久々に昔のUKFCっぽいというか、みんなバラバラなアプローチの仕方でライヴをしてたのが、なんかよかったね(ハヤシ)
他の出演バンドのライヴはいかがでしたか?
ハヤシ「Kubotyが抜けてからのTOTALFATは、より剥き出しになってるなって思ったな。3人とも、もっともっとって人たちだし、それが出てたよね」
あとポリとママとは逆に、TOTALFATはコラボをやるという、外に向かった闘い方をしていて。
ハヤシ「それもTOTALFATらしさがあってよかったよね。で、フミ(POLYSICS、ベース)とカッキー(柿沼広也/BIGMAMA、ギター)が1曲ずつ弾いて」
金井「袖をカットオフしたTシャツ姿のフミさんとカッキーは新鮮でしたよね(笑)」
ハヤシ「そうそう。TOTALFATは、Tシャツに袖があると入れないみたいな(笑)」
フミちゃん、男前なベースを弾いてましたよねえ。
ハヤシ「ポリではあんまり気づかなかったけど、フミがTOTALFATで弾いた時の、あのベースの存在感にはちょっとびっくりした(笑)」
カッキーはしれっとステージに登場して。直属の後輩に対する先輩からの手荒い迎え入れ方だなって一瞬思ったり(笑)。
金井「ほんとは照明が暗くなって、明るくなったらカッキーがステージにいる、みたいなはずだったんだけどね(笑)。あれは超ウケたなぁ」
そのTOTALFATのShunくんと金井くん、あとBIGMAMAの真緒ちゃん(東出真緒/BIGMAMA、ヴァイオリン)の3人で、出演キャンセルとなってしまったSPiCYSOLの代わりにスペシャルセッションを行いましたね。
ハヤシ「あれは誰からのアイディアだったの?」
金井「もともとSPiCYSOLが『〈STUDY〉って曲を一緒にやろうよ』って誘ってくれてて。で、Shunくんも〈Room45〉って曲を一緒にやる予定だったんですよね。で、SPiCYSOLが出れなくなったところから、俺とShunくんで何かやれないかな?とRX-RECORDSのボスからのフリもあって、2人で相談して。アコースティックで2人だけだと寂しいかなと思って、『真緒さん、ちょっといいっすか?』って」
それでSPiCYSOLの「Coral」を披露して。経緯も含めてUKFCっぽいファミリー感があったセッションだったなと思いました。
ハヤシ「困ってたら助け合うみたいなね」
金井「今だから言える話として、3回ぐらいリハーサルやったんですけど、最初のリハでShunくんが間違えて、直前のリハでは俺が死ぬほど転調ミスって、演奏止まるっていうくだりがあって」
ハヤシ「ははははは! それは緊張する(笑)」
金井「だから綱渡りな感じで。すごいドキドキしたんだけど、無事なんとか本番は成功してよかったです」
そしてthe telephonesは、10曲中新曲4曲という大胆なセットリストで。
ハヤシ「攻めの姿勢というかね。わりと新しいことをやってたよね。しかも新曲いいんだよなぁ、テレフォンズの」
まあMCは、いつもと変わらぬ、ゆる〜い感じでしたが(笑)。
金井「うん。そこもテレフォンズっぽいなって観てて思ったし、配信だろうとフェスだろうと、あのテンションでいききることを選ぶんだろうなって。やることを変えない、あれしかできないっていうのも彼らの素敵なところだよなと思ったな」
[Alexandros]は、ipadを持ち込んでチャットを通してお客さんとコミュニケーションしたり、むしろ配信ライヴだからこその見せ方をしてましたよね。
ハヤシ「すごいゆっくりやってたよね(笑)。でも[Champagne]時代の曲も何曲かやったじゃない。今のアレキがあの当時の曲をやると聴こえ方が全然違うなと思ったし、歌も演奏もちょっと骨太になってて。まあリアド(偉武)のドラムっていうのもあるんだけど、だいぶ聴こえ方も変わって、これはこれでいいなと思った」
FUTURE STAGEのバンドで気になったのはありましたか?
ハヤシ「EASTOKLABは、エレクトロニクスと生の楽器の融合具合の自由度が高いというか、ほんと面白いなと思ってて。曲の途中でシンセベースから生ベースになったり、ギターもシーケンスのひとつでストロークしないみたいな感じで1曲終わるとか、バンドだけどバンドじゃない。その感じが俺はすごい好きで、それがライヴでも感じられたから、よかったな」
金井くんはどう?
金井「自分が関わってるというのもあるんで、postmanかな。俺の好きな曲やんなかったなとか(笑)、一番近しい人間として厳しいことを言うと、絶対にもっとよくなるバンドだしもっといい曲書けるバンドだと思いましたね」
ハヤシ「うん。ツアーとかやりまくってどんどんライヴしていったら、化けそうなバンドだなとは思った」
金井「この曲の歌詞とか、このメロディがこういうふうに人を熱狂させるんだってこととか、ツアーやライヴって、アーティストとしていろんな部分をブラッシュアップしていくのにすごく必要な過程だと思うんだけど、今それが難しい期間じゃないですか。その磨かれ方ができないことを、どう乗り越えていくかってことも、彼らのライヴを観て思ったりしましたよね」
ハヤシ「確かにそれはあるよね」
今年はオンラインでの開催でしたが、改めてUKFCってこういうものだよなって思うことは、それぞれありましたか?
ハヤシ「このコロナ禍でどういうことをやるんだ?って考えた結果が、配信での開催っていうことになったんだけど、久々に昔のUKFCっぽいというか、みんなバラバラなアプローチの仕方でライヴをしてたのが、なんかよかったね。みんな秀でているところがズンッて飛び出てて、それで五角形になってる感じ。それは感じたな」
金井「そうですね。UKFCって特に演出がバンドによって変わるわけじゃないし、だからこそ同じフォーマットに落とし込まれた時に、見せ方の違いであったり、こういうファイティングポーズを選択するんだなっていうのを、今年はすごくリアルに見えましたよね」
無観客配信ということで、UKFCにもともとあった、それぞれのファイティングポーズ、闘い方のスタイルが、お祭り感に隠されずにダイレクトに伝わってくるものになりましたよね。
金井「そう。お祭りってみんなが同じ空間にいて成立する部分があるからね。でもそれが今年はできなかったし、だからこそ、何をカッコいいと思うかとか、バンドの芯みたいなものが見えた、そういうものにはなったとは思いますね」
この先、状況がどう変わっていくか見えないところではありますが、もし来年、本当の意味での10回目の〈UKFC on the Road〉が開催されるとしたら、どういうものになったらいいなっていうのを、最後に聞ければなと。
金井「来年どうなってるか全然わかんないけど、同じ日に日本中の違うところで、それぞれがライヴして、それを中継でつないでいくのも面白いんじゃないですかね。〈沖縄にいるテレフォンズはどうですか〜?〉みたいな感じで(笑)」
現地の人は生で、他の地域の人は配信で観れるみたいな。
ハヤシ「そういう〈on the Road〉感を出すってことね(笑)」
金井「うん。まあ思いつきで、今適当に言いましたけど(笑)。でもせっかくだから楽しいことを、ドキドキすることをやろうぜっていう気持ちはありますよね。僕は、そういう気持ちをこのUKプロジェクトっていう会社に教わったと思ってるし、まあクセの強い人間が集まってるから、きっと来年もさらにクセの強いイベントになるんじゃないかとは思いますね」
文=平林道子
写真=AZUSA TAKADA(2ショット写真のみ)