NITRODAYのヴォーカル&ギター小室ぺいが、自身が気になったものを独自の視点で調査&分析し、文章に綴っていくWEB連載。初めての配信ライヴをしたことで見えてきたことについて。
#13「Feedback」
こんにちは4月、生まれて20回目の春。毎年少しずつ季節に愛着をもつようになっているのは生きていくという実感が強くなってるからか。実家を出て、学校もやめた今となっては、すべての物事が自分の判断のもと進められていかなければいけない。それはまるで死神によって喉元にナイフを突きつけられて、生活を見張られているような感じだ、「きちんと生きろ」と。そして未来は減る一方だと気づくと、一瞬のどんな些細なことも見逃したくはないと思うのだ。そんなこんなで今年は初めて花見でもしたかったんだけど、今はウィルスで大変だからできなさそうだなぁー。代わりに家で本読むか。
もうみんな知っての通りライブもたくさん中止になってる。何かできることはないかなと考えていたら、僕の好きなミュージシャンたちが配信でライブをしていて、なかでもナンバーガールがやっていたのは大きくて、彼らが再結成してから演奏しているのを初めて観た。
そういう経緯もあり、先月、僕らはバンドとして初めての配信ライブをすることにした。まずメンバーに相談し、みな賛成してくれたので、その他のことを色々と決めていった。場所はライブハウスでやるという選択肢もあったけど、なるべく普段どおりの僕らを観てほしいという思いからいつも練習しているスタジオにした。それから撮影用の機材なんかも準備して、ちゃんとリハーサルも事前に済ませた。意外と苦戦したのがスタジオでの電波状況だった。が、まあなんとか試行錯誤して本番までにできるだけすべてを整えた。
本番はとても楽しくできた。普段のライブとは全然違う感じで、なんというか柔らかく、自然体な演奏だったと思う。それに配信だと24時間アーカイブを残すことができて、もちろん見返した。他にもいつもとは違って、視聴してくれている人の人数や、リアルタイムでコメントの内容が確認できるのがとても新鮮だった。
とまあ、ここまで書いてきて、配信でライブをするのは何かに似ているなあと思った。でまあ、それはオンラインでのコミュニケーション、例えば電話や、メール、SNSとか。お互いの顔は見えないけどその分照れがないというか、自然体でいられる感じ。そう考えたときに普段のライブはじゃあ、直に会って話してるようなもので緊張する。とも言ってられないので、もっとその場の空気を大事にしたいなとは思う。顔が見えてるだけで安心せず、もっとその奥にあるものを見れるようになりたい。お客さんって、どんな人なの?とか今どう思ってるの?とか。その上でじゃあ今自分はなにを伝えたいのかというのを大切に、ていねいに。で、少し角度を変えれば音源は手紙みたいなものかなと思う、その場限りのエナジーと、感動をギュッと凝縮して封じこめて永遠のものにするという。
っていうように今回の配信ライブは自分らの音楽のいろんな形それぞれのあり方とか、意味とかを考えるいいきっかけになった! まあ、いずれにせよ音楽ってコミュニケーションだなと最近よく思う。僕もみんなも「お互い色々あるけどさ、こっちは元気でやってますよ」って(ギターを踏み鳴らすとアンプから応答があるように)確認し合うために僕らの音楽があればいいと思う。
本当にただただそれだけ。
ちなみに、今回の配信ライブのタイトル〈hit close to home〉はThe Get Up Kidsの「Close to Home」から取りました。〈痛切に〉、という意味を込めて。
Information
ミニアルバム『少年たちの予感』が発売中。
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