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THE BACK HORN、初の無観客配信ライヴ。自分たちに向き合い、お互いを強く確かめ合った夜

text by 金光裕史

【LIVE REPORT】
THE BACK HORN「KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL」-2020-(スタジオ編)
2020.08.02(無観客スタジオライヴ)



THE BACK HORNがバンド史上初となる無観客配信ライヴを行った。これはコロナによるライヴの中止・延期を受け、5月下旬から始まった、過去のライヴ映像を配信していく〈「KYO-MEI MOVIE TOUR」-2014〜2019-〉の特別編として行われることになったもの。その会場として選んだのは、ライヴハウスではなく、これまで幾度となくレコーディングを行ってきたレコーディング・スタジオ。これは昨今のコロナ禍の中、多くのミュージシャンやバンドマンが配信という形でライヴを見せている中、非常に新鮮だった。またこのライヴは結果的に、山田将司(ヴォーカル)が声帯ポリープと診断を受けて、全国ツアーを延期とした昨年12月以降、初の本格的なライヴとなる。2月にポリープ切除手術をした将司にとって、いわゆる復帰戦である。そういう意味でも、スタジオという演奏環境上、音やピッチが多少安定するであろうレコーディング・スタジオでのライヴは、とても良かったのではないだろうか。


また、スタジオであるがゆえに、このバンドのライヴにおけるテンションの高さや勢い以上に、楽曲や彼らの演奏の繊細さが伝わってきたのも非常に良かった。思えば彼らのアコースティック・セットや弾き語りで、その部分を感じることはこれまでもあったが、エレキのアンサンブルで聴くと、これまでとはまた違う印象を受ける。


ライヴは最初こそ緊張感が伝わってくる場面もあったが、しばらくするとそれ以上に、ライヴができる、それも4人で音を鳴らせる、その喜びが表情にも素直に表れてきた。当然だ。コロナ禍で動きが止まってしまったのではなく、その前から、ライヴができない状況に置かれていたのだから。4月に行った将司のインタビューを読めばわかるように、ヴォーカルとして、そしてバンドとして、ギリギリの瀬戸際に立たされていたのだ。今、4人でバンドをやって、共に音を鳴らすことが、当たり前のことではない。それをひしひしと受け止めているのが強く感じられた。


そんな思いが、セットリストからも強くにじんでいた。1曲目は「冬のミルク」。これは彼らがバンドを組んで、いちばん始めにできた曲だ。そして2曲目は「グローリア」。パグパイプが印象的なこの曲は、2017年、2枚目のベスト・アルバムに収録されている疾走感にあふれた楽曲。どこにも理解者なんていないと孤独を叫んでいた曲と、結成から20年を迎えた節目に生んだ、誰かの孤独に寄り添いたいという気持ちにあふれた曲。このはじまりの2曲には、この日、自分たちの心の奥にずっとあるものを見つめ直して、またここから始めようとする意思や願いが宿っていた。そしてその2曲は、そんな自分たちであることを、そしてまた始めることを肯定していた。


そう、このライヴは、誰のためでもなく、自分たちに向き合い、お互いを強く確かめあっていた。そしてそこから生まれてくるものが、光や希望、そして絆などといったテーマになっても薄っぺらく聴こえないのは、この日で言えば「悪人」や「幸福な亡骸」「空、星、海の夜」のような楽曲に、死や絶望、孤独を必死に受け止め、泥まみれで生きてきたバンドの姿が生々しく描かれているからだ。そのことがよくわかる。


そもそも、どんなに躓いても立ち上がるたびに強くなっているはずだと、信じて唄い続けてきたバンドだ。そしてステージの4人の姿こそ、その答えだった。将司の喉の手術、そしてコロナ禍で通常のライヴができないこの状況。彼らだけではない。誰もがこの先どうなるか見えない状況が続いているが、彼らのライヴからは、絶対に大丈夫だ、という確信が伝わってきた。諦めずに4人で音を鳴らし続けること、そこにしか答えはないのだ。


そして思いが共鳴し、その歌は僕たちのものになる。〈始まりが僕らを待ってる〉と唄われた「シンフォニア」は、僕らの希望の歌になった。さらに将司は〈帰る場所ならライヴハウスにあるから〉と歌詞を変えて唄った。それはライヴを待ち望んでいるリスナーと、多くのライヴハウスに向けてのメッセージでもあった。そしてラスト〈また、生きて会おうぜ〉という言葉に続いて始まった「刃」。会場がひとつになって、拳を突き上げる、あのシーンが目に浮かんだ。


全12曲1時間強のライヴ。ライヴハウスで、いつものような光景がまた戻ってくることを願いつつも、この日は、無観客での配信、スマホのアプリで観るライヴでも、そこに込めた思いが心に残った、そんなライヴだった。そして無観客配信ライヴの第2弾〈「KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL」-2020-(ライブハウス編)〉が9月6日に行われることも発表された。



文=金光裕史
写真=高田 梓

【SET LIST】
01 冬のミルク
02 グローリア
03 太陽の花
04 罠
05 心臓が止まるまでは
06 悪人
07 幸福な亡骸
08 空、星、海の夜
09 瑠璃色のキャンバス
10 コバルトブルー
11 シンフォニア  
12 刃


「住野よる×THE BACK HORN」の共鳴によって生まれた「小説×音楽」の境界線を越える新感覚コラボ作

住野よる『この気持ちもいつか忘れる CD付・先行限定版』(プレイパスコード付き)
2020年9月16日(水)発売

[CD収録内容]
THE BACK HORN『この気持ちもいつか忘れる』E.P
※「ハナレバナレ」を含む全5曲収録
※プレイパスコード付き



NEW EP「『この気持ちもいつか忘れる』E.P」
2020.10.19 配信RELEASE



「KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL」-2020-(ライブハウス編)

2020年9月6日(日)open19:00 / start20:00(予定)
販売URL:https://tixplus.jp/feature/thebackhorn_0906/



THE BACK HORN × 住野よるコラボプロジェクト 特設サイト http://thebackhornsuminoyoru.com/
THE BACK HORN オフィシャルサイト https://www.thebackhorn.com/

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