大阪MBSテレビのオーディション番組『関西発!才能発掘TV マンモスター+』のバンド部門で2018年に優勝、審査委員長の寺岡呼人のプロデュースで2019年8月と11月にシングルとミニアルバム、そして3月25日にフルアルバム『時計じかけのオレたち』をリリースするのが、この河内REDS。とりあえず、何も知らずに聴くとびっくりする。もんのすごい昭和感。ヴォーカルのタダミとギターのサクラが高校を卒業する時に結成したのが2011年だったそうなので、今27歳くらいなはずだが、それがまったく腑に落ちない。ただ、昔っぽくておもしろいだけならこんなに注目されないわけで、それらの曲をバンドサウンドに落とし込む演奏力&アレンジ力といい、タダミの自在で軽やかでドスの利いた唄いっぷりといい、サクラが中心となって生み出すとにかく強く美しいメロディといい、只者ではないことは確かだ。なんでこうなるのか、ふたりに聞いた。
(これは『音楽と人』2020年4月号に掲載された記事です)
今みたいな音楽性ができあがり始めたのっていつ頃ですか?
タダミ「けっこう最近じゃないですかね。2017年ぐらい」
じゃあコンテストとかで結果が出始めた時期?
タダミ「そうですね。最初はスターリンとかが好きだったので……過激なものに憧れがあって」
サクラ「路上ライヴしたりしてました。ヴォーカルマイクがなかったんで、トンカチ持って、僕アコギ持って」
タダミ「それで、メロディがないような、ただ叫ぶみたいな曲が多かったんですけど。でも、これじゃいけないなという気がしたので、メロディのある曲を増やしていったんかな」
サクラ「イエモン(THE YELLOW MONKEY)とか、ユニコーンとか、メロディがある曲、もともと好きやけど、それを自分のバンドに落としこむのは恥ずかしい、というのがあって。でもそれもなくなってきて……インディーズの最後の頃は、僕、曲を作りながら聴いてたのは、山下達郎さんとかだったので」
そこでこんなに昭和な音楽になっていったのは、なんなんでしょうね?
サクラ「なんなんですかね? ふたりとも、音楽は、古いのが好きな傾向がありますね。音楽以外も、古いものが好きなんです。映画であったり──」
タダミ「文化であったり」
サクラ「街並みであったり。新宿の端っこのほうとか、『めっちゃ昭和残ってるなあ』とか。懐かしいものが好き、みたいな」
タダミ「建物も、タイル張りのお便所とか、すごい好きですね」
サクラ「歌詞は、そういうのが出てるんかなあって思います」
曲やアレンジは?
サクラ「曲やアレンジも、古い曲が好きで」
たとえば、今の音楽にはないような感じがあるから好きなんでしょうね。
サクラ「なんでなんやろう? 僕も、考えたことあるんですよ。答えが出てないんですよね。なんで昔のものがいいのか、生まれてもないのに……親、ですかね? 親が、こないだもライヴ来たい言うから、『チケット、コンビニでしか買えへんねん』って言うたら、『コンビニで買うのがイヤや。券ないの? 昔みたいに取り置きできひんの?』みたいなことを言われて。そういうのを僕は受け継いでる気がするんですよ」
親は、音楽的な影響もあります?
サクラ「あります、僕は。父親母親がビートルズ好きで。どっちもバンドをやってたんですよ。バンドで知り合ったらしくて。ほんで、ディスコ、バキバキの世代なんで、ディスコでかかってる音楽を聴いて、その一方でピストルズとかクラッシュとかも聴いて、ザ・ジャムの来日公演を観に行ってた、みたいな」
うわ、エリートじゃないですか(笑)。
サクラ「で、バーボンハウスにCharを観に行ったり」
バーボンハウス!(註:新宿ロフトと双璧を為していた梅田のライヴハウス)。1990年でしたっけ、閉まったの。
サクラ「だから知らないんですけど、そういうのも。でも、行ってみたんですよ、跡地に」
(笑)徹底してますねえ。
サクラ「YouTubeとかで探して、バーボンハウスの階段を降りて行くとこの動画を観て、行ってみたらパチンコ屋になっていて、ああ、ノスタルジー……みたいな。そんな感じですね」
タダミさんは?
タダミ「僕は小中学生時代、わりと勉強する奴やったんですよね。その片手間にラジオを聴いてたんですけど、特にAMラジオが好きで。AMラジオってしゃべりがほとんどで、たまーに曲が流れる、その時に、歌謡曲が流れてて。そこからですかね。で、昔の、アイドルしながらバンドしてた人、たとえば沢田研二さんとか、ショーケンさん(萩原健一)とかが、好きになったりしましたね」