俺みたいな普通のヤツは、ロックンロールをやる資格はないのかもしれない
実際、キャンプ場でレコーディングしてみて、手応えはどうでしたか?
「メンバーみんな楽しそうでしたよ。ナベちゃん(渡邉一丘/ドラム)、楽しそうに焚き火してたし」
レコーディングしに行ってるんじゃないのか(笑)。
「はははは。でもそれも含めて、みんながやってないことを今一緒にやってる、一緒に悪いことをしてる(笑)みたいな、そういう結束は生まれたと思ってて。その企み感を共有できた気がするんですよね。スタジオだと、ああはいかなかったんじゃないかな」
そこで録った曲の中から「虫けらの詩」を、野音でやって。
「あの曲で、お前らもやってらんねえことだらけだよな? 納得いかないこといっぱいあるよな? 俺もそうだよ。でもずっとここで唄ってるからな、ってことを言いたかった。別に環境が不幸なわけじゃないし、バイトもせずバンドができてるし、そこそこ恵まれてる。でもぼんやりと何かにムカついてて、報われてない気がしてる。スタッフが俺から離れるかもしれないってなった時も、〈またかよ〉って思いながらも、いい子でやりすごそうとしちゃう情けなさ。でもそういう俺みたいなヤツがいっぱいいると思ってて。だからそういうヤツらのために唄ってるし、それをみんなキャッチしてくれるだろうって、勝手に信頼してる」
そうだね。
「15年近くバンドをやってきて、その期間ずっとじゃないけど、フラッドを聴いてきてくれた人たちがいて。みんなそろそろいい歳になって、社会のことも知って、〈まあ人生こんな感じだよな〉って納得しそうな自分と、〈こんなもんで終わりたくないんだけどな〉って自分がいて。そういうモヤモヤした人たちは、今俺が唄ってること、めっちゃわかってくれると思うんですよ」
それは俺も感じてます。
「なんとなく俺たちを知った人も巻き込んで、10万枚売って東京ドームに行きたいなんてことは思ってなくて。同じような気持ちで日々を悶々と過ごしてる、そんなヤツらと武道館で一緒になりたい。悩んで苛ついて傷ついてるけど、でも本気で笑いたい。そんな気持ちを捨ててない人に何かを投げてるかな」
なるほど。
「今回、野音が売り切れたのって、いろんな要素があったと思うんですよ。『ふつうの軽音部』(註:少年ジャンプ+で連載中の漫画)で〈理由なき反抗 (The Rebel Age)〉を熱唱するシーンが、たまたま野音直前にあったのもそうだし、俺がケバブスやってることも大きいかもしれない。でもそうじゃなくて、華やかじゃなく、悶々としてた頃のフラッドを聴いてくれてた人がいっぱいいるわけですよ。その人たちとの間にある信頼、みたいなものを感じましたね」
2年後に武道館をやる、って宣言したことも大きいんじゃないですか?
「そうですね。まあ定番の物言いですけど、人生1回きりなんで。それぐらいの博打はありでしょ(笑)」
あとナベちゃんとサシ飲みして、このままダラダラ何年もバンドやるつもりはないから、って言われたこともね。
「そう。ナベちゃんが俺を追い込んでくれた気がしてて。でも、単なる承認欲求で武道館やりたいとかじゃなくて、ナベちゃんと少しでも長くバンドやりたいから、武道館にちゃんとたどりつきたい。そこがゴールじゃなくて、ギリギリまでバンドをやりたいんですよ」
そうだね。
「俺みたいな普通なヤツは、ロックンロールをやる資格はないのかもしれない。見た目も普通だし、本気で狂えない。だから革ジャンとこの声で、資格があるふうに振る舞うしかない。これは辛いですよ。本気な人を見てるから、余計ね。でも、好きなんだからしょうがない。スピッツがロックバンドって言い続けてくれることに救われるけど、自分なりのロックはこうなんです。それしかない。だからずっとロックンロールって言い続けるつもりなんです。ロックンロールって言葉の語感って不思議で、大きな声で叫ぶと、すごく勇気づけられるんですよ。かめはめ波ーーー!みたいな感じ(笑)」
無敵感、あるよね。
「それさえあれば、って本当に思ってて。だからこんな、日々悶々としてる、どうしようもない俺のロックンロールから〈こんなんでも俺は生きてるぞ! ずっとここで唄ってるぞ! だからお前も大丈夫だ!〉って伝わったらいい。それは嘘偽りのない、本音だから」
文=金光裕史
写真=新保勇樹、Viola Kam _V'z Twinkle(■)
NEW ALBUM
『タイトル未定』
2024.11.06 RELEASE
初回限定盤(CDA+DVD)TECI-1829
通常盤(CD)TECI-1830
NEW DIGITAL SINGLE
「虫けらの詩」
2024.08.13 RELEASE
〈a flood of circle × SIX LOUNGE × w.o.d. 3マンスプリットツアー『BAND BOOM』〉
2024年9月25日(水)名古屋CLUB QUATTRO
2024年9月26日(木)大阪GORILLA HALL
2024年9月28日(土)大分T.O.P.S BittsHALL
〈『GOLDEN TIME』リリース10周年記念 再現ライブ〉
2024年10月2日(水)新宿LOFT
1部:open 17:45 / start 18:30 / end 19:30
2部:open 20:00 / start 20:45 / end 21:45
〈a flood of circle Tour 2024-2025〉
2024年11月28日(木)千葉LOOK
2024年11月29日(金)千葉LOOK
2024年12月06日(金)堺FANDANGO
2024年12月07日(土)堺FANDANGO w/ THE CHINA WIFE MOTORS
2025年01月23日(木)名古屋CLUB UPSET
2025年02月09日(日)京都磔磔
2025年02月11日(火・祝)広島SECOND CRUTCH
2025年02月13日(木)松山Double-u studio
2025年02月15日(土)高知X-pt.
2025年02月16日(日)高松DIME
2025年02月18日(火)静岡UMBER
2025年03月06日(木)神戸太陽と虎
2025年03月08日(土)鹿児島SR HALL
2025年03月09日(日)大分club SPOT
2025年03月11日(火)岐阜ants
2025年03月16日(日)横浜F.A.D
2025年03月20日(木・祝)新潟CLUB RIVERST
2025年03月22日(土)郡山HIPSHOT JAPAN
2025年03月23日(日)盛岡CLUB CHANGE WAVE
2025年04月05日(土)長野J
2025年04月06日(日)金沢vanvanV4
2025年04月10日(木)奈良NEVER LAND
2025年04月12日(土)出雲APOLLO
2025年04月13日(日)福山Cable
2025年05月09日(金)仙台MACANA
2025年05月10日(土)水戸LIGHT HOUSE
2025年05月15日(木)八戸ROXX
2025年05月16日(金)八戸ROXX
2025年05月18日(日)山形ミュージック昭和SESSION
2025年05月23日(金)岡山PEPPERLAND
2025年05月25日(日)福岡CB
2025年05月30日(金)札幌cube garden
2025年05月31日(土)旭川CASINO DRIVE
2025年06月05日(木)名古屋CLUB QUATTRO
2025年06月06日(金)梅田CLUB QUATTRO
2025年06月13日(金)Zepp DiverCity TOKYO
2025年06月21日(土)沖縄output