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INTERVIEW
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NCIS村松拓が所属するABSTRACT MASH。13年ぶりのアルバムが完成するまでの険しい道のりとは

text by 樋口靖幸

Nothing's Carved In Stoneが始まる前から村松拓がやっていたのが〈アブスト〉ことABSTRACT MASHだ。当時彼は2つのバンドを並行してやっていたものの、アブストはミニアルバムとフルアルバムを一枚ずつ出したあと、志半ばにして活動を休止してしまう。それ以降彼はナッシングスの活動に専念していくわけだが、それでもずっとアブストのことが心残りだったという。そして2018年5月からライヴ活動を再開して、このたびようやく13年ぶりのアルバム『SIGNALS』をリリースした。青さと瑞々しさでいっぱいだったアブストのサウンドは、メンバーそれぞれが休止期間中に重ねてきた時間と経験によって、深くて鈍い輝きを放っている。彼がなぜ昔の仲間たちと音を鳴らすことにこだわっているのか、そのことを包み隠さず語ってくれた。どこまでも自分を肯定してくれる仲間がいる彼のことがすごく羨ましくなった。



(これは『音楽と人』2023年5月号に掲載された記事です)



今日はABSTRACT MASHの取材です。


「はい、ABSTRACT MASHの村松です。よろしくお願いします(笑)」


最近ナッシングス以外で取材することが多いんだけど(笑)。


「そうっすね。村松拓、とまとくらぶ、ABSTRACT MASH。全部取材してくれる(笑)」


ここまでくると腐れ縁みたいなもんですよ(笑)。


「はははははは、でも俺は嬉しいっすよ」


アブストの話は初めてなので最初から聞いていきますけど……13年ぶりのアルバムになるわけですよね?


「そうです、セカンドアルバムです」


もともと地元の仲間と始めたバンドですよね?


「そうです。きっかけは、もともとドラムの榊巻(榊巻雄太)と高校時代にコピバンを組んでたんですけど、学祭でライヴをするぐらいで」


ふたりは同級生?


「や、違う学校。ていうかアブストは俺以外の3人が同じ高校で、その高校の卒業ライヴに梨本(梨本恒平/ベース)と小林(小林雄剛/ギター)のバンドと一緒に出たことがあって」


出会いは卒業ライヴだったと。


「ライヴを目の当たりにしたのはそう。そのあと専門学校に行くんですけど、その間も榊巻とはバンドやってて、一応オリジナルも作ってライヴするようになったけど、俺が就職するのと同時に解散して。梨本と小林は女性ヴォーカルのバンドで音楽作って活躍してたし、榊巻も別のインディーズバンドで全国を廻ったりして、3人はバンドで頑張ってたんだけど、俺は普通に働いてたんで」


ちなみにどんな仕事に就いたの?


「整形外科でリハビリの仕事をしてました。おばあちゃんの手に電極つけたり足をマッサージしたり。2年間ほぼ休みなしで働いて」


音楽でメシを食ってく発想は?


「念頭になかった。才能がある人ができることだと思ってたから。榊巻と続けてたバンドでオリジナルもやったけど、作詞も作曲も才能ないなって思って。歌だけは周りから『いいね』とか『上手いね』って言われてたけど、それだけじゃ無理だろうって」


で、潔く社会に出てた村松くんがアブストを始めることになったのは?


「『一緒にバンドをやりたい』って梨本から連絡があって。『拓のヴォーカルでやりたい』って。で、そこに榊巻も誘って始まったのがアブストです」


いったん諦めた音楽の道に進もうと思ったのは?


「才能ないと思ってたけど、昔の仲間から、しかも今もバンドで活躍してるヤツから言われるんだったら……みたいな気持ちでしたね。でも最初はそこまで本気じゃなかったと思う。途中まで仕事を続けながらやってたけど、だんだんマジになっていった気がする」


バンドに可能性を感じたと。


「アブストって小林が曲を書いてるんですけど、彼の曲がすげえいいんですよ。で、そんな彼がそこまで俺の歌にほれ込んでくれたんだったら、俺も本気になんなきゃ、みたいな。あと、初ライヴの俺の歌がボロボロで、ライヴハウスの人に『なんでこんなヤツとバンド組んでんの?』って言われたのがすごい悔しかったんですよ。そこで火がついたっていうのもあるかな(笑)」


いい話だ(笑)。じゃあ友達ノリでワイワイやるっていうよりか。


「かなり真剣でしたね。で、自分たちで作ったCDをいろんなところに送ってたら、ソニーの新人発掘のセクションがやってるイベントに出ることになって、そこで賞をもらったりして。それがきっかけでソニー内のインディーズレーベルみたいなところに入ることになって」


それはすごい。


「当時UNLIMITSとかSiMとかいろんなバンドがいて。でもアブストのメンバーって、良くも悪くもマイペースだったんですよ。曲作りもそうだし、メンバー同士の仲が良すぎたせいか、他のバンドとの繋がりがあんまりできなかったり」


社交的ではなかった?


「たぶんみんな〈お前らより俺らのほうがすごい〉って思ってた(笑)。で、そのレーベルにいる間にナッシングスから俺に声がかかって、2つのバンドを同時にやることになるんですけど」


そしてミニアルバムとフルアルバムを出したあと、バンドは活動休止期間に入ったと。


「当時アブストはメジャーデビューに向けて準備してる段階で。でもナッシングスと両方やってるうちに、モチベーションに限界を感じてる自分がいて」


ナッシングスと掛け持ちだとそうなりますよね。


「アブストの活動がメインのつもりだったんだけど、いざナッシングスをやってみたら〈これ、めちゃめちゃ本気でやらないとダメじゃん〉って気づいて。しかもミュージシャンとしての人間力をナッシングスのメンバーに見せつけられて。さらにバンドの周りを見渡したら、俺なんかより本気でやってるバンドマンがザラにいるし、対バン相手も高い志を持って活動してる。それがわかってくると、このままアブストをマイペースでやってたらダメになると思ったんです。で、そのことをメンバーに話して。〈このままじゃヤバイ、もっと頑張らないと〉って焚き付けてたんだけど、それで俺が空回りしたこともあって」


結果的に活動を止めることになったと。


「お互いもっと腕を上げるなり志を高く持つなりして、時期が来たらまた集まろうって4人で約束しました」

あのままメジャーに行ってたら?って考えてしまう。バンドの未来を俺が潰してしまった気がして

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