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INTERVIEW
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Ghost like girlfriend、人への温かい眼差しに溢れた新作「2020の窓辺から」を語る

text by 樋口靖幸

岡林健勝のソロプロジェクト、Ghost like girlfriendの新作「2020の窓辺から」。自分名義の活動を経て2017年頃からYouTubeやSNS界隈で注目を浴び、昨年3月には渋谷WWWで初ワンマンを成功させ、6月にフルアルバム『Version』で華々しくデビューした彼の4枚目となるEPである。今年の1月と5月にも新曲を配信しており、あれから順調に活動していたのかと思いきや、本人的にはデビュー前後からずっと抱えていた壁にぶち当たっていたようだ。デビューに至るまでの人間関係や環境など、それらすべてを一旦リセットすることで、改めて音楽と自分、自分と他者の関係を見つめ直したことで生まれた新作は、これまでのどの作品よりも素直で、優しくて、人への温かい眼差しに溢れている。そんな作品ができる経緯について、正直に語ってくれた。



前回のインタビューから1年以上経ちましたが、あの頃を振り返ってみてどうですか?


「もはや遠い昔って感じです。当時はもう……ライオンとか虎とか、ヤバい動物がたくさんいる檻の中にポンって入れられたみたいな感じというか」


どういうことですか?(笑)。


「実はデビューする前ぐらいからなんですけど、自分が置かれてる状況にすごく戸惑っていたんですよ。例えば何かのイベントに出た時も、十分戦えると思っていた共演者たちと、いざステージに上がってみたら実はみんな黒帯で、自分だけ白帯みたいな気持ちになったり。プライドとかいろんなものを守るのに必死だったというか」


でもそんな時期にやった初ワンマンはすごくいいライヴでしたけど。お客さんも関係者もたくさんいたし、岡林くんも楽しそうでした。


「あの日のライヴはいろんな人たちに支えられて、すごくいいライヴができたなって思います。でも、あの頃からだんだん……自分が燃え尽き症候群みたいになって」


アルバムも出してないのに?


「そうなんですよ(笑)。周りとのチームワークも乱すようなことがあったり、自分の中でこれからの活動に葛藤があったり。だから僕、樋口さんにアルバム『Version』のインタビューをしてもらった時に『今は泥舟に乗った気分です』って答えてるんですけど、しかもそれが誌面でがっつり見出しになってて(笑)」


メジャーデビューのタイミングでそんなことを言うのが悪い(笑)。


「でもあれが当時の本音だったんですよ。Ghost like girlfriendというキャリアの中で、すでにグチャグチャになってる自分がいて。自分のプライドだったり周りとの人間関係だったり。そういうのでもがいてる自分がインタビューでも隠しきれなくなってる状態でした」


じゃああの時口にしていた不安感は、将来に対する思いというよりも、現在進行形だったってことだと。


「そうですね。で、『Version』をリリースしてからようやく音楽とか自分のスタンスとか、いろんなものを見直すようになって。それが今回の作品に活きてるんですけど」


岡林くんにとって去年はヘヴィな1年だったんですね。


「ヘヴィでした。じゃあなんでそんなに大変だったのかって言うと……自惚れてたんですよ。それまで2年ぐらいライヴ活動もせず、ずっと表に出てなかったこともあって、楽曲の再生数だけを見て、自分の存在が世の中に広まってるものだと勝手に思ってて。しかも広まってるぶん、自分の中で〈こう思われるだろうな〉っていうイメージを作って、それに沿うような存在でいなきゃいけないと思ったり。だから初めてインタビューしてもらった時とかも、頑張って敬語を使えるようにしたり、丁寧な言葉遣いを勉強したりして臨んでたんですけど」


そういえばインタビューの初っ端から「上手く話せない」みたいなことを言ってたね。


「付け焼き刃なんだから当然なんですけど(笑)。それでも初ワンマンの時は〈あぁ、ちゃんと人に届いてる〉って思えたんですよ。けど、どこかで疑い深いというか、ちゃんと僕がイメージしてるような届き方はしてない気がして。それでどんどんスタッフとかバンドメンバーともギクシャクするようになっていって。で、去年の後半には事務所も離れることになり、そこから自分を立て直すことにしたんですよ」


話を整理すると、Ghost like girlfriendとしてデビューに至る中で、本来の自分らしさとは違う部分を求められてるんじゃないか、そういう期待に応えなきゃいけないんじゃないかと、岡林くんが過剰に思い詰めていったと。


「そうですね。やっぱり時代の寵児じゃないけど、そういう存在になりたかったし、そうなるためのイメージとかプライドとかも必要だったし。でも今はそれを全部いったん捨てて、もう一回自分というものを立て直すことから始めることにして」


そうやってできたのが『2020の窓辺から』。


「はい。今までの自分を一回更地にしました。今自分はどういう人と出会いたいか、今自分のそばにいてくれる人とよりよいコミュニケーションを取るにはどうしたらいいのか。そういうことを考えながら作ったので、すごく内省的ではあるんだけれども、ちゃんと人の存在を感じられる曲がようやく作れるようになったと思います」


「人の存在を感じられる曲」というのをもう少し説明できますか?


「えっと……今までの僕は〈なんで愛してくれないんだろう〉とか〈どうして愛されないんだ〉みたいなことを曲にしてきたじゃないですか。でも結局それって人のせいにしてきただけで」


自分を顧みなかった?


「というよりは〈愛してくれないんですね、じゃあさようなら〉って今までの僕はなってたんですけど、今は〈愛してくれないんでしょうけど、そこからどうしたらいい関係になれますか?〉っていうことを考えられるようになったというか。つまり自分から他人をなるべく閉ざさないようにするってことなんですけど」


『2020の窓辺から』を聴いて、初ワンマンで目の前の人たちに本当の自分を解放してる岡林くんと、今回の作品の中にいる岡林くんってすごくダブるなって思ったんですよ。例えば「Birthday」っていう曲とか、自分以外の誰かに向けられてるじゃないですか。


「そうですね。特に〈Birthday〉は友達というか人に向けて書いた曲で。今までそういう曲がなかったのと、あとはコロナっていうものがあって、その中で自分語りみたいな暗澹としたものを世に出すのがどうしても辛くて」


そうですよね。


「あと、そもそも自分が救われた音楽って、その曲を作った人の家族とか恋人とか、僕とは関係ない人に向けて書いた曲だったりしたのを思い出して、だったら僕もすごくワガママで個人的でもいいから、誰かに向けて書こうと思ったんですよ」


そこがね、すごくいいなって。それこそ『Version』の頃は自分のことでいっぱいいっぱいになってたけど、これは誰かに寄り添ってる作品だから。


「うん……。この〈Birthday〉って曲だけはすでに配信してるんですけど、それこそ……Ghost like girlfriendを始める前から僕のライヴを観にきてた人から久しぶりに感想が来たり。で、やっぱりこの曲って当時の空気感――数は少ないけどライヴをやればお客さんが何人か来てくれて、ライヴのあとに物販席でずっと話をしてた時の人との関わり合いみたいなものがあって。でも去年デビューするにあたって、いろんな人との関わり合いの中で自分がグチャグチャになって、もう人と関わるのをやめようと思ったぐらいだったけど、でもやっぱり人が好きなんだなっていうのがわかった。だからこういう曲が作れたのかなって。僕……なんだかんだいって人が好きなんでしょうね(笑)」


岡林くんは人が好きなんだなってことがわかる作品なんですよ。これまでもずっと人間関係でいろいろあった人ではあるんだけど、それでも人を嫌いにはなれないっていう。


「ほんとそうなんですよね。そういう自分って今までは音楽で出そうと思ってもなんか……上手く出せなかったというか」


上手くはないけどちゃんと出てましたよ。今までもそうだったでしょ? 人に対する思いが強いぶん、相手からそれが返ってこないと傷つくっていうことの繰り返しというか。


「それしかなかったですね、この25年間。特に去年はその思いでいっぱいになって。今はそこから少しだけ前を向けてるけど」


そこが岡林くんの魅力なんですよ。思いはあるのにそれを伝えるのが下手くそで、しかも自分が傷ついて、そこで誰かを憎んだり孤独になったりすることを音楽のエネルギーに換えることだってできる。でもそういう選択をとらないで、前をちゃんと向こうとするところが。


「あぁ……そうですよね」


そこが大事。


「うん。あの……去年事務所を離れて、いろんなことを1から立て直す時に、やっぱり完全にひとりでっていう発想にはならなくて。むしろもう1回ちゃんと人と出会い直して、もう1回、1からちゃんと人との関係を見直して、人と一緒にやっていきたいって思ったんですよ。自分ひとりで生きていく、みたいな気持ちには一切ならなくて」


そこで虚勢を張って、ひとりを選ぶ人だっているけどね。


「僕がそうならなかったのは、やっぱり人のありがたみみたいなものに救われたからで。例えば事務所を離れた時に、知り合いのバンドマンとか昔のバイト先の同僚が励ましてくれたり。あと……友達で音楽活動やってるやつがいて、そいつが僕の誕生日の前日に『ワンマンやるからよかったら観に来て』って誘ってくれたんで観に行ったんですよ。そしたら、本番始まる前の会場BGMがずっと『Version』で、ライヴが終わったあともお客さんがいなくなるまずっと『Version』をかけてくれたりして」


いい友達がいるじゃないですか。


「そうなんですよ。そういう灯火めいたものというか、人のありがたみをすごく感じて。デビューしてから去年までの1年で、人間不信になったり疑心暗鬼になることばっかりだったけど、〈この人たちがいなくならないんだとしたら、より大事にしなきゃ〉って思えたんで。だからこの先もいろんな人との出会いの中で、自分の音楽を豊かにしていければなって思ってます」



文=樋口靖幸


NEW EP「2020の窓辺から」
2020.11.18 RELEASE

01 regret
02 Piercing
03 Birthday
04 なまえを呼んで
05 2020の窓辺から(feat.okkaaa)

TOWER RECORDで購入

HMVで購入

Amazonで購入


Ghost like girlfriend オフィシャルサイト https://www.universal-music.co.jp/ghostlikegirlfriend/

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