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INTERVIEW
  • #Cloque.

諦めずに唄い続けるCloque.のメジャーデビュー作。未来を信じるその理由とは

text by 沖さやこ

少年のように人懐っこいハイトーンヴォーカル、キャッチーかつセンチメンタルなJ-POP的メロディ、その歌を包み込む緩急の効いたサウンドメイク――メロコアやポップパンクをギターロックに落とし込んだバンドは日本に多かれど、ここまで繊細な優しさを持ったバンドは珍しい。3ピースバンド、Cloque.によるメジャーデビュー作『トワイライト』は、様々な角度から聴き手の心に光を灯す楽曲が揃ったアルバムだ。だが歌詞には傷ついた心や痛みの生々しい描写も散見する。それぞれ組んでいたバンドが解散してしまった3人で結成し、地道な活動を積み重ねてきたところに、村松利彦(ヴォーカル&ギター)の喉の故障が襲いかかった。それでも、と何度も転んで泣きじゃくりながら立ち上がる彼らの姿は、どんな状況も打破していくスマートなヒーローではないかもしれない。だがこのバンドは決して未来を諦めることなく勇敢に唄い続けているし、負けそうになるたびに自分自身とリスナーを鼓舞するように「ともに向かおう」と手を差し伸べてくれる。その生き様に「自分もまだまだやれるんじゃないか」という勇気がおのずと湧いてきた。彼らが傷ついていながらも未来を見据えられるのは、どんな原動力なのだろうか? ソングライターである村松に真相を問う。



Cloque.は2015年2月、それぞれ活動していたバンドが解散した3人によって結成されたバンドです。どんな気持ちのもと活動をスタートさせたのでしょう?


「前のバンドで活動してた時〈間違いないな!と手応えを感じられる、歌を大事にしたバンドを組みたいな〉と思ったんです。それでまずドラムの吉見(裕太郎)と一緒にやることを決めて。当時僕らは20代半ばだったので、年齢的にも新しくバンドを組めるのはこれで最後だろうなという共通意識があって〈いいバンドにするためにがんばろう〉と話してましたね。そんな時にベース(古田秀人)がTwitterから連絡をくれて、彼のバンドの解散ライヴを吉見と観に行って即決でした」


その翌年にはファーストミニアルバム『今日を越えて』をリリース。そこから半年後にはセカンドミニアルバム『この蒼い日々を』をリリースと順調に活動を続ける中で、村松さんは喉を壊してしまった。


「勢いに任せすぎちゃいました(苦笑)。2017年は年間120本以上ライヴをして、自分の弾き語りをやって……とほぼ毎日唄っていたので、年末あたりにヤバいかもと思って。でも音楽活動がすごく楽しかったし、喉を壊したことがなかったので〈まあ大丈夫でしょう〉と思ってたら、大丈夫じゃなかった。年明け1回目のライヴのあと、声が全然出なくなっちゃったんです。おまけに次の日もライヴがあって、めちゃくちゃアップしたらリハで声は出たけど、そのあと出なくなっちゃって」


それってヴォーカリストにとってものすごいピンチですよね。生きた心地がしないくらいのものすごい恐怖というか、絶望のような状況というか……。


「そうですね。その時に〈まじでヤバい、このままだと声が出なくなる〉と思って、病院に行きました。これくらいの時期がいちばん不安でしたね。大阪のライヴで声が出なくなって、帰りの機材車のなかで泣いたりして……辛かったです」


『トワイライト』の楽曲は前向きながらも傷ついている描写が生々しかったり、センチメンタルな要素も多いですが、その時期に書いた曲なんですか?


「いや、僕は落ち込んでいるとその感情に引っ張られすぎちゃうので、曲が書けないんです。僕の場合は幸い薬で良くなったので、活休に入った2018年の3月には再開の目途が立っていたんです。曲作りもライヴもポジティヴな気持ちやアイディアがたくさん生まれてきて、〈Sweet magic melody〉は〈活休するけどまだまだ俺は唄いたい曲があるぞ!〉という気持ちで書きましたね。立ち上がると力が出てくるし、それで自分が変われるなと思います」


よく自分を鼓舞するために、苦しみから立ち上がるために曲を書く人が多い印象があるんですけど、Cloque.の曲を聴く限り、村松さんの受けた痛みや悲しみ、不安は、かなり深いと思うんですよね。だから曲を作る以外で、どうやって立ち上がれているのかが、すごく気になります。


「人に恵まれてるってことがいちばん大きい気がします。〈周りの仲間と生きている〉という感覚があるから、自然に立ち上がれているのかも。こっそりTwitterを見て動向を知ってくれた家族が〈無理すんなよ〉と連絡をくれたり、活動休止の時にライヴハウスの人やバンドマン仲間が掛けてくれた〈ちゃんと休んでね。待ってるよ〉という何気ない一言だけでもすごく救われるんです。そういう近くにいる人たちに唄っている曲が多いのと、自分みたいな人に届いてほしいな、という気持ちが強いんですよね」


自分みたいな人、というと?


「自分で言うのもアレなんですけど、何回も何回も転んで、そんなにすんなりいけた人生じゃないなと思うんです。周りのバンドマン仲間もそういうやつらが多いから、反骨精神を剥き出しにするよりは、辛い時に支えてあげられるようなバンドになれたら、という気持ちが大きいんですよね。負けそうになっている人に負けないでほしいんです」


Cloque.の楽曲の優しさの源はそこかもしれませんね。村松さんがInstagramに書いていた「〈ついてこいよ〉なんて相変わらず言えないけど、どこまでも一緒に行こうね」という一節は、まさにCloque.の本質だと思います。


「でもやっぱり僕らもロックバンドなので、『ついてこいよ!』って言ってるようなバンドを見ると、カッコいいなあ、ズルいなあと思うんです(笑)。実際、前のバンドの時はその気持ちがすごく強くて、背伸びをするどころか宙に浮くくらいのことをしていて。でもそれで失敗したことも多かったし、音楽が嫌になるくらいの感覚もあって――いちばん好きな音楽を嫌いになりたくないなと思ってから、今のスタイルになりました。魅力は人それぞれで違うんだと気づいたというか」


その気づきがCloque.の結成につながってくるんですね。


「周りの同年代が働き始めたり、結婚し始めるなか、自分はバンドを続けたい――だからすごく自分と向き合ったのかな。自分らしくいたほうが楽しいし、それこそバンド名の最後にドットがついてるのは、俺が文字を書く時のクセで最後に点をつけちゃうからなんです。自分らしく進んでいこうっていうのは、この時から思ってたのかも」


25歳でその域に行けるのはかなり達観していると思います。私はその年齢の時、うまくいっている人に嫉妬してましたし、悔しい気持ちや焦りを抱えて燻ってました。


「いや、俺も根は負けず嫌いなんですよ。小さい頃からどんな場面でも自分よりすごい人を見ると〈がんばんなきゃ、負けたくねえ!〉って思ってたし、憧れのバンドに追いつこうとしてたのも、何度も立ち上がるのも、負けず嫌いだからかもしれない」


なるほど。今は負けず嫌いの方向性が「自分らしさを貫くこと」に向いていると。


「前のバンドが解散した時も〈ここまで続けてきたのに、今ここでバンド辞めていいの? ここで辞めたら負けじゃない?〉と思って。それは誰かに負けたくないわけではなく、自分に負けたくない気持ちが強かったかもしれないですね。たくさん転んで、そのたびに立ち上がってきたからこそ、転んでも〈こんなの初めてじゃないから、次も大丈夫でしょ〉と思えるようにもなりました」


まさに「365」で唄っている〈何年も何週も歩いてきたあなただから/大丈夫だって〉ですね。1曲目の「未来へ」も、最初聴いた時は〈昨日の涙が夢見る君を/きっと未来へと繋いでくれるから〉など前向きになれる根拠が少し抽象的だなと思ったのですが、全曲通して聴いたあとにもう一度聴くと、この曲で言いたいことがしっかり伝わってきました。それは漠然とした「未来」を思い描いていた人が、いろんな人生経験を経てあらためて初心に返る様子と似ているなと。


「今回のアルバムはメジャーデビュー作ということもあって〈1周回ったうえで新しい第1歩を踏み出す〉という様を描きたかったんです。タイトルの『トワイライト』もそのイメージでつけました。リスタートの背中を思いっきり押したい。そういう気持ちを込めて曲順もすごく考えたので、必ず2周目聴いてほしいんです。おっしゃっていただいたとおり、〈未来へ〉の響き方が全然違うと思います。そういうのはアルバムの面白さですよね。自分でもびっくりしました(笑)。実際にライヴで〈未来へ〉を唄って、自分がしっかり歩いている様子を見せれば誰かの勇気にもなるんじゃないかな、と思いましたね」


最後のバンドだ、という覚悟のもと集まったメンバーとメジャーデビュー。感慨深いですね。


「この3人はお互い意見を言い合って、高め合いながら曲作りができるんです。メンバーはメロディにもいろいろ意見を言ってくるので、負けず嫌いの俺はムカついて〈絶対もっといいの考えてくる!〉って、次のスタジオでドヤ顔して聴かせるっていう(笑)。対等な関係を築けてますね。メジャーデビューの実感は、今までできなかったことができるようになったり、いろんなことが決まってきた時に生まれてくるのかな」

「未来へ」と唄い前を向くCloque.は、この先どんな未来を描いていくのでしょう?

「どうなるんだろうなあ。目標があったとしても、そこに対してまっすぐには進んでいけないじゃないですか。そのわからない紆余曲折に対して、冒険みたいにドキドキわくわく楽しめるようになってます。これからどんな曲が作れるのかもすごく楽しみだし、まずは『トワイライト』のリリースツアーを成功させたいですね」


文=沖さやこ


MAJOR FIRST MINI ALBUM『トワイライト』
NOW ON SALE

01 未来へ
02 スターマイン
03 365
04 Sweet magic melody
05 Gloomy
06 春風
07 ハローグッナイ

"春が終わらないように" Tour

5月10日(金)F.A.D YOKOHAMA
 w/Amelie/リアクション ザ ブッタ/KAKASHI
5月14日(火)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
 w/POETASTER/moon drop/TENDER TEMPER and more
5月17日(金)music zoo KOBE太陽と虎
 w/BUZZ THE BEARS/COCO-ROBINSON
5月24日(金)福岡Queblick
 w/HAIR MONEY KIDS/BAN'S ENCOUNTER/ALBRIGHT KNOT
5月26日(日)岡山CRAZY MAMA 2ndRoom
 w/THE HELLO WATER/moon drop/OVER TRiP and more
6月4日(火)仙台enn 3rd
 w/Amelie/POETASTER/Unblock/KAKASHI
6月7日(金)心斎橋BRONZE
 w/39degrees/ONIONRING/Left
6月8日(土)栄R.A.D ※ゲストバンド後日発表
6月14日(金)高田馬場CLUB PHASE ※ゲストバンド後日発表

Cloque.公式HP https://cloque-web.com/

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