『音楽と人』の編集部員がリレー形式で、自由に発信していくコーナー。エッセイ、コラム、オモシロ企画など、編集部スタッフが日々感じたもの、見たものなどを、それぞれの視点でお届けしていきます。今回の担当であるアラフォー編集者とnoodles・yokoさんが語り合う韓国ドラマコラム第6弾。今回は少し趣向を変え、ドラマで活躍する俳優たちがレギュラー出演することも多い韓国のバラエティ番組について語ります!
今年もよろしくお願いします。
「今年もよろしくね! 最近何かドラマ観た?」
ついこないだ『100日の郎君様』を観終えました。前にNHKでやってた時にちらっと観たんですけど、吹き替えだったんで継続して観る気が起きなくて(笑)。それでNetflixで字幕版が配信されたんで、ようやく観ました。
「わかる。吹き替えだと、どうも集中できないというか違和感があるよね」
元々の俳優さんの声を知ってると余計気が削がれるというか。やっぱ断然、字幕ですよね。yokoさんは?
「『スタートアップ:夢の扉』かな。観た?」
まだ観れてない……我らが(笑)ナム・ジュヒョク主演最新作。
「面白いから早く観て観て」
はい! 今回のテーマは、韓国のバラエティ番組となりますが、『スタートアップ:夢の扉』に出てるキム・ソノ(ハン・ジピョン役)は、今、韓国の〈国民的バラエティ〉といわれる番組のひとつ『1泊2日 シーズン4』に出演中ですね。
「そうなんだ。『1泊2日』のシーズン1は観たけど、新しいのは観れてないなぁ」
yokoさんが初めてハマったバラエティ番組は何になります?
「最初にハマったのはね、『ルームメイト』かな。観たことある?」
いや、初めて知ったかも。どんな内容ですか?
「タイトル通り、歌手とか俳優、芸人とかいろんなジャンルの芸能人が10人くらい、シェアハウスで共同生活するっていうやつで。いわゆるリアルバラエティって呼ばれるやつかな」
韓国は、リアルバラエティが多いですよね。日本の『テラスハウス』の芸能人版って感じですか?
「まあ、そうかな。でも『ルームメイト』には、恋愛要素は一切なくて。共同生活を通して仲間になっていくっていう内容なんだけど、最初ソ・ガンジュンが出てるっていうのを知って、すごい観たい!と思って、Kocowa(註:韓流に特化した動画配信サイト。韓国の地上波3社のドラマやバラエティを観ることができる)に加入して観たんだけど、すごく面白くて。シーズン1、2の全話観たけど、もう1回観てみたいくらい。なんか笑える部分もあれば、グッと来るところもあって。人間ドラマを感じたのがよかったのかな。ヒラバヤシちゃんは?」
私は、『1泊2日』ですね。これも俳優や芸人、歌手っていうジャンルの違う芸能人たちがレギュラーで出ていて。
「そうだね。しかも〈え、そんな姿見せていいの?〉みたいな瞬間とか、けっこうあったりして(笑)」
そうそう。『1泊2日』は、番組名の通り、1泊2日で韓国の各地を訪れては、いろんなゲームやミッションをこなしていくっていう内容ですけど、ゲームに負けると、ご飯抜きとか野外就寝っていう罰ゲームが課せられるから、レギュラーメンバーもすごく必死なんですよね。そこがまだ面白さに繋がっていくというか。
「そうだね。人柄も見えてきたりするしね」
それこそ回が進むにつれて、メンバー同士の連帯感が増していくところも観ていていいんですよね。今回、好きな韓国バラエティ番組を自分の中でリストアップしてみたんですけど、ほぼナ・ヨンソクPDが手掛けたリアルバラエティ番組だったんですよ。
「ナ・ヨンソクさんって『1泊2日』のプロデューサーだった人だよね。私もほとんどリアルバラエティだったな。『ルームメイト』『1泊2日』、『花より青春』(註:俳優や歌手たちが、着の身着のままで海外に連れ出されバックパック旅行をする、通称〈花よりシリーズ〉と呼ばれるバラエティのひとつ。他にも、主役級俳優が荷物係として大御所俳優たちと一緒にバックパック旅行をするというのもある)。あと、『国境のない屋台』は知ってる?」
観た! 『ハベクの新婦』とかに出てる、シン・セギョンちゃんがメインキャストのやつですよね。
「そうそう。『国境のない屋台』がすごく面白かったから、そのあと『ユン食堂』を観ようと思ったんだよね」
『国境のない屋台』は、ヨーロッパ各地で韓国式屋台を、『ユン食堂』も海外で韓国食堂を運営するという内容ですよね。『三食ごはん』(註:田舎で自給自足生活をするというテーマのリアルバラエティ番組)は?
「ナム・ジュヒョクが出てた〈高敞(コチャン)編〉は観たけど、他のシリーズは見れてないな。どんなのがあるんだっけ?」
山村編と漁村編の2パターンあって、今のところトータルで9シーズン制作されているのかな。〈高敞(コチャン)編〉は、山村編のシーズン3にあたるんですけど、イ・ソジンと2PMのテギョンがレギュラーだった〈旌善編〉が山村編のシーズン1と2で、シーズン4は、初の女性レギュラーによるもので。その女性レギュラーの時は、我らが(笑)パク・ソジュンとジュヒョギ、あと映画俳優のチョン・ウソンもゲストで登場しましたね。
「それ観たい! シリーズ全部観たの?」
いや、最新作の〈漁村編5〉は、まだ観れてないんですけど、私の大好きなコン・ヒョジンさんがゲストとして出たんで、すごく観たい! ちなみに〈『三食ごはん』シリーズ〉も〈『花より〜』シリーズ〉も、ナPDの番組なんですよ。
「そうなんだ。〈『花より〜』シリーズ〉は、旅行バラエティの部分もあるのもいいよね。あと韓国バラエティは、歌手とか俳優がメインのものが多いよね。だから余計、意外な一面とか見れたりして面白いっていうのはあるかも」
それこそ『三食ごはん』観て、チャ・スンウォンがあんなに料理上手だとは思わなかった。
「だよね。しかも作ってるのは、いわゆる韓国の家庭料理なんだけど、どれも美味しそうなんだよねえ。ちなみに今まで観た〈三食シリーズ〉の中でのおすすめは?」
どれも面白いんですけど……ゲスト陣とかも含めて考えると〈海辺の牧場編〉かな。
「えっ、〈海辺の牧場編〉ってどういうこと?(笑)」
基本は漁村での生活なんですけど、シーズン1、2で飼ってたヤギが再登場して、その一家が住む牧場の世話もするっていう内容で。ゲストもかなり良くて。なかでも、韓国最長寿アイドルグループ・神話のエリックがレギュラーなんですけど、そのメンバーがゲストに来た回が、かなり面白かった。神話メンバーの関係性の良さも見えてきたりして。そのあと神話の動画、けっこう漁りましたもん(笑)。
「そういうことあるよね。リアルバラエティって人間性や関係性みたいなのが見えてくるのも魅力だし、それこそバラエティきっかけで知った俳優さんや歌手の作品に触れてみようって思ったりすることもあるもんね。あと『三食ごはん』とか『花より青春』で、みんなで真面目に熱く語り合ってるシーンとかあるじゃない。その会話の内容とか発言にグッとくることもあったり」
演技論とか人生論とかね。しかもそれが、部屋に設置されている定点カメラで捉えているところもなんかいいんですよね。
「そうだね。『国境のない屋台』とか『ユン食堂』も、料理や接客は出演陣だけでやってて。その様子を遠巻きにカメラが追ってる感じじゃない。だから、なんか〈覗いてる感〉が面白いっていうのもあるかも。視聴者目線というかね」
確かに〈覗いてる感〉〈視聴者目線〉っていうのは面白味の大きな要素かも。字幕テロップも、日本のバラエティだと、出演者の発言を強調するためのものが多いけど、韓国バラエティは、視聴者目線的な、出演者に対するツッコミやイジリ系のものが多いですし。
「それとアメリカのシットコムみたいに、笑い声が挿入されたり、出演者の顔が大きくなったり、ほっぺを赤くしたりっていうCGとかもよく使われるじゃない。まあ、ちょっと古臭いというか、ベタな感じではあるんだけど、あの演出の感じも面白いし、けっこう好きなんだよね」
ひと昔の前の日本のバラエティやコント番組には、笑い声を被せたりとかありましたけど、今ほとんど見ないですよね。あとベタでローファイなCGとかも、YouTube番組では使われてたりするけど、地上波の番組ではあまりないですよね。
「そうだね。YouTubeもそうだけど、編集の仕方ってやっぱりすごい大事じゃない。そこで面白いかどうか左右されるというか」
そうですね。雑誌のインタビュー記事も、誌面に乗せられる文字量の限りがあって、1時間の会話を丸々載せることはできないから、その会話を踏まえて、何を伝えたいか、どこを取り出して形にするかっていうのはすごく大きいですよね。
「そう考えると、編集の良さっていうのも韓国バラエティの面白さに繋がってるかもしれないね。あとはやっぱりドラマもだけど、1エピソードの時間が長いから、ちゃんとストーリやキャラクターをしっかり見せることができるっていうのもあるかもしれないね。なんか話してたら、新たな韓国バラエティを観てみたくなってきた(笑)。何かオススメある?」
韓国バラエティの視聴環境はあまり多くないですけど、Kocoaに登録してるなら、『1泊2日』の最新シリーズとかどうです? あと、韓国では3、4年前に放送されたんですけど、『オンニたちのスラムダンク』っていう女性だけのバラエティ番組も面白かったかな。これもレギュラーメンバーは、俳優、歌手、芸人やタレントっていうジャンルの違う面々で。
「それはどんな内容なの?」
メンバーそれぞれの夢をみんなで叶えていくっていう、いわゆるチャレンジ系のリアルバラエティなんですけど、その中の一企画でガールズグループをやりたいというのがあって。そこで結成された〈Unnies(オンニス)〉っていうグループの曲がけっこう良くて。番組では、その曲の制作過程とかMV 撮影、あと音楽番組への出演まで追いかけているんですよね。
「それ面白そう!」
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あとそういえば、今まさに韓国で『ユン食堂』の新シリーズが放送されてますね。『ユンステイ』というタイトルで、コロナ禍で海外に行けないのもあって、食堂ではなく、韓国滞在中の外国人向けのゲストハウスを運営するっていう内容で。海外の方たちに、韓屋と呼ばれる伝統家屋で韓国文化を知ってもらうというテーマになってますね。
「メンツは、『ユン食堂2』と同じ?」
そこにパク・ソジュンの親友のチェ・ウシクが新たに加わってます。
「うわ、それ早く日本で観れるといいよね! 『ユンステイ』のテーマじゃないけど、韓国バラエティって、人間味が見えてくるところも魅力だけど、食とか名所、韓国独特のマナーや作法も、観ていて知れるところもあって。そういう文化的なものは、ドラマ以上に韓国バラエティを通して感じることが多いし、そこも魅力のひとつと言えるよね」
そうですね。面白いし、時に感動したり、癒されたり、文化も知ることもできる。やっぱ韓国バラエティいいですね。
「そう言えば、今回写真はどうする?」
そうですねえ……韓国バラエティということで、『遊ぶなら何する?』という番組から生まれた〈払戻遠征隊〉というユニットの曲がカッコいいんで、写真じゃなくて、その動画を入れようかな。これぜひyokoさんも聴いてみてください!
「了解! また次回もよろしくね!」
文=平林道子