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【編集部通信】もし、過去に戻れるなら。一度きりの人生を見つめ直したアニメについて

text by 白崎未穂

『音楽と人』の編集部員がリレー形式で、自由に発信していくコーナー。エッセイ、コラム、オモシロ企画など、編集部スタッフが日々感じたもの、見たものなどを、それぞれの視点でお届けしていきます。今回は誌面で「言の葉クローバー」という書籍や漫画作品を紹介コラムを担当している編集者が、あるアニメを通して感じた思いを綴ります。



いま私が所属している株式会社音楽と人では、〈音楽雑誌の編集者たるもの定期的に映画を観ましょう〉という方針のもと、必ず1週間に1本、何かしらの映画を鑑賞。そして簡単なレビューを書いて提出しております。こういうふうに書くと、義務っぽくてなんだかネガティヴに捉えてしまいがちですが、過去の作品から最近の作品までいろいろ観ていると新しい発見があったりして、意外と楽しめています。ただ、いつでも一時停止できるストリーミングで鑑賞するので、なかなか集中力が続かないのが難点。やっぱり映画は映画館に行くのが一番いいなと思う次第。そんなわけで、最近はNetflixとにらめっこすることが多くなりました。優柔不断なところがあるので、どの作品を観るのかを決めるのがけっこう大変で。よく行く呑み屋の常連さんに、「最近どんなの観た?」「今まで観た映画で一番よかった作品ってなに?」などと聞きとり調査をしまくっております。


いろんな人に聞いた中でも、一番興味をそそられたのが、飲食店勤務のくみたんに教えてもらったアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』。通称・リゼロ。映画じゃねぇじゃん!というツッコミは無視しますね。何が気になったかというと、くみたんは普段アニメを一切観ないタイプの女性。じゃ、どこでこのアニメを知ったのか、を聞くと「パチスロ行ったらたまたまリゼロの台があってぇ、それで気になったんだよねぇ」とのこと。ナイスな理由にそそられたわけです(笑)。まぁ、たまたま他の常連さんがこのアニメの制作に携わっているらしく、それはぜひ観てみたい!となったのが本当のところだったりします。


私が観たのは、Netflixで配信されているリゼロの〈新編集版〉。引き篭もりでニートの主人公、ナツキ・スバルがある日突然、異世界に召喚。何回殺されても生き返る「死に戻り」という特殊能力を駆使して運命を変えていく――という物語(ざっくりですみません)。いわゆる〈異世界転生モノ〉というジャンルになるのでしょうか。主人公のスバルは、誰かに殺されては死に戻りの能力を使って生き返り、ドラクエやファイナルファンタジーなどのRPGゲームのように、セーブポイントからやり直すように少し前のタームから人生をリスタートするのです。そしてさっきまで生きていた中で、何がいけなかったのか。とくに自分が殺されてしまった原因を考えるのではなく、仲間が死んでしまう運命を避けるために、自分がとった行動や言動のどこがいけなかったのかを見つけようとする。何もできず、誰も救えず、自分さえも殺されてしまう――無力な自分を思い知らされたうえに、これまで傲慢で怠惰なニート生活を送ってきた過去の自分を悔い改め、現実世界では孤独だった彼が〈仲間を救いたい〉という気持ちひとつで何度も何度も運命に立ち向かおうとするスバルの奮闘ぶりにグッときてしまいます。引き篭もりのくせに身体能力が抜群だったり異様にコミュ力が高かったり、と突っ込みどころ満載だったりするけれども、主人公が壁を乗り越え、自分の運命を変えていくのは本当にすごいことだと思う。


〈もし、過去に戻れるなら〉って、誰でも一度くらい考えたり想像したりすることはあるはず。私だったらやっぱり、人とちゃんと向き合えなくなってしまった原因だと思っている中学2年生の秋頃に戻ってみたい。当時、ある日を堺にクラス全員から無視されるようになり、それ以降、卒業するまで学校へ行くことが憂鬱だった覚えがある。今思えば、心ないことを反射的に何か言ってしまったのが原因だったんだろう、とか考えるけど、具体的にその原因を知ることができれば、もっと楽しく学校生活を送れたはずなのにな、といまだに後悔することがある。でも、そのおかげで所属していた吹奏楽部での活動に打ち込めたし、習っていたピアノのレッスンも途中で辞めず、結局、高校卒業するまで14年間続けられた。自分で演奏することで音楽を楽しむということを知ったし、そういう経験があったからこそ、今でも音楽に近い仕事を続けることができている。……あれ、これって過去に戻らなくてもいいんじゃないか? あ、そうか。物語の中では何度もやり直せることができるけど、結局、現実世界では、人生一度きり。やり直すことはできない。だからこそ、このアニメは〈お前の人生、それでいいのか?〉と、訴えかけているのか。


家族、友達、上司、同僚、後輩、近所の人。仕事、プライベート問わず、人とどういうふうに接している? 自分の言動や態度は大丈夫? 人との向き合い方は? いつも思いやりを持ってる? 傲慢な態度をとってない? 怠惰な生活を送ってない? あんたの人生、これでいいの? 今の自分に問いかけなければならないことはたくさんある。ひとつずつ振り返り、これでいいのか、それとももっと変わらないといけないのか。この作品が問いかけてくることを受け止め、これからをしっかり生きていきたいと思った。


最後に。くみたん、とってもいいアニメを教えてくれてありがとう。



文=白崎未穂

よれよれになった楽譜。ソナチネ、ソナタを卒業したあとは、ジャズかバッハを演奏するか、どっちにするか先生に迫られました。

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