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INTERVIEW
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シナリオアートが唄う絶望と救い。新作『EVER SICK』に込められた思いを聞いた

text by 竹内陽香

シナリオアートは弱虫な3人が組んだバンドだ。見たくない現実から逃げるように、空想の物語を紡ぎ、キラキラとしたバンドサウンドで、たくさんの夢を見せてきた。そんな彼らが、所属していた事務所とレコード会社を離れ、独立すると発表したのが2018年7月末。バンド結成10周年に突入し、さまざまな企画とともに3人は止まることなく動き続けた。そして、ついに完成したニューアルバム『EVER SICK』。持病という意味の造語をタイトルに、あらゆる病気をテーマに制作された楽曲には、普遍から外れた主人公たちの生き辛さや葛藤などが描かれている。独立の経緯、その後バンドの状態、そしてこのアルバムについて話を聞きたく、ハヤシコウスケ(ヴォーカル&ギター)へ取材を申し込んだ。約2年半ぶりの対面は、パソコンの画面越しではあったが、弱々しくてふさぎ込みがちな以前の彼とは違う、自信と充実さが伝わってきたのが印象的だった。



久々にお会いできると思っていたら、こんな状況になってしまって。今はどうやって過ごしてますか?


「もうひたすらこもってますね。曲作りしたり、メンバーと打合せしたり。でもリリースとツアーのタイミングだったので、やっぱりへこんでます(苦笑)。こういう時に、ピンチをチャンスにできればいいんですけど、まだそうなれなくて」


そうですよね。でもこの状況下で『EVER SICK』を聴くと、いろいろ感じさせられます。


「あ、本当ですか?」


はい。アルバムの話の前に、久しぶりなので、ちょっと振り返りたいんですが。バンドとしては2018年7月に前の事務所とレコード会社から独立しました。これはクミコちゃん(ハットリクミコ/ヴォーカル&ドラム)からの提案だったそうですね。


「そうですね。あまり詳しく言えないんですけど、前のアルバムを出したあといろんなことがあって、クミコさんが自信をどんどんなくしてしまって。精神的にもまいっちゃって、バンドも全然前に進めなくなったんです。そういう中で、『事務所を辞めるか、私がこのバンドを辞める』っていう選択肢がクミコさんから出てきて」


そうだったんですね。


「クミコさんなしでバンドを続けるのはさすがに考えられなくて。バンドが続かなければ意味ないので、じゃあ新しい可能性探してみようかってなりましたね」


コウスケさんってけっこう考え込むタイプじゃないですか。その提案を受けた時は、どうだったんですか。


「最初言われた時は、どこにいれば自分たちの楽曲をいいカタチで作れて届けられるか考えていたので、どうしようって戸惑ったんですけど、3人で話す中で、自分たちでやっていくのも面白いかなと思えたんで、〈よっしゃ、やってみるか!〉って切り替えて」


不安や戸惑いもあったけど、それよりも未知のところへ飛び込む面白さやワクワクのほうが強かったと。


「そうですね。その気持ちが勝ちましたね。やっぱりバンドを続けるってことが一番だったし、それにメジャーでいろいろ経験させてもらって、いろんな可能性を知ることができたので、今なら自分たちだけでもやっていけるかなって思いましたね」


なるほど。独立してからは10周年のさまざまな企画が発表されました。その中には、自主ブランドを立ち上げたり、初のアコースティック音源を発表したり、これまでやってなかったようなものもあって。


「楽しそうなことをどんどんやっていこうぜって感じでしたね。10周年にかけて10個やっていくっていうのは、ちょっと多すぎたかなと思う時もありますけど(笑)。でも10周年どうする?って話してる時は、自然といろんなアイディアが出て。独立してからは常に前向きにやれてると思います」


メンバー同士の関係性や役割とかで変化はありました?


「ああ、あまり変わってないんですよ。それぞれにやることはすごく増えたし、メンバー全員で動かなければ何も進んでいかないんで、そういう自覚は強くなりましたけど。逆に、周りとの関わり方は変わりましたね。バンドの外の人たちとのやりとりがダイレクトになって、細かくいろんなことが入ってくるし、そのぶんダメージ受けることも多いんですけど……はっきりと状況を把握できるようになって。それも面白いなって思いながらやれてます」


やりとりがダイレクトになったことで、傷つくこともあるけど、風通しがよくなったり、動きがスピーディーになることで、考え込まないで済んでるのもあるんでしょうね。


「ああ、それはめちゃくちゃありますね。テンポ感のいいチームになったんですよ。たとえば、中止になっちゃったんですけど、バースデーイベントをクミコさんがしたいといきなり言い出して(笑)。次の日には、今のマネージャーがいろいろ動いて、〈やろう!〉って決まったり。大きな会社にいると、ひとつのことを決めるにも、すごい時間がかかっちゃって。今は誰も守ってくれないし、責任も自分たちに全部返ってくるんですけど、そのぶんいろんなことを実感しながらできるのはいいなと」


曲を聴いても、3人が肩肘を張らずに音楽やってる感じがすごくして。今話してくれた心の状態や環境が、ちゃんと演奏にも出てるというか。


「そう思います。曲によっては作り込んだものもあるんですけど、だいたいがセッションというか、その日のレコーディングでなければ、この音にならなかっただろうな、みたいなものが多くて。今の3人じゃないとできなかった音というか。前は、1つの曲に対してアプローチを何パターンも考えてしまって、シンプルに伝わるものを自分たちで複雑にしてた気がして」


なぜそうなってしまっていたんでしょう。


「うーん……クミコさんとかは直感型なんですけど、さっき言ってもらったように、自分はめちゃめちゃ考えすぎちゃうタイプで。昔は僕のやり方を優先してたし、直感とかフィーリングとか、そんなことよりしっかり考えることが正義や、って凝り固まってたところがあるんです。それが独立してからは、その瞬間の芸術というか、その瞬間にしか記録できないもののよさに気づいて。活動も、思いついたものはとりあえず1回やってみようってスタンスなんで、楽曲にもそういうところが反映されてるんだと思います」

ここに解決はないけど、グルグルしながらも自分も生きてるよってことが言えたら一番いいのかなと

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