社歌とは、労働意欲や愛社精神の向上をねらいとして、会社の理念やイメージをもとに作られた曲である―― アーティストに弊社・音楽と人の社歌を自由に作ってもらう連載コラム「社歌を作ろう!」。先日公開されたフレンズによる社歌について、えみそん(ヴォーカル)と三浦太郎(ギター&ヴォーカル)のおふたりに制作時のエピソードなどを聞きました!
「社歌を作ってください」なんて、無茶な要望に応えてくださった皆さんには感謝の気持ちしかないです。
えみそん(ヴォーカル)「いえいえ!」
オファーを受けた時、正直どんな気持ちでしたか?
えみそん「え、社歌? 嬉しい!って感じでした」
三浦太郎(ギター&ヴォーカル)「本当に僕らが作っていいのかな?みたいな(笑)」
えみそん「最初は社歌がどういうものかわかってなくて……校歌とは違うのかな?って考えたりもしたんですけど、これまでに作られた社歌も確認して〈音楽と人のイメージを唄えばいいんだ〉って思えたらワクワクしかなかったです」
太郎さんはいかがでしたか?
太郎「えみそんが『全然できる!』って話してて、びっくりしました(笑)。僕は〈音楽と人って何人くらい働いてるのかな〉〈社風はどんなものなんだろう〉とか、そういうところから考えてたので。僕、前に保育園の歌を作ったことがあるんですけど、それに近いものなのかな?って思ったりもして。保育園の歌を作る時は、〈園長先生が目指したい理想の園のイメージ〉とか基本的な情報を探るところからスタートしたんですけど……えみそんが『できる!』って言ってんだから、できるだろう!って(笑)」
えみそん、頼もしいな(笑)。実際に社歌を作っていただくにあたって、どんなことを意識しましたか?
えみそん「あ、割と宇佐美さん(フレンズ担当編集部員)を思い浮かべながら作りましたよ(笑)」
え、そうだったんですか?
えみそん「いつものインタビューで聞かれる内容とか……人の内面に寄り添いつつ、新譜についても聞いてくれてる感じがあって。あと新作について話す時も、音楽と人の場合、毎回一緒に作品を作った人だったり、作品を作るうえで意識した人だったり、〈誰かと〉っていうのが浮かぶんです。なので、そこを意識しながら作りました」
ありがたいです……。
えみそん「あとは雑誌を一から読み直したんですけど……そこで感じたものとか、音楽と人の雰囲気を難しくない言葉で伝えられたらいいなと思って。校歌とかもそうですけど、簡潔で適切な言葉でわかりやすく伝えられるものを目指しました」
太郎「すごいスピード感でできていったよね。デモの状態でメンバー全員が『これいいじゃん!』って納得してたし。『いっそアルバムに入れようか』って話もあったよね」
えみそん「うん。『リードじゃん』って」
まさかのリード候補(笑)。じゃあ、意外とって言ったらあれですけどスムーズにできていったんですね。
太郎「かなりスムーズでした!」
あと、社歌と言っても社風とかが歌詞に入っているわけではないので、ちゃんと曲として聴けるなと思いました。
太郎「〈音楽と人〉という曲としてね」
うちの雑誌だけじゃなくて、この曲を聴く人それぞれに〈自分が好きな音楽と私〉を思い浮かべながら聴くと、また別の味わい深さがあるというか。歌詞は全部えみそんが作ったんですか?
えみそん「そうですね。でも私ひとりで唄っても成立しないと思ったんです。太郎くんの柔らかい歌声もあるからこそ、より染み込みやすい曲になったのかなって」
そうそう。おふたりの歌声も相まって癒し効果がすさまじいなと思いました。
えみそん「社歌って毎日聴くものだろうしね」
太郎「ごっついものはちょっとね……」
えみそん「さらっと、お菓子と一緒に味わえるような感覚というか」
今までのフレンズの楽曲から、割とアップテンポなものや、少し電子音を入れた感じの曲も想像していたんですけど、真逆のタイプというか。
太郎「メンバーでさえも、〈おっ! そっちか!〉って感じでした(笑)」
えみそん「生活に根差したものって、元気だったり暗かったり、どちらかに振りきれてない印象が個人的にはあって。なので、すごくナチュラルなものを意識しましたね。ピコピコの音も大好きなんですけど、毎日聴けるかっていうと……例えば、自分が暗い状態の時は聴けないし。私はベニー・シングスとか好きなんですけど、ああいう感じの優しさのある音楽だったらどんな状態の時でも聴けるなって」
太郎「いつ聴いてもいいやつね」
えみそん「そうそう。それを目指してたのかも」
確かに。歌詞もシンプルな言葉で構成されてるから、どんな気持ちにも寄り添ってくれますよね。懐の広い曲だなって思いました。
えみそん「雑誌もそうですよね。雑誌を読む時って、わりとどんなテンションでも読めると思うんです」
うんうん。ちなみに、レコーディングはいつ頃されたんですか?
えみそん「去年の12月末くらいかな?」
年末のお忙しい時に……なんかすみません。
えみそん「いやいや(笑)」
レコーディングも順調でしたか?
太郎「超スムーズでしたね。〈この日に社歌を録ります!〉って事前に共有されていたわけでもなく、別件でスタジオを使うタイミングで〈今日は社歌も録ります〉って急遽決まって(笑)。おかげで構えずにできましたけど」
えみそん「知り合いの鍵盤やってる人にも急遽参加してもらったりね」
……この曲に対するフレンズの愛情の深さに感動しています。
えみそん「あははははは。あと、この曲は初めて自分でミックスしたんです」
太郎「あ、そうだそうだ!」
え、ミックスデビュー曲が社歌なんですか?
えみそん「そうでした! 記念すべきデビュー作(笑)。それまではミックスとかしたことなかったので、ミックスを意識しながら他の曲を一から聴き直してみたり、いろいろと勉強しつつチャレンジしてみました」
もうこれ、全社員で毎朝唄うしかないな。
太郎「はははははは!」
今リモートワーク中ですけど、そんなの関係ないです。
えみそん「Zoomとかで繋いでね(笑)」
そして社歌が完成してMV撮影に入るわけですが、とにかく当日の天気が心配でした。ちょうど撮影の時間帯に雨が降る予報だったので。
えみそん「あ、そうだそうだ」
しかも降水確率が50%くらいの微妙なラインで。皆さんの楽器を濡らすわけにもいかないので、万が一の場合は雨宿りすることにして思いきって実施したら……見事に晴れましたね。
太郎「すごかったですよね」
えみそん「三郎が雨男なのにね」
三郎?
太郎「衣装を持って来てくれた僕の弟で(笑)。今までにも、例えば運動会の前日にお腹を壊したり、三郎には何かの前日に何かを起こすっていう逸話があって……」
それを覆してしまうほどの奇跡が起きたと(笑)。そういえば、衣装も統一感があって良かったです。
えみそん「ね。みんなが個人個人で用意したやつなのに。バンドのバイブスが合ってきたのかもしれない」
バイブスっていうのはわかる気がします。正直4人になったフレンズに寂しさを感じてましたけど、MV撮影で演奏をしている4人を見て、また別のまとまりの良さを感じました。
太郎「個人的にも、この体制になって活動をしていく中でバンド感がさらに増したなって思います」
えみそん「みんながみんなを尊重できる感じとかね」
そんな新しい一歩を歩み始めたタイミングで社歌を世に出すのは、ぶっちゃけどうなんだろうって個人的には悩みましたが。
えみそん「あははははは!」
太郎「でも、フレンズはこんな一面もあるのか!って思ってもらえる機会でもあると思うし(笑)」
えみそん「フレンズっぽいとか、何かしらのイメージを持ってもらったり、それに沿って生きることも必要な時はあると思うんですけど……やっぱり音楽をやってるんだから、いろんな挑戦をしたり、いろんな面を持っていたほうが一人一人がもっと輝けると思うんです。だから、今回の社歌は早く出したいなって気持ちでいっぱいでした」
こちらの無茶ぶりから始まったものではありますけど、フレンズにとっても新鮮なチャレンジになったようで良かったです。最後に、社歌を作ってみての感想をお願いします。
えみそん「バンドが社歌っていうテーマを与えてもらって作った曲ではあるけど、そこに協力してくれた人たちだったり、いろんな人の力が集結して、さらに曲としての良さが膨らんでいった気がします。人を感じられる作品というか。そもそも、会社そのものがそうだと思うし。いろんな人の力とか意見が集まって成立しているというか」
ですね。太郎さんはいかがでしたか?
太郎「社歌っていう括りではあるけど、『音楽と人』っていう会社や雑誌、それと〈音楽と人〉っていう関係性とか、いろんな意味が含まれている曲だと思っていて。この曲を通じて、音楽との関わり方みたいなものを感じてくれるきっかけになればいいなって思いますね。やっぱり、このご時世で音楽を聴かなくても平気な人が少なからず出てきていて。ライヴも開催できたり、できなくなったりって状況が続いていく中で、この社歌の〈寄り添って/連れ添って/時に離れて〉って歌詞はすごくハマるなとも思うし」
人それぞれにいろんな楽しみ方ができる曲だと思うので、弊社を飛び越えて、たくさんの人にこの曲が届いてほしいなって思います。
えみそん「うんうん。社歌はこれからいろんな場所で披露していきたいし。アコースティックイベントとか合いそう」
太郎「あ、出たーい!」
是非! その時に音楽と人について触れていただくか否かは、皆さんにお任せします。
えみそん&太郎「あはははははは!」
文=宇佐美裕世
NEW ALBUM『SOLAR』
2021.8.4 RELEASE
■初回限定盤( CD+DVD )
■通常盤( CD )
〈CD〉 ※初回限定盤、通常盤共通
01 東京今夜
02 急上昇あたしの人生
03 FUTURE PEOPLE
04 Hey Boy Hey Girl
05 夢って
06 海のSHE
07 元気D.C.T〜No at all〜
08 いつものサタデー
09 iをyou
10 8月31日の行方
11 約束
12 あくびをすれば
13 楽しもう
14 ボルテージ!
15 いいんじゃない?
Special Rare Track
16 NIGHT TOWN(神泉Ver.)
〈DVD〉 ※初回生産限定盤のみ
01 ワンマンライブツアー「シチュエーション・コメディー season4」 at LINE CUBE SHIBUYA
02 「約束」発売記念生配信『Acoustic Night』 at 晴れたら空に豆まいて
— MUSIC VIDEO —
01 iをyou
02 楽しもう
03 take a chance
04 0:25
05 HEARTS GIRL
06 あくびをすれば
07 8月31日の行方
08 いいんじゃない?
09 約束
10 急上昇あたしの人生
フレンズ オフィシャルサイト https://friends-jpn.com/