結成40周年は、さいたまスーパーアリーナか東京ドーム。本気で俺はそう思ってるよ。コロナもそうだけどさ、人は壁を乗り越えていく生き物なんだから
気が早いですけど、じゃあ40周年も視野に。
加藤「40周年やらないわけにはいかないでしょう。まだコータローが62歳で、俺が66歳だよ? 〈When I,m 64〉の64歳あたりからいいムード作って、40周年でどでかいことをできたらいいね」
古市「やっぱドームだね」
加藤「吉井くん(吉井和哉)に電話してさ、イエモンにドーム3デイズやってもらって、2日やったら1日空けて休むだろうから、その日を貸してもらえないかな(笑)」
古市「音人にひとつブース貸してあげるから、単行本とか売っていいよ(笑)」
話がちっさい(笑)。
加藤「でもそういう作戦を練ってでもやってみたいんだけどね。ドーム。コータローくんと一緒にライヴ観に行くけど、観る側じゃなくてやる側のイメージが湧いちゃうんだよ、行くと」
古市「アレンジしてても、ドームだったらこっちのほうがいいんじゃない?って、フレーズ決めてるんだからさ、マジで」
加藤「〈たよれる男〉のイントロ、ドームだと似合うと思うんだよね。〈We Will Rock You〉ぐらいのイメージで作ってるわけですよ」
古市「それを使う場所がないんですよ」
加藤「ライヴハウスでやってるけど、本当はドームのイメージだから」
古市「武道館で心配してんのは、みんな会場来る前、呑み屋に寄って景気付けしてくるじゃん。その呑み屋がコロナで店閉めちゃってさあ」
神保町の酔の助ですね。
古市「みんなどこで呑んでくるんだろう」
加藤「演奏はまったく心配ないんだけどね(笑)。でも現状だとキャパは5000人だから、まずそれをソールドアウトさせることを目指したい。なかなか大変だけどね。普段なら売り切れてるバンドも、そうじゃなくなってきてるし」
でもやるって腹を決めたんですよね。
加藤「まあ、ひとつは年齢だよね(笑)。じゃあ40周年でやりましょう、って話に絶対なってくるけど、そしたら、40周年の時に思い描いていたものがもっと先に行くわけ。その先って俺たちにはあるのか?ってなった時に、これが20代や30代のバンドだったらその先もあるんだろうけど、ヴォーカリストが還暦すぎるとなかなか先に延ばせない」
古市「若い時とは違うんだよ。若い時は、ただがむしゃらに何も先のことを考えなくてもできたけど、今は何かがないとね」
そして11月にはDVDボックスセットが出ます。これはコロナ禍の〈LIVING ROOM LIVE SHOW〉を中心にしたライヴ映像と、メンバーが語るドキュメンタリー映像、MV集が収録。新曲も2曲入っています。
加藤「まずこのコロナ禍で、〈LIVING ROOM LIVE SHOW〉という形の配信に力を入れたけど、ミックスダウンから編集からめちゃくちゃ高いクオリティで作ってたから、どこかで商品化したいと思ってたんだよ。それも1枚1枚出すより、こういうボックスセットにしたほうがいいかなと。あと35周年なので、ドキュメンタリーを録りたかったんだよね。これは新曲のレコーディング風景を中心に、コージ(古沢”cozi“岳之/ドラム)と山森(山森”JEFF“正之/ベース)が入ってからのコレクターズがどうだったのか、みんなの口から語ってもらってる。俺とコータローくんは35年を、コージと山森は加入してからのコレクターズを語ってる。これが面白いんだよ」
話を聞くと、このDVDボックスは、〈今の4人のコレクターズ〉であることを強く意識している気がします。
加藤「そうだね。ここまでコレクターズを35年やってきたけど、その中でも今がいちばん面白いから。結成当初はそのメンバーしか知らないから、何をやっても楽しいじゃない? でもメンバーチェンジがあって、同じような技量のミュージシャンとやり始めると、こんどは意識の差が出てくる。最初のメンバーみたいな〈よーし、みんなで甲子園行こうぜ!〉みたいなテンションはなかった。でも今のメンバーは、それを持っている気がするんだよね。それで技量もある。だからやってて、一番バンドっぽくなってる気がする」
古市「コージもJEFFも楽しんでる感じがあるから、そこがすごくいいんだよ。俺らにやらされてるんじゃなくて、率先して楽しんでる。それは気持ち的に楽だよね。お互いに言いたいこと言えるし」
加藤「そんな今の現状をみんなにお知らせしたい、って感じ」
古市「だって俺、毎朝JEFFにツムツムのハートをあげてるんだよ?」
はははははは!
古市「バンドを離れたところでも、一緒に遊ぶからさ」
加藤「今は大型バイクに熱くなって、JEFFに無理やりバイク買わせようとしてるぐらいだから」
古市「すごくバンドが柔軟なんだよね。ライヴの選曲にしてもさ、それは今の気分じゃないなとか、前は必ずあったんだよ」
加藤「メンバーが積極的だよね。『あの曲やってみない?』って、ポロっと口にするから。前は『いやあ、今唄ってもしょうがないでしょ。ないない』ってあしらってたけど、ふたりの〈やってみない?〉って感じが熱いからさ。で、やってみたら面白いんだよ。バンドに参加してる意識が高いから、それはやっぱり嬉しいよね」
そして新曲も非常にいいです。
加藤「今年に入って、〈ヒマラヤ〉と〈揺れる恋はスミレ色〉を作ったきりで、全然新曲を書いてなかったのね。俺の中では近年〈お願いマーシー〉と〈ヒマラヤ〉がいい感じの出来だったから、すごくプレッシャーがかかって。唄った時に、その2曲と全然違うイメージの曲であってほしかった。で、パッと浮かんだのが、ザ・フーの〈Young Man Blues〉や、レッド・ツェッペリンの〈Black Dog〉みたいな、歌始まりの曲ってカッコいいんじゃねえ?って」
それが始まりだと。
加藤「そう。とにかく勢いがあって、ロックンロールであることをテーマに、インパクトのある曲を作りたい。それがまず〈裸のランチ〉になった。ウィリアム・バロウズの小説とは全く関係ないんだけど、コロナによる閉塞感が1年半以上続いてて、マスクしないとどこにも行けないし、人にも会えないし喋れない。イラっとする時ってすごくあるじゃん。もう全部はがして、剝き出しでいたい。そしたら、真っ昼間に裸になる、そのイメージが一番クレイジーな気がしたんだよね」
昼間にすべてを脱ぎ捨てると。
加藤「そう。言いたいことは本当にひとこと。世界は息苦しい毎日だから。はみだして、飛び出して、とにかく剝き出しでいたいよ、できないけど、っていう叫び」
古市「加藤くんは変わらないなと思ったよ。普通のソングライターは、いい曲を書こうとか、グッとくる歌詞でとか、そういうものを求めるじゃん。この男は、普通より面白いことを、って発想なんだよね。それがずっと変わってない」
加藤「それが唯一、俺のいいところでしょう。いい歌はスピッツに任せればいいんだから」
ははははははは!
加藤「だって、あそこの世界に俺は踏み込んじゃダメ。似せたものを作っちゃダメ。そうじゃなくて、なにか違う扉を開けたい奴が、俺の扉を開けてほしいんだよ。ストレンジでクレイジーな気持ちになりたい奴が、俺の曲を聴いてほしいの。そういう気持ちにみんな気づいてないだけなんだよ。自分の中にも絶対あるはずだから、みんな、その扉を叩いてほしい。そしたら俺のよさがわかる」
なるほど。
加藤「来年はちゃんとアルバムを作りますよ。そういうのがにじみ出てるような。まだまだやれることあるんだからさ。11月22日で61歳だから、62歳になる歳で武道館成功させたら、67歳で結成40周年なんだから。たぶんあっという間だよ!」
そこでさいたまスーパーアリーナなのか東京ドームなのか。
加藤「本気で俺はそう思ってるからね。コロナもそうだけどさ、人は壁を乗り越えていく生き物なんだからさ」
文=金光裕史
撮影=中野敬久
DVD BOX『Filmography』
2021.11.24 RELEASE
■DISC1
「THE COLLECTORS 35th Anniversary LIVE SHOW “MOD GO ROUND”」
2021.6.26 大阪城野外音楽堂
01 ヒマラヤ
02 お願いマーシー
03 TEENAGE FRANKENSTEIN
04 GIFT
05 悪の天使と正義の悪魔
06 TOUGH(all the boys gotta be tough)
07 ニューヨーク気分
08 POWER OF LOVE
09 プ・ラ・モ・デ・ル
10 夢見る回転木馬
11 未来のカタチ
12 マネー
13 Psychedelic Heartbreak
14 世界を止めて
15 雲の影
16 全部やれ!
17 NICK! NICK! NICK!
18 誰にも負けない愛の歌
19 僕はコレクター
■DISC2
「LIVING ROOM LIVE SHOW〜THE COLLECTORS Live at QUATTRO 2018〜 Vol.1&2」
◎LIVING ROOM LIVE SHOW〜THE COLLECTORS Live at QUATTRO 2018〜 Vol.1
01 恋の3Dメガネ
02 アーリー・イン・ザ・モーニング
03 クルーソー
04 ロボット工場
05 TOUGH(all the boys gotta be tough)
06 深海魚
07 BOXING TIME
08 まぼろしのパレード
09 CRAZY LOVE FOR YOU
10 Da!Da!!Da!!!
11 NICK! NICK! NICK!
12 誰にも負けない愛の歌
◎LIVING ROOM LIVE SHOW〜THE COLLECTORS Live at QUATTRO 2018〜 Vol.2
01 Tシャツレボリューション
02 今が最高!
03 JET HOLIDAY
04 恋をしようよ
05 プリティ・ガール
06 Thank U
07 ご機嫌いかが?おしゃべりオウム君
08 悪の天使と正義の悪魔
09 たよれる男
10 ロマンチック・プラネット
11 未来のカタチ
12 僕はコレクター
■DISC3
「LIVING ROOM LIVE SHOW〜THE COLLECTORS Live at QUATTRO 2018〜 Vol.3&4」
◎LIVING ROOM LIVE SHOW〜THE COLLECTORS Live at QUATTRO 2018〜 Vol.3
01 ANY DREAM WILL DO
02 ミッドナイト・レインボー
03 99匹目のサル
04 5・4・3・2ワンダフル
05 希望の舟
06 東京虫バグズ
07 カーニバルがやって来る
08 SEE-SAW
09 SUMMER OF LOVE
10 ハッピー&ラッキー
11 青と黄色のピエロ
12 グレート アメリカ
◎LIVING ROOM LIVE SHOW〜THE COLLECTORS Live at QUATTRO 2018〜 Vol.4
01 ツイスター
02 占い師
03 スーパー・ソニック・マン
04 THE HAMMER AND SICKLE
05 限界ライン
06 テレビジョン スターズ
07 MILLION CROSSROADS ROCK
08 ミノホドシラズ
09 ザ モールズ オン ザ ヒルズ
10 僕は恐竜
11 マーブル・フラワー・ギャング団現わる!
12 25歳のヘンリエッタへ
■DISC4
「LIVING ROOM LIVE SHOW〜THE COLLECTORS Live at QUATTRO 2018〜 Vol.5&6」
◎LIVING ROOM LIVE SHOW〜THE COLLECTORS Live at QUATTRO 2018〜 Vol.5
01 PUPPET MASTER
02 エコロジー
03 勘違い転じて恋となす
04 カメレオン・ダイナマイト
05 マイアミビーチ
06 ドルフィン・ラヴ
07 愛してると言うより気にってる
08 GROOVE GLOBE
09 ひとりぼっちのアイラブユー
10 Kevin
11 ノビシロマックス
12 20世紀が終わっても
◎LIVING ROOM LIVE SHOW〜THE COLLECTORS Live at QUATTRO 2018〜 Vol.6
01 マイチェルシーブーツ
02 ハレツするボク
03 GLORY DAYS
04 MISTAKE
05 That’s Great Future 〜近未来の景色〜
06 魔法のランプ
07 嘆きのロミオ
08 ぼくのプロペラ
09 プロボーズソング
10 世界を止めて
11 PUNK OF HEARTS
12 恋の3Dメガネ
■DISC5
「THE COLLECTORS Documentary Film 2021 “Singing Playing and Talking”」
■DISC6
「NEW CLIPS 3」
01 裸のランチ
02 ウィンターソング
03 ヒマラヤ
04 お願いマーシー
05 クライム サスペンス
06 悪の天使と正義の悪魔
07 Tシャツレボリューション
08 深海魚
09 Da!Da!!Da!!!
10 プロポーズソング
11 99匹目のサル
12 COME ON LET'S GO!
13 未来地図
14 ホームシック・ジャグ
15 誰にも負けない愛の歌
16 僕の街
17 地球の歩き方
18 青春ミラー
19 明るい未来を
20 たよれる男
21 夢見る君と僕(30th anniversary Ver.)
22 世界を止めて(20th anniversary Ver.)
■DISC7(CD)
01 裸のランチ
02 ウィンターソング
THE COLLECTORS 35th Anniversary “This is Mods”
2022.03.13 日本武道館
開場 16:30/開演 17:00
チケット料金 9,900円(税込)