
- Brand New Day -Album ver.-
BEST ALBUM
『THE ULTIMATE COLLECTION -20Years, 20Bullets-』
2024.07.31 RELEASE
- 太陽が欲しいだけ
- Black Market Blues
- The Revolutionary
- キャンドルの灯を
- Punishment
- Talking Machine
- Discommunication
- 光の雨が降る夜に
- 黒い森の旅人
- ハートに火をつけて
- ロング・グッドバイ
- Supernova
- 名もなきヒーロー
- Scenes
- スタンドバイミー
- ガラスの街のアリス
- 生命のワルツ
- Mr.Suicide
- Brand New Day
- One More Time
〈9mm Parabellum Bullet Tour 2024-2025
「YOU NEED FREEDOM TO BE YOU」〉
2024年
11/09(土)[神奈川] F.A.D YOKOHAMA
11/16(土)[北海道] 札幌 PENNY LANE24
11/17(日)[北海道] 小樽 GOLD STONE
11/23(土)[山形] Session
11/24(日)[宮城] 仙台 Rensa
11/30(土)[京都] 京都FANJ
12/01(日)[兵庫] 神戸VARIT.
12/06(金)[香川] 高松オリーブホール
12/08(日)[愛媛] 松山Wstudio RED
12/19(木)[東京] 下北沢 CLUB251
2025年
1/11(土)[東京] Spotify O-WEST
1/18(土)[広島] CLUB QUATTRO
1/19(日)[岡山] CRAZYMAMA KINGDOM
1/25(土)[水戸] LIGHT HOUSE
1/31(金)[渋谷] CLUB QUATTRO
2/1(土)[栃木] HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2
2/8(土)[福岡] DRUM LOGOS
2/9(日)[鹿児島] CAPARVO HALL
2/22(土)[東京] Zepp DiverCity(TOKYO)
3/1(土)[愛知] Zepp Nagoya
3/2(日)[大阪] Zepp Osaka Bayside
〈YOU NEED FREEDOM TO BE YOU」Extra〜カオスの百年vol.21〜〉
3/17(月)[神奈川] KT Zepp Yokohama