どうやったら勝てんのかって分析したら、その答えは、余計なことしないでロックンロールバンドの王道をガーッてやる、ってことになる
じゃあ何でここ最近はそうじゃなかったんだと思いますか?
テツ「どうなんですかねえ(笑)。佐々木くんはセンスあるし、音楽大好きやから、いろんなことができちゃうんですよ、きっと。だから全然違う新しいことにチャレンジしても、たぶんある程度できちゃう。だからそっちに行こう行こうとするけど、それを、待て待て待て待て!って(笑)」
そっちじゃないぞ、と(笑)。
テツ「信頼できる人がそう言ってくれたから、こういうアルバムになったんじゃないですかね。俺らも対バンで爪痕残したくて、どうやったら勝てんのかって分析したら、その答えは、余計なことしないでロックンロールバンドの王道をガーッてやる、ってことになるし(笑)」
気づいたと。
テツ「ていうかメンバーみんな、そう思ってたんじゃないかなあ(笑)」
HISAYO「3人とも、テツの目線や感覚を信じてるところがあるんですよ。いちばん若いし、ファンの目線に近いからかもしれないけど〈ま、テツが言うならそうかもね〉って思うことが多い」
渡邊「テツに言われて、それが俺たちの武器だったよな、って思い返したりね。でも、じゃあバンド組んだ頃のような初期衝動を取り戻そうとして、無理やりそうするのは違うから。そのフリになっちゃうから。ガーッとやる中に、ちゃんとこれまでやってきた繊細なアレンジや美しいメロディを活かすというか。ま、でもテツはガーッてやってていいんですけどね(笑)」
テツ「リードギターの美味しいところですよ!」
ははははは。そこにフラッドのよさがあるって、みんな実感したわけですよね。
渡邊「まだやってないことがあったなって。やったつもりになってたけど、あれ? 意外ともっと楽しみ方があったな、みたいな」
HISAYO「確かにこの路線で行こうって言葉だけで言ってたけど、焼き直しにはなりたくないねって言ってて。それはちょっと怖かった。だけどやってみたら行けましたね(笑)」
渡邊「あれ、全然行けちゃうぞ、って(笑)」
テツ「そんな姿を俺はニヤニヤしながら見てた(笑)」
あと同時に、佐々木も3年前に初めてソロを作って、自分の中のいろんなものを外に出すようになったから、フラッドではこれをやるんだって、棲み分けみたいなのができたのかなって思います。
テツ「そう思うっすね」
HISAYO「確かに」
でもメンバーとして、3人は正直どう思ってるんですかね。ソロはともかくTHE KEBABSまで始めやがって!とか思わないんですかね(笑)。
HISAYO「よし、佐々木の悪口大会だ(笑)」
渡邊「喋るか!(笑)」
テツ「でも、どうぞどうぞって感じですよ(笑)。俺もやることがあればやりたいし。要するに、佐々木くんがソロをガンガンやってるから、フラッドに集中しろって思うヤツがいるってことでしょ?」
まあね。
テツ「うるせえ。俺らバンドだぞ。舐めんじゃねえ、って話っすよ」
HISAYO「キャー、テツー、ステキー(笑)」
テツ「佐々木くんはソロで得たものを必ずバンドに返しますよ。そのためにやってるし、そうじゃない人とバンド組まないっす」
HISAYO「自分もフラッド以外にいろいろバンドやってるけど、他でやってることでバランスがとれるんですよ。フラッドに向かう時はこれ!って。もし自分にフラッドしかなかったら、けっこう大変だった気はするんですよね。佐々木と同じかどうかわからないけど、ちょっと中に入りすぎてたフラッドのことも客観的になれる。だからメンバーにとってもいい気がする。中にいて鬼軍曹になるよりは(笑)」
ははははは。
HISAYO「前はバンドのことを全部背負ってたけど、今はウチらにも任せてくれるし。そう言ってくれるのが嬉しいし、あくまでこっちに軸足を向けてやってるのがわかるから。それが見えてるから私は頑張ってー! 行ってらっしゃい!って(笑)」
テツ「お母さんですね」
HISAYO「お姉さんや!(笑)」