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INTERVIEW
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ガンを克服した武藤昭平(勝手にしやがれ、武藤昭平 withウエノコウジ)、完全復活インタビュー

1フレーズだったけど、手術後すぐに少し唄えたから。これ頑張れば、すぐにみなさんの前で唄えるぞって。そう思うと頑張れるもんだね



そういう逡巡が武藤さんの中には最初あって。

「まあ、いろいろ考えたりしたけど、ウエノくんはじめスタッフみんなから、『とにかく早く治療をしてくれ!』って言われて。すでに発表しているツアーや勝手にしやがれのライヴをキャンセルすることになって、いろんな人に迷惑かけてしまうという心苦しさはあったけど、とにかく病気を治すことに集中してくれってみんなに言われたし、もうそこに集中させてもらって。医者からも、こういう治療があって、そのあとに手術ができます、って前向きな話しかされなかったし、もうあれこれ考えてもどうしようもないから、やれることをやるしかない、という気持ちになったかな」

でもすぐに発想の転換ってできたものなのですか?

「いやそんな大層なことではなくて。目の前にやらなきゃならないこと、治療があるからそれをクリアすることしか頭になかっただけって感じで。手術後も食べるためのリハビリ訓練があったり、けっこう毎日やることがいっぱいあったから。それになんだろ、抗がん剤で味覚が変になって食べるもの全部まずく感じる体験とかさ、一生のうち何回もできないでしょ?」

いや、何回もしなくていいことですから(苦笑)。

「そういう苦しい思いも全部、一生にそう何度もない経験だし、ちゃんと噛み締めて、こういう体験を経た上じゃないと絶対書けない歌もあるはずだとも思ったよね。だから、その瞬間瞬間を大切にしようと思って過ごしてきたかな」

病院に一度お見舞いに行かせていただきましたが、その際に、次の抗がん剤治療で毛髪が抜けるという話もされてて。そのあたり、やはり葛藤もありましたか?

「そこに関してはなかったかな。髪が抜けてまた生えてこなかったとしても生きてりゃいいやって思ってたから。どんな形で皆さんの前に復活できるかって全然想像もできないけれども、お見舞いに来てくれた人やSNSとかでいろんな人の声を聞いたりする中で、とにかくまたみなさんの前でちゃんとライヴがしたいっていう、その気持ちだけだったよね。あと喉に関して言えば、喉周辺にあるリンパ節にも転移が始まってて、それは抗がん剤でやっつけることができたんだけど、用心のために転移の可能性があるリンパ節を全部切除したんですよ」

そうなんですね。

「で、そうすると喉周りもいじるから、切除の時に声帯や神経を傷つけて、声が嗄れたり、変わってしまったりする可能性もあるとは言われたんだけど、最初に先生に歌を唄う商売をしてることを伝えてたから、すごく慎重にやってくれて。それで手術が終わって麻酔から覚めた時、身内が病室に集まってたんで兄貴に『俺の声出てる?』って聞いたら、『普通に聞こえてるぞ』って言われて、すごく嬉しくてね。そこで1曲、1フレーズだけ唄って」

え、麻酔から覚めてすぐですか!?

「すぐに(笑)。勝手にしやがれのシングルに入ってる〈Is You Is or Is You Ain't My Baby〉ってカヴァー曲があって。俺、いつもリハの時の声出しでそれを唄ってるんだけど、その1フレーズを唄ってね。〈うわ、唄えるよ!〉と思ったら、心拍数とかがめちゃくちゃあがっちゃって(笑)。まだ身体中にいろんな機械がついてたから、ピーピーピーって異常を知らせる音が鳴っちゃったりして」


あはははは。手術後、麻酔から覚めて最初に思ったことは、声が出るかどうかだったんですね。

「声が出て、唄えるか。1フレーズだったけど、手術後すぐに少し唄えたから、これ頑張れば、すぐにみなさんの前で唄えるぞって思っちゃって。そう思うと頑張れるもんだね(笑)。手術終わってからは、お医者さんが驚くくらい復活が早くて〈もうそんなに食べれてるんですか?!  おかしいなぁ〜?〉とか言われたりして。で、手術後2ヵ月経って経過診察を受けに行った時に、『だいぶ体調もいいし、1人でカラオケボックス行って歌のリハビリしてるんで、そろそろステージにあがってもいいですかね?』って聞いたら、〈え、もうですか!?〉って(笑)」

術後2ヵ月でステージ復帰したいとか言われたら、そりゃ医者も驚きますよ。

「でもその時の検査結果見て、お医者さんからも、今の状態であれば、あとは本人が努力して、体力的にも大丈夫であればステージに上がるのもかまいませんという感じでお許しが出たから。それなら、もっと頑張るよと思って。やっぱ年配の方が同じ病気になってしまうと、体力の問題もあって合併症を起こしてしまうことはあるんだけど、俺の場合、ガン以外はめちゃ健康な状態だったから」

えっと、これは私の勝手なイメージですが、これまでの武藤さんは、ロックミュージシャンらしい不摂生な生活をされてたじゃないですか。

「あはははは! でも今はタバコもあんだけ吸ってたけど止めたし、酒もジョッキ2杯までしか飲んでないよ」

当然です(笑)。今回の経験を経て、いろんなことを考え、感じたかと思うのですが、一番大きなことはなんでしょうか?

「なんだろ……これまでの生活の中で自分が苛立ったりしていたことも、考え方ひとつで変わるってことかな。なぜ俺はそのことでイライラしていたのだろう?ってことを洗いざらい自分の中で整理して。〈あ、もう少しこういう考え方ができるようになれば、もっと人に優しくできるんじゃないか〉とか。そういうことを考える時間にもなったよね。例えば勝手にしやがれのメンバーに対しても、時々くだらないことで怒ったりしてしまってたのかな?っていう反省があったりさ」

ほう。

「あとは、俺って何者なのか?ってことをすごく大切にしたいと思うようになったかな。これから死ぬまでの期間、俺という人間が存在する意味を大切に、しっかり全うしていこうって。そうすれば、もしかしたら死んでたかもしれない俺が、今この世に生かされてる意味がちゃんと出ると思うんだよ。それをちゃんとしようと」

生きるということを選択した自分がいるわけですしね。

「でも、そこに関して思うのは、俺が選択したっていうよりは、そうさせられたような気持ちのほうが強くてね。俺自身はどっちでもいいですよっていう気持ちにも最初なってたし」

最初は難しいかもって状況ではあったけど、生きて50歳の誕生日を迎えられて本当に良かった。みなさんが待ってくれてたって感じて、それがすごく嬉しい

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