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INTERVIEW
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【特集】吉井和哉20th × 音楽と人 | AL『STARLIGHT』INTERVIEW(2015年4月号)

もう、だいたいの個人的な夢は叶えたので。もう1回、ワクワクする音楽を作りたい、共有し合いたい



「You Can Believe」なんて抜けがいいのに、歌詞がとても刺さる。


「(笑)そうだね。これはまさに、その〈みんなが知ってる吉井和哉〉対〈みんなが知らない吉井和哉〉の戦いの歌というか。自分の中で、ほんとにガチで戦った歌。これは最初何パターンも詞ができて、『アナと雪の女王』みたいな詞になっちゃった時もあったんだけど(笑)。自分は何も生むことができない亡霊だとして、そこでどんな言葉が出てくるだろう……つって書いたら、納得のいくポップ・ソングになったの。でも決してネガティヴな歌ではない。一番ポジティヴかもしれない。それも今回のアルバムで収穫できた、新しいポイントです」


〈死ぬまで散歩を するように生きるのも/悪くないさ突っ走るのもいい〉〈僕らの生意気さはいつか秋晴れの蝉の死骸みたいになるの?〉と死を意識したところもありながら……。


「(笑)そう。〈人肌残して透き通ってゆく/その日まで〉って、お前が透き通るその日かい! 死ぬ時じゃねえか!」


ほんと、亡霊だ。


「亡霊だ(笑)。クリアだ」


ああ、なるほど(笑)。だから糸口をたぐり寄せてる印象を受けたんですよね、このへんのポップ・バランスって。


「そう。だから今までの……『at the BLACK HOLEデラックス』でもあり、『WHITE ROOMデラックス』でもあり、『39108デラックス』でもあり、『VOLTデラックス』でもある。すべてのデラックスですよ! ……和哉デラックス! 『和哉デラックス』でも良かったわね、タイトル」


(笑)いえ、『STARLIGHT』で良かったと思います。


「『STARLIGHT和哉デラックス』にするわよ!(笑)」


(笑)えーと、「STRONGER」はやっぱりジョン・レノンを意識したんですよね?


「〈Mother〉ね。うん、〈Mother〉ってプライマル・スクリームっていう療法を用いられているという話があって。心の叫びによって自分のトラウマを癒すみたいな療法で、簡単に言うと。叫んどきたかったんですね。気持ち良かったですよ。しかもジョージ・マーティン(ビートルズのプロデューサー)にいただいたマイクで録ったんだよ」


あ、そうなんですか! 短いしシンプルだけど、すごく重要な曲になってますよね。


「結果、ね。また俺のウナ重な部分が出ちゃったのかなと思って、スタッフに『やめる? この曲』って完成したあとに言ったんだけど、『これは入れといたほうがいいんじゃないですか』って。これもスタッフに救われたの。ひとりでやってたら全部カットしてましたね(笑)。いいところを」


そうですか。で、僕、このアルバムを聴いてて、歌詞に出てくる意外なフレーズが重要だと思ったんです。


「……はあ」


それは〈見る〉という表現なんですよ。


「ミル? 見る? 何それ? 何その精神科の診断みたいな。専門医みたいな(笑)。またまた~」


たとえば「You Can Believe」では〈虹の生え際を近くで見た時のような〉という表現があるし。「Route69」では〈見つめて走る〉、「Step Up Rock」には〈近くをちゃんと見て 遠くへ飛んでこうぜ〉。


「うん。ほう……」


「STRONGER」の〈僕を見て〉、「クリア」の〈君の顔も見れなくなる〉……とかですね。


「おお! ……わかった! 目が悪くなってきたからだ」


そうですか(笑)。老眼ですか?


「(笑)老眼じゃないけど。ほんとだね……〈Route 69〉の、そこは気に入ってる。〈俺は地面をお前は空を/見つめて走る〉というところね。それも見るだもんね」


そうなんですよ。これらには、自分を見てという気持ちだったり、相手を、対象を見ることだったり、意味はそれぞれ違うけど。しっかり、ちゃんと見る、それも今生きてるこの時に……というニュアンスがこもってる気がするんです。


「うん、そうかあ……恥ずかしくなってきた、すごく……恥ずかしい~!(笑)。そうか……見合おう、ということか。ね?」


そうそう。そうなんです。


「なるほどね。よく気づきましたね(笑)……すごい。誰も言わなかったよ、それは。そうか、見る……見つめ合うアルバム!」


はい(笑)。だから吉井さんの中に、知らず知らずのうちにそういう意識があったのかなと思ったんですよ。


「……たぶん、そうだね。やっぱり『at the BLACK HOLE』の時とかは見ないでほしい、という要素が強かったかもね。照明暗かったり。暗すぎて見えねえと言われたり(笑)。それこそ〈亡霊と化してしまいたい〉とか〈見ないでほしい〉っていうのは多かったもんね。〈僕も君はあまり見たくないし〉〈君の歌じゃないぜ〉という気持ちもあったかもしれないし。今は、自信はあるのかもしれないですね、その時より」


プラス、この生きてる時を大切に、という気持ちが出てる気がします。それはきっと本心じゃないかと思うんです。


「なるほどー。ヤだぁ~! ……オネエになっちゃったな、俺。和子デラックス(笑)」


(笑)で、最後に訊きたいんですけど……「~Like a Starlight」で〈夢や愛にぶつかって砕け散って甦れ〉〈どんな夢も叶いそうで〉といったフレーズがあるんですが。今、吉井さんにとっての夢って、どんなことですか?


「その歌で唄われてる夢は…………自分が作る音楽の力と、音楽が何かを変えるきっかけになるであろうということで。そういう、みんなが共有し合える瞬間ということなんですよね。もう、だいたいの個人的な夢は叶えたので。うん……もう1回、ワクワクする音楽を作りたいなというか、共有し合いたいな、という。それだけだったりするんですよね」


聴いてくれる人と共有するということですか。


「うん。吉井さんのこの曲を聴いた、すげえ良かった、めちゃくちゃいい曲だった。それだけのフィードバックで最高なんです。誰かがそう思って、何分かホッとしたとか、興奮したとか。僕らってそれしかできないから。その温度を上げること。さらに熱いもので、満たしてあげたいな……っていうのが夢ですね」


音楽のことなんですね。では人生についての夢は?


「人生についての夢~? いやいや……病気しないようにしたいな、ぐらいかな(笑)。ヘンな病気になりませんように、って」


そうですか。ではもうひとつ、愛とは? 何だと思います?


「愛とは、ねえ……わからないよ。愛とは……愛とは、ねえ……」


とても困った顔してますね。


「いやあ、ほんとにわからない。わからないというか……愛なんかないんじゃないかと思う時もある。世の中に」


ああ、そうですか?


「結局はね。ほんとに……人が与えるものというよりも、たとえば地球とか宇宙が与えてくれるものが愛かなと思う時があります。時間が経つとキズが癒えたり、時間が経つと忘れたり」


ああー、うん、うん。そうですね。


「いくら人間が、ひとりがね……『愛はこうだ』『これが愛だ』って言って活動するのは、もちろん大事だけど。でも見る人が見たら『それは愛なのか』って言うだろうし、愛と愛の戦いになるでしょう? だから……ほんとは愛とかって人間が作り出せるもんじゃないんじゃないかな? ほんとに純度100%の愛って何なんだろう?って思う時はありますね。どっかに欲望があったり、ずるい心があったり、利益を求めたり……」


はい。そうですね。


「人によっては、いろいろ、愛の形があるじゃないですか。募金してみたら、どっかに何%取られてたとかね。それも愛で生まれたことかもしれないけど、『それ愛なのか?』っていう意見もあるし。それは恋愛関係でもあることだし……だから……僕らが作り出せないものからしか愛は受け取れないのかな、と」


超越した何かからじゃないと?


「うん、そう、時間とか。太陽とか。ようは無料のもの? ほんとに、タダのもの。無償のもの。それが愛かなと思います」


それはいつぐらいから思ってるんですか?


「今思った(笑)。まあ、あんまり考えたことないんですけど、愛について。自分的には何の裏もなく接してるつもりでも〈そんなふうに取られちゃうんだ〉って時だってあるし。日常でね。単に親子関係だけでも〈こんなに思ってたのに、お前はそれかい!〉みたいな時だって、あるでしょ?」


うんうん。すごくありますね。


「ねえ?(笑)。〈これ、せっかく買ってきたのにお前そんな大事にせず、もう!〉みたいなのとか(笑)……そんなことから始まり。人間関係の愛は難しいよね」


難しいですね。じゃあ若い頃に思ってた〈愛ってこんなものかな〉というのから、大人になって、だいぶ変わりました?


「うん、変わったね。もう、ある種、諦めてるかもしれない(笑)。愛を人からもらおうというのとか、与えようとかっていうのは。だから自分はタダでもらってるそういうものとかを、なるべく純度を高くして演奏することしか、もうない。それが仕事だと思ってるので。自分の」


それを音楽にすることだと。


「そうそう。だからその、自分が見えないところからいただいたアイデアとかをどうみなさんに提供するか、っていうのが仕事だと思うし。それが才能を活かすということだと思います」


そうですか……。しかし今はみんなとか、みなさんとか、自分以外のたくさんの人への意識が強いんですね。


「それはそうですよ。みんなに向けて曲書いてるし」


でもソロの初期はそう言いきれなかったじゃないですか。


「ああ、まあ自分がそういう準備ができてなかったからだろうね。まだ卵の殻が割れて出てきたばっかりだったんで、YOSHII LOVINSONは。しかも……ちょっと疲れていたので。それをすぐ『はい、みなさん! どうも吉井和哉です!』、ジャガジャーン!ってやるわけにもいかなかったというか。だから……もちろんみなさんのこと大好きだし、大事なんだけど、『みなさん!』って言えない時代だったんじゃないですかね」


はい。しかし、それからも10年以上が経過し。


「ようやくね。また殻が割れて。黒いニワトリが現れましたよ」


黒いニワトリが(笑)。「クリア」のジャケットの。


「あははは! 飛ぼうとするけど、飛べないニワトリが!」


いやいや、そんなことないです! スターライトの、星の輝きの中を颯爽と飛んでほしいです。


「そうですね(笑)。はい。ありがとうございます!」



文=青木優
写真=オノツトム


吉井和哉
ALBUM『STARLIGHT』
2015.03.18 RELEASE

01 Hattrick’n
02 (Everybody is)Like a Starlight
03 You Can Believe
04 紅くて咲こうとした恋の
05 TOKYO NORTH SIDE
06 迷信トゥゲザー
07 Route69
08 Step Up Rock
09 STRONGER
10 クリア

https://www.yoshiikazuya.com/discography/detail/95/

■TOWER RECORDSで購入


〈ソロデビュー20周年記念 NEWS!〉

■吉井和哉展「二◎」(ニジュウマル)リリース決定!
収録曲、ジャケット写真が公開されました。詳細はオフィシャルサイトをチェック。


■吉井和哉展「二◎」(ニジュウマル)が東京ガーデンシアターにて開催!
ソロデビュー20年の前日9月30日と当日10月1日の2日間にわたる大規模展覧会。

◎イベント詳細はこちら
https://www.yoshiikazuya.com/feature/20th_event


吉井和哉オフィシャルサイト
吉井和哉 ソロデビュー20周年特設サイト

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