今までみたいに楽な方向に逃げるのはカッコ悪い。そうなりたくないし、自分に満足できるようになりたいなって
行動に移してしまうぐらい毎日が窮屈だったし、そういう状況を変えたかったんですね。
「そうなんです。だからアイドルになるために早く東京に行きたいなとは思っていました。もともと写真を撮られたりするのは苦手でしたけど、それもやっていけば慣れるかなと思っていて。ほんとは人前で自分の顔を出すのが怖かったんです(笑)」
アイドルになりたいのに?(笑)。
「はい(笑)。BiSに受かった頃はほんとに自信がなかったので、顔出して誰かに叩かれたらどうしよう、かわいくしていなきゃいけないんじゃないかとか周りの目を気にしてしまって、恐怖ばかり感じていました。でもそう思うのは、自分が今まで努力してなかったからだっていうのも自覚するようになって。歌がうまいわけでもないし、ダンスもちゃんとやったことがなかったので、これから頑張らなきゃいけないな、想像していた以上に過酷な世界かもしれないって思いました」
それだけじゃなくて、性格の違うメンバーとの関わりでも苦労したんじゃないですか?
「そうですね。グループのためにこうしたほうがいいと思うって、メンバーに頑張って言ってみたけどうまく伝えられなくて〈何を言ってるんだろう?〉みたいな雰囲気になってしまった時があって。そこで〈もう何も言わずに周りに合わせるほうが楽だな〉と思ってしまったこともあったんです。でも自分のなかで〈これはたぶん間違ってないと思う。だから言うべきことなんじゃないか〉みたいな気持ちになった時に、それを信じて言ってみたらうまく伝わったこともあって。そこで無理に考えを曲げなくていい時もあるんだって気づいてからは、言わないでいるよりも、とりあえず言ったほうがいい。もし〈何言ってるんだろう?〉と相手に思われてしまっても、自分の考えを知ってもらえるだけでマシだって思えるようになりました」
それって自分のことなんか知られたくないと思っていた頃のイトーさんとは真逆の考えですよね。
「そうですね。今の私は最終的に相手と100%わかり合うことができなくても、前よりも人の気持ちがわかるようになればいいんじゃないかなと思っていて。それがグループをやっていくうえで大事だなと思うようになったので、失敗は多いけど頑張って伝えて自分を知ってもらいたいですし、相手のことももっと知りたいんです。だから例えば他のメンバーの調子が悪そうだったら、『元気ないの?』とか声をかけて、どう思っているのか知りたいなとか。そうやって前よりもメンバーとはちゃんと話せるようになってきましたね。みんな性格がバラバラで大変なんですけど、それでもBiSを続けたいからメンバーと話したいし、頑張っています」
どうしてそこまでBiSのために頑張れるんですか?
「今のBiSがすごく好きだからかな。自分の好きなことを全力でやれる場所が私にはここしかないんです。それにアイドルになりたくて東京に出てきたのに…………何も成し遂げないまま逃げることはできないなと思って…………(涙をこぼす)。今までみたいに楽な方向に逃げるのはカッコ悪いから、そんなふうにはもうなりたくないんです。だらしない生活をしていた時もあったので、家族にも自慢できるような何かを見せたりしたいし、いつか自分に満足できるようにもなりたいなって」
自分に自信を持ちたいし、誇れるようにもなりたいと。
「そういう気持ちにさせられるのがBiSなんです。ここまで大変なこともあったけど、やっぱりアイドルってカッコいい職業だなと思っていますし、自分がアイドルの曲を聴いていた時よりも、今BiSの歌を唄うようになってからのほうが音楽に救われるようにもなって。今回の作品の曲でも、唄ってみて自分に響く部分がありました」
具体的にどの部分ですか?
「〈COLD CAKE〉の〈子供の頃 好きだった言葉を思い出して今は/夢を見ていた頃の自分で/さぁ始めよう〉っていうところですね。アイドルになるために東京に出てきた時のこととか、今までの自分を思い出して。地元にいた頃は夢とか高い目標を持つこともなかったけど、今は例えばもっと大きなステージで唄ってみたいと思っていますし、そういう夢を持たせてくれたのがBiSなんです」
初心に返ったうえで、新しい夢に向かっていきたいと思わされると。それにこの曲ってイトーさんと重なりますよね。
「そうですね」
〈何度も言えるチャンスがあったんだ/でも言えなかった/背中を押してくれた/そう感じることもできたんだ/でも傷つくことが怖過ぎて〉であったり〈言い訳探すのは/もうやめよう〉ともありますけど、失敗や傷つくことを恐れて内側に閉じこもるのではなく、そこから抜け出そうとしている今のイトーさんそのものだなって。
「確かに。〈この歌詞、すごく刺さる!〉と思うことが増えたんですけど、そういう曲を唄うことでまた頑張ろうっていう気持ちになれるので、BiSの曲と一緒に自分が成長している感じがすごくしていて。だからここで唄っているかぎり、自分は強くいられる気がします。前みたいな自分にはもう戻らないぞって」
そういう気持ちがあれば、これからもグループと一緒に一歩ずつ前に進んでいけるんじゃないですかね。
「でも課題はまだたくさんあるんです。ちゃんとやっているつもりでも、できていないことが多いので悔しい思いをしてばかりで。だから自分はもちろん、グループとももっと向き合って、自分のダメな部分を1個1個直していきたいと思っています」
それを積み重ねていくことで、イトーさんはもっと変われるでしょうし、グループもよくなっていく気がします。
「そうですよね。BiSもそうだし自分もまだ変われるはずだって信じています。そう思える場所にいることができてほんとに幸せだなと思うので、これからももっと頑張りたいです!」
文=青木里紗
撮影=藤原江理奈
撮影協力=純烈
NEW EP「KiLLiNG IDOLS」
2020.02.24 RELEASE
■初回生産限定盤(CD+Blu-ray+写真集付ブックレット50P)
■通常盤(CD)
〈CD〉 ※初回生産限定盤、通常盤共通
01 HiDE iN SEW
02 COLD CAKE
03 GOiNG ON
04 I ain't weak maybe..
05 どっきゅんばっきゅん
06 つよがりさん
〈Blu-ray〉 ※初回生産限定盤のみ
「The DANGER OF MiXiNG BiS」2020.12.18@LINE CUBE SHIBUYA
01 STUPiD
02 BASKET BOX
03 I WANT TO DiE!!!!!
04 少年の歌
05 LET'S GO どうも
06 DESTROY
07 DEAD or A LiME
08 SURRENDER
09 IT'S TOO LATE
10 GETTiNG LOST
11 LOVELY LOVELY
12 DiRTY and BEAUTY
13 HiDE iN SEW
14 KiSS MY ASS
15 イミテーションセンセーション
16 thousand crickets
17 teacher teacher teacher
18 FUCKiNG OUT
19 テレフォン
20 this is not a love song
21 TOUCH ME
Encore
01 BiS-どうやらゾンビのおでまし-
02 CURTAiN CALL
03 CURTAiN CALL
BiS オフィシャルサイト https://www.brandnewidolsociety.tokyo/