昨年ブライテスト・ホープとして登場し、ジャンルを問わず各クリエイターが大絶賛。今年は二度のアメリカツアーと初のイギリスツアーを敢行し、日本でも夏フェスをほぼ制覇しテレビの世界にも余裕で進出するなど、まさに八面六臂の大活躍を見せているCHAIである。5月のEPに続いて11月にはTシャツ付き両A面シングル「GREAT JOB/ウィンタイム」が登場し、いったい彼女たちはいつ休んでいるのかと心配にもなるのだが、楽曲はいつにも増してハイテンション&ウルトラポップ。苦悩とか根性といった言葉をすっ飛ばしてにっこり笑う姿そのものが、とてつもなく強いメッセージになっているようだ。とはいえ、飛躍のスピードの速さゆえに、その主張が完全に浸透したとは言い難いのも今の現実。「思ってたのと違うかも」がいくつかあったという今年のCHAIを直撃してみた。みんな一緒が当然な日本だからこそ生まれたこのパワー、もっと、届け!
(これは『音楽と人』2018年1月号に掲載された記事です)
今日は、2018年のCHAIはどうだったのか、という話を聞きにきました。今年のおさらいをお願いします。
マナ(ヴォーカル&キーボード)「早かった!」
ユウキ(ベース)「早かったねぇ。密度がすごい!」
ユナ(ドラム)「今年って……まずアメリカに行って――」
カナ(ヴォーカル&ギター)「そう、西海岸ツアーとSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)があって。で、日本でフェスいっぱい出て、10月にイギリスツアーやってこないだ帰ってきて。もうすぐ日本ツアー」
すごい。ほんとにワールドワイドに活動してますけど、これは自分たちが思い描いていた形ですか。
マナ「実際に思い描いてやってみて……でも早いようで案外長かった気もするかな。いろいろ感じながらやってたから。〈思ってたのと違ったなー〉っていう場面もあって」
あ、そうなの?
ユウキ「なんていうの? 大きなフェスにも出れて、あっちにもこっちにもぜーんぶ出れたっていうくらい呼んでもらったけど。でもそれは興奮だけじゃなくなってきてる気もして。行ってライヴして、ご飯食べてすぐ帰って。その繰り返し。他のアーティストの音楽を楽しむ時間もなかったり」
ユナ「夏はほんと一瞬で過ぎ去っていったよね。楽しみがフェスのご飯だけっていう(笑)」
それって今の時代で注目されるには仕方のないことでもあるんだけど、割り切ることはできなかった?
マナ「あー、でもね、海外行くともっと楽しいの! そこで〈あ、なんか全力でやりきれてなかったかも〉って気づく感じ。一番大きかったのは、こないだのイギリス、スーパーオーガニズムとのツアーで。そこで彼らの人間性とか生活を見てびっくりした。すっっっごいわがままで!」